○ 「伊勢路 No5」見聞録 

5.相賀〜馬越峠・天狗倉山・オチョボ石〜尾鷲
 2004.04.09 12:00〜17:00 晴れ

「伊勢路」紀行を計画をした日が菜種梅雨に見舞われズルズルと遅れてしまった。「青春18きっぷ」 の期限も近付き、天気も最高の様子なので実行に移す。快適な紀行になりそうだ。

今回は前回の「始神峠」を越えた船津から相賀(あいが)まではJRで行き、相賀から「馬越(まごせ)峠」に 上り、古道から離れ、峠から稜線伝いに展望の良い「天狗倉山」と最近サイトで紹介されていた 「オチョボ岩」まで行き、春の熊野灘の展望を堪能し尾鷲に至るコースとする。
「馬越峠」石畳の美しさは「紀伊路」随一とのことで楽しみだ。

いつもの様に高槻発 5:24 で出発する。夜明けも早くなり、薄明るい中を草津に向かい、草津発 6:15 に新聞を買って乗る。前日のイラクでの日本人拘束のニュースを読みながら・・・。しかし、いつの間にか 眠ってしまい気が付くと終点の柘植に到着しており、車内には誰も居ない。驚いて下車するが、接続の 7:12 発の 亀山行きは出発してホームには人影なし。
次は 8:31 まで1時間以上待たねばならず、時刻表片手に以降の計画を再検討。
当初の計画では相賀に 11:36 に着く予定が、特急に乗っても 13:09 着と大幅に遅れることが 分かり、がっかり。前回、バスの時刻表をコピーしていたことを思い出し、ルートを調べると松坂発 10:05 の 特急バスがあり、国道相賀着 11:55 とある。JRで亀山乗り換えで松坂着 10:00 であるので可能だ。

JRが3分遅れたため、松坂でダッシュしてどうにかバスに間に合った。バスはR42を進むので、今まで 歩いたコースをバスの中から地図を参考に振り返る。満開の、散り初めの、若葉の桜が見られる。 座席の隣の老婦人が地図を見ている小生に、熊野古道巡りと思い、色々と話してこられた。 尾鷲で古道同好会に入っており、方々廻ったとの事で「馬越峠」の素晴らしさを教えていただく。
「三瀬坂峠」「滝原宮」を通り、「ツヅラト峠」 「荷坂峠」の梅が谷、前回の紀伊長島からの「一石峠」「始神峠」を車窓から眺め、11:55 国道相賀に 到着した。出発して6時間にして、スタート地点に到着だ。当初計画より20分の遅れとは チョンボがあったが上手く行ったものだ。

バス停からJRの駅の方向に国道から古道に戻り、真興寺の仏像を彫刻された珍しい 「はまぐり石」を探す。はまぐりの形をした石の真ん中に観音様が彫刻されており、銚子川の上流から 移されたとか。すぐ近くの「相賀神社」に参拝し、寿司屋があったので「さんま寿司」を昼食用に購入する。
銚子川の左岸が古道とのことで、春の日が一杯のうららかな川岸を上る。対岸の桜並木は満開で青空と 山に映えて美しい。上流に逆上り、便ノ山橋を右岸に渡り、JRの踏み切りを越えR42に出ると「馬越峠」の 道しるべがあり、入口に至る。

「はまぐり石」 説明→

「相賀神社」

「銚子川から馬越峠を望む」


入口のバス停には1時間後のバスが到着して、人工の石畳から「馬越峠」のスタートする。(13:00)
すぐに昔の石畳が現れ大小の石が組み合わされたゴツゴツとした坂道が始まる。峠道の周囲はヒノキ林が 見事に植林されており、春の陽射しが木漏れ日となり石畳とのコントラストが美しい。

「馬越峠・入口」 説明→

「馬越峠・石畳スタート地点」 説明→

「ヒノキ林と石畳」

「石畳点描」


「木漏れ日の石畳」

「緑と石畳」

「石畳点描」

「石畳点描」


石畳を快調に上るが、地道と違って足の負担は大きい。「大雲取越え」の石畳はもっと大きな石を使って いたが、ここは大小の石を上手く組合している。600m位上ったところに石の祠の「夜泣き地蔵」が 祀られ、一息入れる。横のせせらぎを渡す石橋は昔からの一枚石の小橋だ。

「夜泣き地蔵」 説明→

「一枚岩の石橋」

「石畳点描」


ヒノキ林の石畳を黙々と上る。石畳と景観を楽しみながら「道しるべ」「一里塚跡」の標識を過ぎ、 厳しい坂道を上ると木々の間から山桜が望まれ、ホッと一息つく。2人のご夫人のハイカーに挨拶し、 追い越して頂上に向かう。頂上には「茶屋跡」や「可涼園桃乙句碑」があり、汗を拭い休息する。 (13:45)
しかし、麓から325m の頂上まで全て石畳が設置されている古人の技術には驚く。

「道しるべ」 一里塚説明→

「桜」 茶屋跡説明→

「句碑」 説明→

「馬越峠頂上」



「伊勢路」はここから下って尾鷲に向かうが、「馬越峠」のガイドブックにある「天狗倉山(てんぐらやま)」 に向かい展望を楽しむことにする。ご夫人も到着されたが、一足先に出発する。
「天狗倉山」は 522m で200m を一気に上ることになる。石畳から山道の尾根道と九十九折れの厳しい道で 心臓の負荷がきつくなり、時々息を整えて上る。途中、下り道では滑って腕を擦りむいたりしながら 天狗倉山の大きな石の下に着き、、鉄のはしごを上って頂上に到達する。(14:15)

「馬越峠頂上の展望」

「尾根の道」

「天狗倉山の大石」


石の上からの展望は素晴らしい!!
桜が咲き、海側は尾鷲の港から春霞みに覆われる入り江の外海まで青々としている。
振り返って山側は大台ケ原の山並みが広がり、伊勢から熊野に入ったことを実感出来る。
石の上は約3畳位のフラットな空間があり、春の気持ち良い、少し暑い日差しを浴びながら、 「さんま寿司」の弁当を広げ昼食とする。本当に清々しい気持ちで、古道から寄り道して良かったと 実感。

「天狗倉山・桜と尾鷲市街」

「天狗倉山・熊野灘展望」

「天狗倉山・大台ケ原展望」


石の下に四日市からのご夫人と地元の男性が到着され話す。石の上に上るのが恐いと云っておられたが 大台ケ原が見えると話すと決心され上られるのを見て、「オチョボ岩」に向かう。(14:30)
「オチョボ石」はここから約1km程歩く岬の先近くに位置する。アップダウンが数ヶ所あり、NHKの無線 中継所を通り、段々と狭くなる山道を進む。広葉樹が広がり、落葉をサクサクと踏み、林から聞こえる ウグイスの鳴き声が汗のしたたる疲れを 癒してくれる。途中、ご夫婦のハイカーに会い、もうすぐと聞くが両手を使わないと滑るような道を 進む。ロープを伝って下ったりしながら「オチョボ石」に到着。(15:10)

「オチョボ岩・道しるべ」

「TV中継所」

「木漏れ日の峠道」


石の上に上ると尾鷲湾から反対の相賀の入り江、志摩半島まで望める絶景だ!!
尾鷲湾には養殖のいかだが浮かべられ、外海の小島がぽっかりと浮かんでいる。相賀方面も入り江と 湖の向こうには志摩半島が望め、春の海を堪能する。
お茶を飲み、そよ風に汗を乾かせてゆっくりと休憩する。40分のきつい行程だったが、好天に恵まれ、 この景色が見ることが出来たのは大きな収穫だ。

「オチョボ岩・志摩半島展望」

「オチョボ岩・熊野灘展望」

「オチョボ岩・尾鷲展望」



帰りの時間もあるので元の道を戻る。天狗倉山の石の下を通り、アップダウンにフウフウ云いながら 「馬越峠」まで戻る。(16:00)
石畳の上りと「オチョボ石」までのアップダウンで足が重くなり、下りの石畳は疲れた足にはこたえる。 下り道はヒノキではなく広葉樹で枯れ葉が石畳の上に落ちていて滑り易く気を付けながら下る。途中 「桜地蔵」が祀られており、写真を写したが足がガクガクしていたので、ピンボケと恥ずかしい限り。 日が傾き、夕日に輝く峠道もなかなかのものだ。

「頂上・道しるべ」

「下りの石畳」

「夕日の木立」 桜地蔵説明→


「馬越公園」の桜も終わりかけで、「行者堂」や墓地を通り下るが大分足に来ている。北川橋のたもとに 「道しるべ」があり商店街を通って尾鷲駅に到達する。(16:45)

「行者堂」 説明→

「北川橋・道しるべ」 説明→

「尾鷲駅」


17:27発なので周囲を探して居酒屋を見つけ、生ビールで乾杯。疲れた足の先まで・・・・。コンビニで ビールとお酒とつまみを買って列車に乗る。今まで歩いた行程を車窓から眺めながらユックリと一杯。 前回の反省からこの列車は接続も順調で、多気・亀山・柘植・草津で乗り換え23時20分に帰宅する。
本日の歩行は27000歩と少ないが、石畳・山道のアップダウンで足は久し振りにパンパンの状況で、 風呂でユックリとマッサージする。

「伊勢路」も半分近く来たようだ。「馬越峠」の石畳はどのガイドブックにも素晴らしいと書かれているが 本当に古道の雰囲気が十分感じられた。このような土木工事を丹念に実施した古人の熱意・努力には 頭が下がる思いだ。地道だともっと廻って上るだろうが、石畳だと直線的に進むようで足には結構こたえた。

寝過ごすチョンボもあったが、代替ルートを見つけられ別の視線で「伊勢路」を見られたことは 怪我の功名だった。「馬越峠」のルートから離れての「天狗倉山」「オチョボ石」の展望は天候にも 恵まれ、素晴らしいの一言だ。古道紀行に景観探索も加える意義を教わった。

それにしても、尾鷲までは遠い。往復12時間かかっている。「伊勢路」の歩行は夏の「青春18きっぷ」の 発売までストップして、次回は泊りがけで一番厳しいと云われる「八鬼山(やきやま)」越えから トライしたい。
それまでは、先日参拝した「石清水八幡宮」から分岐する「東高野街道」から 高野山を目指し、「高野山町石道」から山岳コースになる「小辺路」から「本宮大社」へのルートと 並行に進めたい。

好天に恵まれ、石畳と景観を堪能出来た「伊勢路・馬越峠」の快適な紀行だった!!







    
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