「熊野古道」Map

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○ 「高野道・小辺路」紀行を終えて

4-1.「小辺路・高野山〜大股」

雪の季節を狙って2月に「奥の院・町石道」を歩き、京都から高野山までの「高野路」を完歩した。 これで「小辺路」歩行のベースは整った。 「小辺路」は高野山と本宮大社を結ぶ生活道が近世に参詣道として利用されるようになり、 京都から熊野への最短ルートとして活用されたとか。高野山と本宮大社を南北に結び、1000-1200m 級の峠を三つ越えなければならない難コースで三泊四日で進んだそうだ。
高野山から熊野へは「熊野道」、反対に熊野から高野山へは「高野道」と呼ばれている。 計画時は「熊野道」を一気に本宮大社まで行こうと計画したが、三浦口の民宿が廃業したとか、 一気に行くのはコースが厳しく難しいとの先達のアドバイスもあり、2回に分けて一泊二日の日程で進む ことにする。

前回、雪の中で「小辺路」のスタート地点を確認していたのですぐに「金剛三昧院石標」から坂を登り 始める。
舗装された道はやがて地道に変わり木々の間を進むと「大滝口女人堂跡」の広場に到着する。 ここは高野山上の女人堂を巡る「高野女人道」のルートでもあり、林道を見下ろす展望を楽しみながら 進むと「高野女人道」との分岐点に到着し、なだらかなアップダウンのコースを進むと「薄峠」の頂上に 到達る。

金剛三昧院石標

大滝口女人堂跡

薄峠


ここからは下り坂が続き進むと本宮大社から十七里の「丁石」が迎えてくれる。ここから本宮まで 17里=68kmもあるのだ。側面に十七丁の文字が薄っすらと見える。
広葉樹の木立や高野槙が茂る道を下って行くと御殿川に架かる「赤い橋」に到達する。 川から急な上り道を上りきると「高野龍神スカイライン」に合流する。
「高野龍神スカイライン」を進む。野迫川村との分岐点を越えて進むと道脇にひっそりと「道しるべ地蔵」 が立ち、「右ハくまのみち・・・」と刻まれている。

十七丁石

御殿川の赤い橋

道しるべ地蔵


スカイラインに分かれて左の山道に進む。 杉木立の道を進むと「水ケ峰集落跡」の標識が 緑の木立の中に立っている。やがて「林道タイノ原線」に合流し、舗装道路を進むことになる。 時々開けた所から展望を楽しみながら進むと右側に「東屋」が建っている。
「今西辻」から山道に入り、再び林道に合流して進む。 右側に「平辻」の標識が立ち、前に「道しるべ地蔵」が祀られている。「右ハくまのみち」と 刻まれている。

水ケ峰集落跡

平辻

道しるべ地蔵


広葉樹・針葉樹が入り混じった木立の中を快調に進む。再び林道に合流して進み、左の急な坂を下る。 九十九折れの道を下り、やっと「大股橋」に到着する。 今夜の宿の「かわらび荘」まで坂を上り、荷物を置いて近くの「野迫川温泉」に送ってもらう。

木立の古道

九十九折れの道

大股橋



◎「高野山〜大股」の「紀行スライド」



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4-2.「小辺路・大股〜伯母子峠〜三浦口」

今日の歩行は標高差がかなりある。大股橋(700m)から伯母子岳頂上(1344m)まで600m登り、ここから 三浦口(400m)まで900m下るのだ。

大股橋から「小辺路・道しるべ」の指示に従って、急な坂道を上り、やっとのことで「萱小屋跡」の広場に 到着する。
緩やかな上り坂はブナ、カエデの自然林の緑に覆われ、展望を楽しみながら 弘法大師が捨てた箸が桧になったと云われる「桧峠」に至る。

伯母子岳登山口・道しるべ

萱小屋跡

桧峠


ブナ、カエデの自然林が続く緩やかな坂道を上るとやがて「伯母子岳分岐点」に到着し、 「小辺路」は山小屋の方向に向かうが、寄り道をして「伯母子岳」に登る。
頂上まで直線的に上り、頂上で360度の大パノラマをゆっくりと楽しみ、「伯母子峠・山小屋」に 向かって直線的に下る。

伯母子岳分岐点

伯母子岳・頂上広場

大峯山系展望


直線の道を下ると「伯母子峠」の山小屋に着く。伯母子峠から下り坂が続く。 緑豊かな道、崖の道、尾根伝いの道と変化に富んだ古道を進むと崖崩れで迂回路を進めとの表示が あり、止むなく迂回路の急坂を上ることになる。
急な坂を上り、下ってやっと元の古道に戻る。更に下って行くと昭和の初めまで旅篭があったと云う 「上西家跡」の石垣が残る広場に到着る。

伯母子峠の山小屋

緑豊かな道

上西家跡


標高1000mの広場から400mの登山口まで下る。 すぐに「道しるべ」があり、明治22年から使われている新道と旧道・小辺路の分岐点を示すもので 旧道を進む。
尾根の急坂を上り、次に急坂を下る。広葉樹林が杉林に変わり緑が少なくなる。 杉木立を下ると長い「石畳」が現われる。「伊勢路」の石畳に 比べると未熟な作りだ。 石畳の急な下り坂を下ると関所や旅篭の石垣跡が残る「待平屋敷跡」に至る。

新道・小辺路の分岐点

石畳の道

待平屋敷跡


急坂を進むと「道しるべ」と「道しるべ地蔵」が並んで立っている。もう一つ「道しるべ地蔵」の所 で新道と合流する。 川の音が聞こえ始め、最後の急な下りをやっとのことでクリアすると「伯母子岳登山口」に到着した。 赤い「三田谷橋」を渡り、三浦口に向かって歩き始める。
五百瀬(いもせ)トンネルを抜けて五百瀬の集落に入ると南北朝時代の遺跡「腰抜田」の石碑が立つ。 道端の崖の祠に祀られた「お地蔵様」を過ぎて三浦口に到着する。

道しるべと道しるべ地蔵

三田谷橋

五百瀬トンネル


次回進むべき方向を確認してバス停のある川津への道を急ぐ。

一気に本宮大社まで行きたかったが、先達のアドバイスに従い2回に分けて進むことにした。今回の 疲労度から考えると的確な判断だった。季節の良い時期であれば可能かも知れないが、もっと 鍛えなければ難しいと痛感した。
時期をみて続きを歩こう。

◎「大股〜伯母子峠〜三浦口」の「紀行スライド」



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4-3.「小辺路・本宮大社〜果無峠〜十津川温泉」

夏に歩いた高野山〜大股〜三浦口は暑さのためバテバテの状態だった。 少し涼しくなったと思うと秋雨前線の到来で不順な天候が続き、「小辺路」踏破に踏み切れなかった。10月中旬になり、 天候が安定したので、前回の続きの三浦峠からの行程を計画したが、川津・風屋辺りの民宿が軒並み工事関係者の宿泊で 満杯状態が続いた。今までは「本宮大社」に向かって進んでいたが、 残念ながら主旨を変更して「本宮大社」から三浦口への行程変更を検討し、今まで歩いたの高野山から 熊野への「熊野道」から、熊野から高野山への「高野道」で「小辺路」踏破を実施した。

川湯温泉の「仙人風呂」を楽しみ、翌朝、本宮大社から「高野道」をスタートする。本宮大社は まだ早いので参拝者もなく、本殿に参拝する。本来は「小辺路」踏破の最後に参拝したかったが、 後半のスタートに旅の無事を祈って頭を下げる。
ここから「中辺路」を歩いた逆のコースで「三軒家茶屋跡」まで進み、前回歩いた時には気付かなかった 「小辺路・道しるべ」を確認する。
「熊野古道」の各道との分岐点をチェックしていたので、このポイントは押さえねばならない。「右.かうや 十五里、左.きみい寺三十里」と書かれており、高野山への「小辺路」と「西国三十三カ所」参りで第1番の「那智山・青岸渡寺」から第2番の 「紀三井寺」を参るのに「大雲・小雲取り越え」から「中辺路」を下って参る道の道分石なのだ。
中辺路・大辺路の分岐点「田辺の道しるべ」、大辺路と伊勢路・中辺路の合流点「那智の振分け石」、伊勢路と中辺路の 合流点「小雲取り越えの道しるべ」等々を確認したことに満足する。


本宮大社

小辺路分岐点の道しるべ

三軒茶屋跡


国道筋の歩行を避けるため、平岩口のバス停から八木尾までバスで進む。 いよいよここからが「小辺路・果無(はてなし)峠」越えのスタートだ。
「果無峠」の行程には、行き倒れの人、追いはぎで命を落とした人の供養のため「観音堂」が 建てられ、地元の人の寄進で「西国三十三カ所」を模した観音様が祀られている。
「第1番観音像」を確認して坂を上り始める。
「第4番観音像」を見て、急な坂道を上るとしばらく「尾根道」が続き、ホットするが、すぐに上り坂だ。広葉樹の緑の 小道を楽しみながら上ると「リンドウ」がたくさん咲いている。「林道の脇にリンドウ」と洒落てパチリ。この季節の和歌山・三重県の 代表的な草花なのだ。やがて小首を少し傾げた「第5番観音像」が迎えてくれる。

第一番観音像

広葉樹の道

リンドウ


結構急な坂道が続く。「第6番観音像」は古道の土手の上にあるとのことで注意して見上げて歩いて いた所、急坂の小石を踏んで滑ってしまった。右膝を打付け痛みが走る。このアクシデントが後の行程に 大きな影響を与えた。機を付けなければ。「第7番観音像」も小首をかしげて可愛い観音様だ。
正規の石造りの「小辺路道しるべ」を見て、七色集落への分岐を過ぎて上ると果無峠から30丁を示す 「三十丁石」がとんがり頭で迎えてくれ、本宮町と山々が連なる美しい展望を楽しむ。

第7番観音像

小辺路道しるべ

三十丁石


崖沿いの道を注意しながら進むと右手に丸い石の「二十丁石」が立つ。急な坂を上ると「花折茶屋跡」 と思われる広場に出る。
杉木立を歩いていると前から人が来られ挨拶する。初めての出会いだ。更に上ると「第17番観音像」 が祀られ、すぐ上が「果無峠(1114m)」の頂上だ。横には半壊した「宝篋印塔」が建ち、広場になっている。

二十丁石

花折茶屋跡

果無峠(1114m)頂上


杉木立の緩やかな下り道が始まる。杉の間伐の葉が落ちている急坂を下ると「観音堂」が建ち、 水場がある。
下り道は北斜面に面しているので、薄暗い道が続く。木立の間から部分的に紅葉した「果無の山々」 が望まれる。やがて「第24番観音像」と並んで「地蔵菩薩立像」が迎えてくれる。しばらく行くと 「山口茶屋跡」の石垣が現われる。

観音堂

地蔵菩薩立像

山口茶屋跡


少し下ると長い「石畳」が続く。なかなかの石畳だ。 「ススキ原」を通り過ぎると「天水田」の立て札が建ち、更に下ると「第27番観音像」が小首を かしげて愛嬌がある姿で迎えてくれる。。
ススキが美しい「石畳」の道を進むと「第29番観音像」が立ち、すぐに農道に続く石の階段が見え、 「小辺路登山口」の道標が立つ。やっと「果無峠」を越えたのだ。

石畳の道

第27番観音像

小辺路登山口の道標


少し農道を歩いて再び古道に入ると薄暗い「石畳」の小道が続く。 「世界遺産」登録記念石碑を見て、その横の道を下る。民家の庭を抜けると庭には「水場」が設けら れており、心使いが感じられる。薄暗く感じる杉木立の小道は「苔の石畳」で結構長く、やっとのこと で農道に下りるとここにも「小辺路登山口」の道標が立っている。
農道から小道に入り下ると川の流れる音が聞こえ、上場川に架かる「吊り橋」に到着する。
吊り橋を渡り、川沿いに十津川温泉の民宿に向かう。

十津川温泉の山々と青空

苔の石畳

吊り橋


途中、膝を痛めて苦しい歩行だったが、スタートに「本宮大社」に参拝し、「小辺路分岐点の 道しるべ」を確認し、「果無峠」を踏破出来た。
「西国三十三ケ所観音像」はNo6とNo31,32,33を探すことが出来なかったが、「果無峠」を堪能出来た。 後1日で「小辺路」踏破だ。


◎「本宮大社〜果無峠〜十津川温泉」の「紀行スライド」

◎「三十三ケ所・観音像」の「紀行スライド」



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4-4.「小辺路・十津川温泉〜三浦峠〜三浦口」

いよいよ最終日だ。三浦峠登山口の西中大谷橋まで行くバスは9時過ぎまでないので、諦めヒッチハイクで 進める所まで行こうと出発する。県道を軽トラ、乗用車に乗せていただき、途中の西川第一小学校 まで進む。少し歩いているとバスが来て乗車し、「三浦峠登山口」まで行く。
「三浦峠登山口」から坂道を上って行くが、「果無峠」に比べると道は狭く、小道を抜けると農道に なり、進むと民家の前に「道しるべ」が立っている。 いよいよ山道に入る。 日陰で薄暗い崖沿いのロープが張ってある細い道を注意しながら進むと「矢倉観音堂」が迎えてくれる。

三浦峠登山口

青空と山々

矢倉観音堂


杉木立の道が続くが道幅は狭い。やや急な勾配を上って行くと「石垣」が現われ「お墓」が祀られて いる。このような山奥に人が住んでいたのか、茶店跡なのか。
明るい「尾根道」を過ぎ、木漏れ日の峠道の道端に「五輪の塔」が頭の屋根の部分が欠けて立っている。
木立の道を進むと「今西集落」を望む展望の開けた場所を通り、やがて、「出店跡」の標識と 石垣が残っている。山の中に立派な屋敷が建っていたのだと驚く。

杉木立の道

五輪の塔

出店跡の石垣


木立の道を上って行くと「古矢倉跡」と呼ばれ、膝を立てた「お地蔵様」が座っている。 谷の下からはせせらぎの音が聞こえ、明るい日の光に輝く紅葉が美しい。
少し進むと「三浦峠・頂上(1080m)」に到着する。案内板があり、「東屋」が建っている。

古矢倉跡のお地蔵様

青空と紅葉

三浦峠・頂上(1080m)


杉木立の下り坂を進むと「道標地蔵と三十丁石」が立ち、側に「三十丁の水」が木の貯水槽に 注いでいる。
更に崖沿いの道を注意しながら進むと「二十五丁石」が道端にひっそりと迎えてくれる。 急な下り坂を 杖を突きながら下ると大きな杉の木が立ち並ぶ。この辺りは「吉村家跡」 で、大きな杉は防風林の役目をしていたとか。周りの木々とは違った堂々とした林だ。「苔むした 石垣」が家の大きさを表わしているようだ。

道標地蔵と三十丁石

三十丁の水

吉村家跡の石垣


「吉村家跡」の大杉や石垣は広範囲に続いている。下っていると「十丁石」がひっそりと立つ。
集落が近くなり、民家の間を抜けると刈入れの終わった「棚田」が広がり、 茶畑の横を通って下ると川のせせらぎの音が聞こえてくる。「石畳」の道を下ると「三浦峠登山口」 の道標に到着する。
神納川には赤い吊り橋「船渡橋」が架かり、ゆっくりと渡る。 橋を渡り、三浦口バス停に到達し、前回の高野山からのルートと合体した。 これで「小辺路」を踏破したのだ。
川津のバス停まで親切な方の車に乗せていただく。今回は十津川村の皆さんにお世話になった。

十丁石

三浦峠登山口の道標

船渡橋



◎「十津川温泉〜三浦峠〜三浦口」の「紀行スライド」

2回に分けて「小辺路」を踏破した。本来は高野山から本宮大社への「熊野道」を歩く予定だったが、 宿泊事情で両方から攻めざるを得なかったが、ともかく踏破した。
これで「紀伊路」「中辺路」「大辺路」「伊勢路」「小辺路」を踏破出来た。後は「大峯奥駈け道」 だが、どうするかは「吉野道」で吉野まで到達してから考えよう。


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(工事中)



    
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