○ 「伊勢路 No9」見聞録 

8.阿田和〜尾呂志〜横垣峠・風伝峠・通り峠・丸山千枚田〜熊野市
 2005.03.15 8:10〜13:40 曇り

3/14、「那智・振分け石」に到達して「大辺路」を踏破した。一泊して「伊勢路・本宮道」を目指すべく 新宮発15:23の列車で熊野川を渡り三重県に入る。
「伊勢路・浜街道」は昨年9月に一部バスを使って踏破し、今回と含めて紀伊半島一周を完了した。 車窓から熊野灘を眺めながら・・・。
今回の宿はサイトの紹介で風伝峠の麓にすることにし、「阿田和駅」からバスで行かねばならない。 阿田和着16:24。

バスが18:15発なので2時間程度待たねばならない。浜街道の一部になる周辺を散策する。 「七里御浜」の真ん中に位置するので浜辺が長〜く続く。浜辺に出て「熊野灘」をユックリと眺める。 水平線が丸く見える位太平洋が広がる。開放感が一杯だ。

「阿田和駅」

「七里御浜」

「熊野灘」


海岸に居ると風が冷たく寒くなって来たので近くのスーパで時間を潰す。ここで一杯やろうかとも 思ったが店も無く、民宿でくつろごうと考えブラブラと。(これが間違いだった・・・)
18:15発のバスはお客が小生だけで運転手と話しながら山の中に入って行く。紀和町は昔鉱山で 賑わったが今は高齢者が多く大変。紀州犬はこの辺りが産地とか。30分程の間いろいろと話す。 もう暗くなった尾呂志の集落の停留所ではなく、民宿・舟木屋さんの前でバスを止めてくれる。感謝!

民宿の泊り客は小生だけでお婆さんが一人で切り盛りされており、すぐに入浴し明日に備え、足の マッサージを入念にする。浴衣・ドテラで部屋に戻ると食事の用意がされている。ビールを頼むとないと・・・・。 外は暗く着替えもしているので泣く泣く休肝日にすることにし食事を始める。美味いが淋しい。
風の音を聞きながらグッスリと眠る。

風伝おろしの激しい風の音で目覚める。冬には風伝峠の朝霧が有名らしいが今は見られない。朝食を食べ 弁当を持ち、お婆さんにお礼を云って出発する。(7:15)
今日はバスで横垣峠登り口まで下り、「横垣峠」越えをして再びここまで戻って「風伝峠」「通り峠」 「丸山千枚田」を歩く予定だ。本来の「伊勢路・本宮道」は熊野市から北に進み「横垣峠」に到達する のだが、国道歩行が多いのでパスした。
風が強く肌寒い中を「いっぽいっぽ」バス停に向かう。山に囲まれたノンビリした風伝峠の風景を 楽しみながらバスを待つ。すぐ上に風伝峠トンネルが見える。7:46発のバスはR311をで熊野市方面に下って 行くが、古道とは離れ迂回するようにトンネルをくぐって横垣峠登り口着08:01。

「民宿舟木屋」

「尾呂志風景」

「いっぽいっぽ・バス停」


さあいよいよ「伊勢路・本宮道」のスタートだ。「横垣峠登り口」の道しるべに従って上り始める。 緩やかな坂を上ると「みかん畑」が展開し、剪定をされている方と話す。今年の収穫はまあまあとか。 近くで猿除けの爆竹の音が数分置きにバンバンと響いている。
やがて小石がゴロゴロする小道を抜け、杉木立の気持ちの良い古道を進むと林道と合流する。 暑くなりジャンパーを脱ぎ一息入れる。(8:30)

「登り口道しるべ」 説明→

「みかん畑」

「杉木立」


木の階段を上り「照葉樹」の小道を進む。杉木立も良いが照葉樹の方が明るく自然の古道の趣がある。 時々木々の間から熊野灘を望みながら進むと「水壺地蔵」が祀られている。
鶯の上手くなった鳴き声を聞きながら、少し汗をかきながら上る。やがて「横垣峠・頂上」(305m)の 碑が立ち休憩する。ここからの展望も少し霞んでいるがきれいだ。晴れていたら太平洋が輝いている だろうと思いながら眺める。(8:55)

「照葉樹の道」

「水壺地蔵」 説明→

「横垣峠・頂上」 展望→


少し下ると「東屋」があり、側に「坂ノ峠」の案内板があったのでそのまま進む。山道が整備された 石畳となり木立の中を軽快に下る。雨に濡れていれば滑り易く大変だが、今日は安心してリズム良く 下る。
林道に下り、「道しるべ」を見るとガイドブックと違う。よく見ると先程の「東屋」付近から「坂ノ峠」に 進まず下りるルートが古道のようだ。その様な表示を見落としたのか??
でも、「坂ノ峠」の石畳は値打ちがある。 仕方なく林道を下ると坂本の集落に至り「折山神社」の鳥居が見える。参拝し一息入れる。(9:20)

「東屋」 説明→

「坂ノ峠・石畳」

「折山神社」


「横垣峠」を無事越えて坂本の集落の農道を進む。すぐ田圃の中に「亀島の灯篭」がそびえ立っている。 ルートを離れて見学する。元に戻り農道を進むと道脇に「坂本の道祖神」が祀られ田園風景を眺めながら 緩やかな坂道を下るとR311と合流し、高千良のバス停に到達する。(9:55)
R311を横切って坂道を下り、昨夜泊まった尾呂志の集落に入る。大きな木があるので見ると「上野の 大杉」とあり、祠が祀られている。舟木屋さんを見ながら「道しるべ」に従って「風伝峠」に向かう。

「亀島の灯篭」 説明→

「坂本の道祖神」

「上野の大杉」 説明→



「風伝峠」に近付くにつれ、風が強く冷たくなって来たので「風伝峠登り口」でジャンパーを着る。 (10:23)
杉木立の中にきれいな「石畳」が続く気持ちの良い古道だ。「坂ノ峠」もきれいな石畳だったし、 この辺りの石の生産が関係しているのだろう。「石畳」は杉の落葉と苔が美しく歩き易い。道端に 小さな「お地蔵様」が祀られている。石畳と石垣の道を林道と交差しながら頂上に向かう。

「風伝峠・杉木立と石畳」 説明→

「お地蔵様」

「石畳と石垣」


林道と交わった所に茶店があり、横の小道を上ると「風伝峠」の頂上(257m)となり「法界塔」が 立っている。(10:45)
下り道を進むと千両か万両が茂った小道になり軽快に下って行くと道端に小さな「石の塔」が祀られ 花や酒が供えられている。何だろう?
地道を下るとR311に至り、「風伝トンネル」の反対側に出たことになる。

「法界塔」

「千両の茂る道」

「石の塔」


国道を進むと右側に小さな「道しるべ」が「通り峠」を示し、上って行くと「通り峠・案内図」 が立ち、きれいなトイレを設けられている。ここで一息入れ、又ジャンパーを脱ぐ。(11:30)
少し疲れて来たが、木漏れ日の石畳が続く「通り峠」を上る。今までの峠よりは勾配がきつくて 途中で息を入れながら汗をかきながら頂上を目指す。頂上(390m)には「子安地蔵」が祀られ、「東屋」が 立つ。ここで一息入れる。今までの石畳の軽快な歩行が膝・ふくろはぎにダメージを与えているようだ。

「道しるべ」 説明→

「木漏れ日の峠道」

「石畳」


「木漏れ日」

「子安地蔵」

「通り峠の東屋」 説明→


ここから「丸山千枚田・見晴台」へ進むとの案内があり、上り始める。これがなかなか厳しい 上り坂であり、上を見てはまだかまだか・・・と思いながら進む。やっと見晴台に到着する。 「通り峠」の頂上から100m位上ったような気がするが、上って良かった!!。
眼下に冬景色の「丸山千枚田」が広がる最高の眺めだ。もうすぐ水を張れば、田植えをすれば、 緑の田が広がれば、黄金色の稲穂になれば・・・・と想像が膨らむ。一番悪い時期だが、それなりに 見る価値があり、想像力をかき立てる。
汗を拭い、お弁当を開く。美しい棚田を見ながらの弁当は美味い。景色を堪能して出発する。(12:35)

「丸山千枚田1」

「丸山千枚田2」

「丸山千枚田3」


少し足を引きずりながら元の「通り峠・頂上」まで下り、峠を「丸山千枚田」方向に下る。 近付くにつれ棚田の細かな模様がはっきりと見えて来る。小さな棚田もあり、維持管理が大変だろうと 想像する。棚田に沿って農道をくねくねと下ると「水車小屋」の水車が廻っている。人は誰も居ず 棚田を独り占めしながら・・・。
バス停に向かって農道を進むが方向が分からず不安になる。車が来たので尋ねるとこのまま進めば 良いとのことで一安心し進む。平地での歩行は膝には問題ないようだ。「千枚田・通り峠入口」バス停 に到着する。(13:40)

熊野市行きのバスは14:57発なので1時間以上待たねばならない。足が痛くなったので少し早めに進んだ ので、早く着き過ぎた。周りは何もないし、足も痛いので近くの原っぱで休憩する。「源氏物語」を ノンビリと読んだり、寝転んだり・・・と。
熊野市行きのバスの前に昨日乗った阿田和行きのバスが来た。行く先が違うのでノーと手を振ると少し 進んだ所でバスが停車し、運転手が降りて来た。何かと思うと「無事帰ってきましたネ」と昨日の 運転手さんだ。お礼を云うと「又、来てくださいネ」と。人の触れ合いの温かさを感じた。
定刻通りバスが来て、一路熊野市へ。「風伝トンネル」は結構長いので驚き、歩いた所を戻り「横垣峠 登り口」へ。ここから熊野市までは本来歩かねばならないがR311沿い歩行が多いので省略した。 車窓から眺める。熊野市着15:32。

「丸山千枚田」

「水車」

「千枚田・通り峠入口バス停」


熊野市発15:38の列車に乗るべく急いで売店でビールとつまみを買いホームへ。階段を下りる時右膝が痛く 手すりを持って下りる。こたえているようだ。
列車には「青春18きっぷ」利用と思われる若者、熟年のご夫人等々がたくさん居られ山側の席で 「伊勢路・本宮道」第一歩の踏破を乾杯する。
海側だと今まで歩いた「伊勢路」を眺められるが、山側なので本を読んだり眠ったりしながら多岐着 19:42。
この列車で行っても亀山で時間待ちをしなければならないことは経験から分かっているので快速に 乗換え津で食事をすることにする。
ホームで待つ間にご夫人3人連れの方と話す。栃木県から「青春18きっぷ」を使って、夜行で名古屋へ 行き、紀伊勝浦からバスで那智大社に参拝され、その後宿泊して速玉大社・本宮大社に参拝された そうだ。昨日那智駅でお会いしたご夫人とも同じスケジュールだったとか。女性パワーは凄い。 熊野三山を廻わり今日は津で泊まられ、明日帰るとか。
快速の中で「熊野古道」やHPの話をしながら津でお別れする。今回の紀行はお元気な女性の 行動力に驚き、啓蒙された2日間だった。いつも行く居酒屋で一杯飲み、 亀山・柘植・草津で乗換え23時に帰宅する。今日の歩行は28000歩だったが、足の疲れは厳しい。

昨日の「大辺路」踏破に続いて「伊勢路・本宮道」のスタートをきった。「伊勢路」も後僅かになって来た。 次は「通り峠」から西に向かい熊野川に出て、川を渡り志古から「小雲取り越え」の合流地点に 向かえば「伊勢路」の完全踏破だ。
いよいよ「伊勢路」も最終行程になって来たが、早く完了したい気持ちがある一方、往復13時間以上の 行程はつらい。1-2泊しなければ無理だろう。計画を楽しもう。








    
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送