「薬師寺修二会花会式&唐招提寺参拝」



◎ 「薬師寺修二会花会式&唐招提寺参拝」(2015.03.28.)

毎年、春秋に実施している「スイス・ドイツ旅行」 メンバーの今春のイベントは、昨秋の例会時に、大津のIさんの提案で、貴重な「薬師寺・修二会花会式」に参加しようとお世話いただくことに なっていた。
毎回、「スイス・ドイツ会」は天候に恵まれており、今日も絶好の暖かい春の陽気となった。
10時・近鉄尼ヶ辻駅集合に合わせ、8時過ぎに家を出るが、バスが遅れ、新快速を1台乗り遅れてしまい、10時1分に到着する。 尼ヶ辻駅には、幹事役の大津のIさん夫妻、堺のAさん、高槻のSさん夫妻、神戸のMさん、塚口のTさん父娘、川西のKさん夫妻が、既に 来られており、半年ぶりの再会を喜び合う。
駅からの参道は、和服姿の女性を含め、たくさんの参拝者が薬師寺に向かっている。さすが、「花会式」だと。
青空と薄墨桜
花会式のチケット
真っ青な青空で、桜の開花情報では「咲き始め」だが、駅から薬師寺への道端の桜は満開だ。「ソメイヨシノ」ではなく「薄墨桜」なので、 一足早く満開になったようだ。青空に映えて美しい。
幹事のIさんから「花会式」のチケットが配られる。Iさんの友人が、薬師寺境内で行われる「椿祭り」展示のお世話をしておられ、分けて いただいた貴重なチケットで、後程、その有難さを実感する。
事前に幹事のIさんと河内長野のAさんが下見をしていただているので、そのルートで参拝することとする。(Aさんの御母堂が お亡くなりに、参加出来なかったのは残念だった。ご冥福をお祈りします。)
玄奘三蔵院伽藍
まず、「玄奘三蔵院伽藍」に参拝する。いただいたチケットを渡し、入場できるのは嬉しい。
玄奘三蔵[げんじょうさんぞう](600または602~664)は、『西遊記』で有名な中国唐時代の歴史上の僧侶です。
17年間にわたりインドでの勉学を終え、帰国後は持ち帰られた経典の翻訳に専念、その数1335巻に及びます。
その中で最も究めたかった「瑜伽唯識[ゆがゆいしき]」の教えの流れを継承している宗派が法相宗[ほっそうしゅう]です。 現在、薬師寺と興福寺が法相宗の大本山で、玄奘三蔵は法相宗の始祖に当たります。
南京で発見されたご頂骨のご分骨を拝受し、平成3年(1991)玄奘三蔵院伽藍を建立しました。 平成12年(2000)に平山郁夫画伯が入魂された、玄奘三蔵求法の旅をたどる「大唐西域壁画」は、玄奘塔北側にある大唐西域壁画殿にお祀りしています。 (薬師寺HPより抜粋)

内部は撮影禁止なので、写真は写せないが「玄奘三蔵像」や平山郁夫画伯の「大唐西域壁画」には圧倒される。シルクロードに行かれたAさんは、 感慨深く鑑賞しておられた。実物を再現したような壁画だと。
「玄奘三蔵院伽藍」の外廊には、「椿祭り」の展示がされており、見事な椿の盆栽や可愛い生花が飾られている。「花会式」にマッチした 椿の展示を楽しみ、外に出ると椿の苗木の販売もあり、愛好家は購入される。そこで、Iさんの友人が居られ、お礼を云って次に向かう。
玄奘三蔵院伽藍・礼門
椿の生花
椿の盆栽

画像をクリックすると拡大します(以下の画像も同様)

気持ち良い陽気の中、「白鳳伽藍」に向かう途中に、薄墨桜が満開に咲き誇っているので、記念撮影をパチリと。
薄墨桜の下で記念撮影
薬師寺の境内
着物姿の女性が、三々五々集まり「白鳳伽藍」に向かっておられる。野点席のチケットが付いているので、お茶席に向かわれる方が多いようだ。
「白鳳伽藍」の入口でもチケットを渡し入場する。広い境内で、向こうには「金堂・五重塔」も見えるが、参拝者も多いので、食事処が混雑するため 少し早いが昼食をすることにし、食事処に向かう。
幹事さんの話では、混雑時には長い列ができ、時間がかかるそうだが、少し早いので、スムースにチケットを渡し、お弁当をいただく。
広い食事処は、少し混雑していたが、12人が同じテーブルで食事ができた。幹事さんのナイス判断だ。
ボランティアの若い女性が、薬師寺の法被を着て、お茶の接待をしてくれる。弁当の蓋を開くと春らしい山菜で飾られた可愛い弁当が現れ、女性陣から 歓声かあがる。酢飯の味付けも良く、美味しくいただく。
食事処の中に、大きな大木が置かれている。建物の柱にする大木で、樹齢1000年・長さ11.2m・重量16.5tだそうだが、残念ながら台湾で伐採 されたようだ。日本には、もうこんな大木はないのだろうかと。
美味しいお弁当に満足し、外に出ると「ソメイヨシノ」の蕾が、青空に映えて薄桃色の花弁を開こうとしている。満開までは、後1週間程度だろうか。 「薄墨桜」の満開と「ソメイヨシノ」の蕾の対比が面白い。
花会式のお弁当
柱用の大木
蕾膨らむ

次に「東院堂」に向かう。堂内には、歌手・カールスモーキ石井の石井竜也さんの彫刻や作品が展示されているが、撮影禁止で写せない。歌手として も芸術家としても多才な才能に驚く。
回廊の外を廻って、中門から「金堂」の境内に入る。正面に「金堂」、左に「西塔」が建ち、右の「東塔」は解体修理中でテントに覆われているが、 立派な建造物に魅入る。
金堂
金堂は享禄元年(1528)この地域の豪族の戦火に巻きこまれ、西塔などと共に焼け落ちてしまいました。
その後、豊臣家が金堂の再建に 取りかかりましたが、豊臣家滅亡等で、再建までは至りませんでした。
金堂の再建は歴代の薬師寺住職の悲願で、昭和42年(1967)高田好胤師が晋山し、百万巻写経勧進による金堂再建を提唱、 全国に写経勧進に歩かれ、その結果昭和46年(1971)金堂の起工式を行い、そして昭和51年(1976)4月に白鳳時代様式の本格的な金堂として 復興しました。(薬師寺HPより抜粋)

薬師如来の台座
「金堂」の中には、国宝の「薬師三尊像」が祀られている。中央に「薬師瑠璃光如来」、向かって右に「日光菩薩」、左に「月光菩薩」 が祀られ、たくさんの方が参拝しておられる。
また、国宝の「薬師如来」の座る台座には、奈良時代における世界の文様が集約されており、 一番上の框(かまち)にはギリシャの葡萄唐草文様、その下にはペルシャの蓮華文様が観られ、各面の中央には、インドから伝わった力神 の裸像が浮彫りされている。さらに、下框には、中国の四方四神(東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武])の彫刻がなされている。 シルクロードのスタートから奈良までの文様が飾られているのだと。
西塔
写真撮影禁止で、国宝の数々を写すことができなかったが、後程訪れた「大講堂」には、台座のレプリカが飾られていたので、 撮影し、記憶に留める。
「金堂」内の「薬師三尊像」に参拝し、境内に出て「西塔」を仰ぐ。落ち着いた彩りに、奈良時代の雰囲気を感じる。青空と松の緑と塔の 色彩が相まって美しい。
西塔は昭和56年(1981)に復興されました。塔の連子窓[れんじまど]に使われている色を「青[あお]」色、扉や柱に使われている色を「丹 [に]」色と呼び、万葉集の一節に『あおによし ならのみやこは さくはなの におうがごとく いまさかりなり』と歌われている事からも 当時の平城京の華やかさを表現する意味もあったのではないかと思われます。 (薬師寺HPより抜粋)
大講堂
「金堂」の前には「花会式・法要」のための椅子が並べられ、舞台も設けられている。13時頃から、法要が始まる前に急いで「金堂」の 後に建つ「大講堂」に向かう。
「大講堂」は、正面41m、奥行20m、高さ約17mの伽藍最大の建造物で、学僧が勉強する道場だと。
内部には、重要文化財の「弥勒三尊像」が祀られ、国宝の「仏足石」が置かれている。ここも撮影禁止なので、「弥勒三尊像」に参拝し、 「仏足石」を見学する。先程「金堂」で参拝した「薬師三尊像」の「台座」のレプリカが置かれていたので、これは撮影する。
大きな「大講堂」の後ろには、最近発表された「食堂」建設予定地の場所が確保されている。「食堂」が再建されれば、「白鳳伽藍」は より立派に充実するだろうと話しながら「金堂」に戻る。
「金堂」の前には、たくさんの参拝者が集まり、司会の僧侶の説明に耳を傾けている。良く声の通る僧侶の話術はたいしたもので、以前、 高田好胤師の講演を聞いた話法を伝承しているようで、聞き易く理解もし易い。その中で、知らなかった言葉の違いが分かった。 奈良時代の薬師寺は「金堂」と云うが、平安時代以降の寺院は「本堂」と云うと。時代によって呼び名が変わること勉強になった。
やがて、回廊の外から雅楽の演奏が聞かれ、中門から楽士の先導で、僧侶が入場し、最後には稚児が入場し、舞台に上がる。写経をたくさん された方への表彰もあり、その後、読経が始まる。
花会式の司会僧侶
雅楽の入場
稚児たち

野点
「西塔」の横の回廊で行われている「野点」の列に並ぶ。
大行列で順番を待ち、「大日本茶道学会」の方のお点前で、吉野葛・白鳳の飛天の干菓子とお茶をいただく。男女の着物姿の方がお世話していただき、境内の雰囲気 を味わいながら、「薬師寺」での野点を満喫する。
「薬師寺・花会式」はまだ続いているが、「薬師寺」参詣を終え、次の「唐招提寺」に向かう。
気持ち良い陽射しを浴びながら、平城京の街並みを進むと民芸品を売る小さなお店も点在し、ミニ観光地となっている。参拝者も車の往来も多い のには驚く。
今回の「唐招提寺」への参拝の企画は、直近「薩摩街道」紀行で、 鹿児島市まで完歩・踏破した。その途中で、「坊津街道(薩摩街道)」の道標があり、「薩摩街道」が薩摩半島先端の坊津まで続いているのでは と期待していた。
坊津は、小生が5年間鹿児島県出水市に単身赴任していた時、薩摩半島一周のドライブをし、坊津を訪れた。その景観の美しさは見事で、 もう一度訪れたい港町であると共に、鑑真和上が初めて日本に上陸した地点だと知った次第だ。鹿児島市から坊津までの行程を自治体や ボランティア団体等に尋ねたが、確証は得られず、目下の所、坊津までの紀行は断念することにしている。
「唐招提寺」はその鑑真和上が創建したお寺なので、何かの巡り合いとして楽しみにしていた。
金堂
拝観料を支払い、「南大門」から、静かな境内に入ると、正面に「金堂」が堂々と建っている。
唐招提寺は、南都六宗の一つ律宗の総本山です。
多くの苦難の末、来日をはたされた鑑真大和上は、東大寺で5年を過ごした後、新田部(にたべ)親王の旧宅地(現在の奈良市五条町)を 下賜されて、天平宝字3年(759)に戒律を学ぶ人たちのための修行の道場を開きました。
「唐律招提」と名付けられ鑑真和上の私寺として始まった当初は、講堂や新田部親王の旧宅を改造した経蔵、宝蔵などがあるだけでした。
南大門
金堂は8世紀後半、鑑真和上の弟子の一人であった如宝の尽力により、完成したといわれます。
現在では、奈良時代建立の金堂、講堂が天平の息吹を伝える、貴重な伽藍となっています。(唐招提寺HPより)

「世界遺産」の石碑も立つ境内を国宝「金堂」に向かい、お堂の中を参拝する。
堂内には中央に「本尊・廬舎那仏坐像」、向かって右に「薬師如来立像」、左に「千手観音立像」が祀られており参拝する。 本尊の手前左右に「梵天・帝釈天立像」、須弥壇の四隅に「四天王立像」が祀られており、全て国宝で、撮影禁止となっている。
「金堂」の伽藍、「本尊・廬舎那仏坐像」等の仏像と荘厳な天平文化の息吹を満喫して、次に進む。
静かな境内を「戒壇」に向かう。「戒壇」とは、出家者が正式の僧となるための受戒の儀式を行う場所で、江戸時代に焼失し、今は3段の石壇 が残り、インドの古塔を模した宝塔が壇上に置かれている。その周辺の土塀も美しい。
観光客も多くなり、その間を縫って、国宝「講堂」に向かう。「講堂」は、鑑真和上が開創するに当たり、平城宮の東朝集殿を移築されたもの だと。重要文化財の仏像がたくさん祀られている堂内の荘厳な雰囲気を感じながら巡る。
戒壇
美しい土塀
講堂

次に、「鑑真和上の御身代り像」を祀る「開山堂」に向かう。
開山堂
御影堂
国宝「鑑真和上像」は「御影堂」に祀られ、特別な日以外は参拝できないので、 この「開山堂」の「鑑真和上の御身代り像」を毎日参拝できるようにしたのだと。本物と同じ「鑑真和上の御身代り像」に参拝する。 (撮影禁止)
その北にある「御影堂」に向かうが、門前までも進むことができず、きれいな石畳と塀を観られるだけで、建物を遠目に観ることで、満足する。 あの先の「御影堂」に、国宝「鑑真和上像」が祀られているのだ。坊津までは行けなかったが、ここでお会いできたと喜ぶ。
広い境内の静かな道を上って「鑑真和上御廟」に向かう。趣のある土塀や門をくぐって内部に入ると、一面の苔の庭に木漏れ日が美しい。 その奥の「鑑真和上御廟」に参拝する。静かな雰囲気の場所に祀られているのだ。
趣のある門
苔の庭
鑑真和上御廟

鼓楼
宝蔵
広い境内の建造物を戻りながら見学する。国宝「鼓楼」は鎌倉時代の建造物で、鑑真和上が唐から請来した仏舎利を安置していると。
その先には、正倉院の校倉造りの国宝「宝蔵」「経蔵」が並んで建っている。歴史を感じる美しい建造物だ。
休憩所があったので、一息入れているとビデオが流れていて、今まで見学してきた建造物や仏像の解説があり、改めて天平文化と鑑真和上の 偉大さを改めて認識する。
充実した気持ちで「唐招提寺」を後にして、近鉄尼ヶ辻駅に向かう。田園風景が広がる細い道の周りには、春の息吹を伝える色とりどりの 花が咲き、気持ち良い散策となる。
垂仁天皇陵
左に大きな堀があり、その中に「垂仁天皇陵」が祀られているのだと。御陵の前までは行かなかったが、静かな所に祀られているのだと 思いながら進む。
尼ヶ辻駅への通りに出て、ここは「伊勢本街道」紀行時に 通った道だと気付く。大阪から暗がり峠を越えて伊勢神宮まで歩いた道だ。
駅の近くの喫茶店で休憩しながら、今日の充実した散策の話や次回の予定を検討する。秋に「麻耶山方面」の紅葉狩りと食事を楽しむことに なる。
春の気持ち良い陽気の下、南都の「薬師寺」「唐招提寺」参拝と歴史に触れ、楽しい散策ができたことに感謝し、尼ヶ辻駅で解散する。
京都に出られる方と別れ、西大寺駅の居酒屋で、今日の再会と「スイス・ドイツ旅行」10周年を記念して乾杯する。旅行以来、5月で丸10年になるのだ。 10年間、春秋の散策を楽しめる仲間と継続できることは凄いことだと喜び合う。年代差も30才以上あるメンバーの繋がりは貴重な存在だと。
近鉄電車で話しながら。鶴橋・大阪でお別れし、無事帰宅する。楽しい一日を過ごせ、大満足だ。今日の歩行歩数は14800歩だった。





    
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