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○ 「中山道No10」見聞録(中津川宿〜野尻宿)・(距離 32.0km(今回)/ 230.7km(累計)/ 303.3km(残距離)


10−3.(43)馬篭宿〜(42)妻籠宿・(7.9km) 2009.07.24 12:45〜16:00 曇り時々小雨


中山道全行程.Map
「馬篭宿〜妻籠宿・行程MAP」

地図の左下の再生ボタン()を押すと
見聞ルートに沿って歩行出来ます。
クリックすると拡大します。(夢街道HPより)

「馬篭宿」の東の入口を出て、「馬篭峠」を経由して「妻籠宿」に向かう。
緩やかな坂を上ると見晴らしが開け、恵那山が望まれる展望台に出る。残念ながら雲が多くて、恵那山の全景は眺められなかったが、 気持ち良い空間だ。
この辺りに来ると観光客も少なくなり、いつもの様な「中山道」に戻り、一安心だ。
広場の隅には「男女の道祖神」が祀られている。この道祖神を良く見る。
ガイドブックでは民家の間を通って進む様になっているが、迂回道が出来ていて、石段を下り、再び上って静かな石畳の道に戻る。
ここからは県道と旧街道が交差しながら進むことになる。
小さい川の向こうに水車小屋があり、満開の紫陽花の下に「水車塚」がひっそりと立っている。「水車塚」には 「水車塚 山家にありて 水にうもれたる 蜂谷の家族四人の記念に 島崎藤村しるす」と刻まれている。

展望台からの恵那山

水車小屋 説明

水車塚


画像をクリックすると拡大します(以下の画像も同様)

気持ち良い石畳の道を少しづつ上って行く。「梨子ノ木坂」の石碑が立つ石畳は、木々に囲まれて気持ち良い。向こうから 外国人の家族が下りて来る。「こんにちは」「コンニチワ」と挨拶を交わす。不思議なことに、これから「妻籠宿」までで 出会った人は、ほとんどが外国人だった。ガイドブックのPRが効いているのだろうか?
「十返舎一九の碑」が立つ。「東海道中膝栗毛」で有名な十返舎一九が「木曽路」を旅して「渋皮の むけし女は見えねども 栗のこわめし ここの名物」と狂歌を詠んでいる。
少し上ると古い民家が建ち、玄関には木製の「常夜灯」が立つ雰囲気は旧街道そのものの感じだ。
県道との間の石段を上ると「熊野神社」が鎮座する。「中山道」周辺には時々「熊野神社」が祀られている。本殿に参拝するが、 由緒等、史実を記述したものは見当たらない。
「熊野古道」紀行時、ご指導いただいた「みくまのねっと」に投稿しなければ・・・ と思いながら実行出来ていない。

十返舎一九の碑

古い民家の常夜灯

熊野神社


正岡子規の句碑

県道と交わったり、離れたりしながら旧街道は「馬篭峠」に向かって上って行く。
峠への県道を進んでいると長野県との県境を示す標識が立てられている。
現代の県境は昔の国境より随分東に来ている。 岐阜県から長野県に踏み込んだことになる。

すぐ上に「馬篭峠」の石碑が立つ。「正岡子規の句碑」でもあり、「白雲や青葉若葉の三十里」と 刻まれている。この辺りは句碑が多い。
横には「峠の茶屋」が古風な建屋で雰囲気を出している。茶店の椅子に親子連れの女性が休憩しておられ、久し振りの 日本人と挨拶を交わす。

「馬篭峠頂上・801m」の標識が立つ。
中津川から歩き始め、緩やかな坂、急な坂道の頂点に到達したのだ。
「馬篭宿」と「妻籠宿」の中間ではないが、峠の頂上に 到達したのは嬉しい。
中津川が標高300mだったので、約500m上って来たのだと 振り返り、これからの下り坂に備えて、一息入れる。(14:00)

長野県との県境

馬篭峠頂上・801mの標識

峠の茶屋


「妻籠宿」への下り道は、木々の間を通る石畳や地道で気持ち良い旧街道だ。やはり、地道を歩くのは快適だし、下り坂なので トントンと進む。

石畳の道

地道を進む

ここでも、外国人のご夫婦と出会う。
ラテン系と思われる陽気なご夫婦で、楽しげに話しながら来られ、挨拶を笑顔で交わす。
少し 進んだ急坂の上で、外国人男性が立ち止まり、遅れる奥さんを待っている。挨拶を交わして下ると奥さんがフーフー云いながら、上って 来られた。
「こんにちわ、ファィト」と声をかけると、「コンニチワ、サンキュー・バイバイ」とご主人の方に上って行かれる。本当に 外国人観光客が多いのには驚く。

静かな檜木立の道を下っていると「石仏群」が祀られている。峠の道にも「馬頭観音」始め石仏が静かに祀られてるのだ。この 峠道で行き倒れた方もあったのだろうと想像する。

石仏群

せせらぎに沿って峠道は下って行く。せせらぎの音と蝉の声が静けさを増すように感じる。誰にも出会わない道を進むと人家が見える。

「一石栃立場茶屋」がひっそりと建っている。茶屋の前に水舟があり、水を蓄えている。その水でタオルを洗い、顔を拭う。 祭りのハッピを着た方が出て来られ、休憩して行くように勧められる。茶屋の中には囲炉裏があり炭火がおこっている。そのお湯で お茶を入れ、一杯いただく。
昨夜は「妻籠宿」のお祭りの神輿の番をしていて眠っていない。今夜がフィナーレだから、妻籠で泊まるなら楽しんでくださいと。 夜店も出るし、振る舞い酒も出るので・・・・・・と。
横には「一石栃白木改番所跡」の説明板が立っている。「白木改番所」は方々にあり、当時の木曽檜の重要性が 良く理解出来る。この辺りが「馬篭宿」と「妻籠宿」の中間地点になるらしく、お礼を云って次に進む。

檜木立の道

一石栃立場茶屋 説明

一石栃白木改番所跡 説明



「馬篭宿〜妻籠宿@」の「紀行スライドショー」

男滝

女滝


檜が立ち並ぶ道は薄暗い。時々、ポツンポツンと檜の葉から水が落ちて来る。雨が降っていないのに、後から雨の様に落ちてくるのは 木々の保水力が多いのが分かる。針葉樹でこうなのだから、広葉樹であれば、もっと保水力はあるのだろう。
せせらぎの水辺でタオルを冷やし、鉢巻・首巻きと体を冷やしながら、暗くなったり、明るくなったりと刻々と変化する地道を下る。
「庚申碑」がひっそりと立ち、しばらく進むと「男女の道祖神」が祀られている。
舗装された林道を下っていると「男滝・女滝」への道標が示されているので、立ち寄ることにする。

檜木立の道

せせらぎ

庚申碑 男女の道祖神


男滝 説明

女滝

一昨年、ドライブで訪れた時は「男滝・女滝」の周りには、観光客が多く、滝の側に行くのも時間がかかったが、誰もいない。 見事な2本の滝とマイナスイオンを独り占めにする。
吉川英治の「宮本武蔵」ではこの滝で修業したことやお通とのロマンスが記されていたそうだが、覚えていない。
「男滝」は太くで水量も多く、近くに行くと水しぶきが全身に降り注ぐ。汗で濡れた体には粉末のシャワーを浴びているようで、 気持ち良い。
「女滝」に向かう。滝までの距離があり、側までは行けないが、スマートな姿を見せている。滝からの水にタオルを浸し、顔を洗い、 鉢巻・首巻きの行事を行う。「男滝」に戻り、しばらく滝を見ながら休憩する。(14:50)

遠くで雷鳴が聞こえて来る。夕立がありそうなので、元来た道に戻り、「妻籠宿」への坂道を急ぐ。

倉科祖霊社 説明

馬頭観音

石畳の下り道

道横に小さな祠が建つ。「倉科祖霊社」で豊臣秀吉の時代の武将の逸話があるようだ。地道の坂を下っていると 石の表面が崩れた「馬頭観音」が祀られている。
峠道には「道祖神」や「馬頭観音」がたくさん祀られていることを再認識する。
しばらく進むときれいな石畳が続く。石畳が九十九坂のようになり、下りの坂道がきつく、少し滑り易い。
県道と合流し、再び旧街道に入ると立派な「庚申塚」が建ち、少し進むと「大妻籠」の集落に入る。
「妻籠宿」に近いが、その賑やかさはなく、鄙びた雰囲気が漂う小さな宿場町だ。旅籠がそのまま旅館になっている店もあり、 見事な袖卯建(そでうだつ)に見惚れる。こんな民宿に泊まるのも良いと思う次第だ。
「水車小屋」の水車は動いていなかったが、檜屋根の上には石が置かれているこの地方独特の屋根を珍しく眺める。

庚申塚

大妻籠・旅籠

水車小屋


「大妻籠」の雰囲気のある集落を後にして、木立の道を進む。道脇の柿の木には小さな実が付き始めている。「木曽路」は秋の 趣きも感じさせるのだ。
田島橋を渡り、「妻籠宿」に進む。大きな「妻籠宿」の看板が迎えてくれ、やっと今日の宿泊地に到着したことに安堵する。 人通りのない静かな道を宿場の中心に向かうと、古い民家の軒先に藁で作られた馬が飾られている。やはり雰囲気の違う宿場町だ。
道端には「水舟」が置かれ、花が飾られたりと宿場の人達の心意気が感じられる。祠が祀られている。「おじゃごじさま」と 云われる土俗信仰の神様が祀られている。古代からの信仰が脈々と続いているのだ。

妻籠宿の看板

軒先の藁で作られた馬

おじゃごじさま 説明



「馬篭宿〜妻籠宿A」の「紀行スライドショー」


妻籠宿のお祭り

お神輿


さあ、いよいよ「妻籠宿」に到着した。昨日からのお祭りがどんなものか見るのも楽しみだ。

妻籠宿の街並み

<歴史の面影を残す宿場町>
江戸と京を結ぶ中山道は、山深い木曽路を通ることから木曽街道とも呼ばれていました。
中山道69次のうち江戸から数えて42番目となる妻籠宿は、中山道と伊那街道が交叉する交通の要衝として古くから賑わいをみせていました。
<町並み保存運動のはじまり>
時代が変り明治になり鉄道や道路が新たに造られ、宿場としての機能を失った妻籠宿は衰退の一途をたどりました。
やがて昭和になり経済成長の中、江戸時代の宿場の姿を色濃く残している町並みが見直され、ここに全国に先駆けて保存運動が 起こったのです。妻籠の人たちは町並みを守るために家や土地を 「売らない・貸さない・壊さない」 という3原則をつくり、ここで生活しながら、江戸時代の町並みという貴重な財産を後世に伝えているのです。(妻籠宿観光協会HPより)

宿場に入ると家々の軒にはお祭りの提灯が飾られ、静かな中に華やかな雰囲気がある。
「妻籠宿」は「馬篭宿」に比べると 人通りは少なく落ち着いた風情がある。
ここも、一昨年に訪れているのでさっと見ることにする。当初の形式を留めた庶民の旅籠「上嵯峨屋」は間口を開けて公開している。 その横には「馬屋」が保存されている。そのままの姿で再現している宿場の方々の熱を感じる。
電柱の立っていない街並みを進むと「妻籠宿」の庶民の住居を再現した「下嵯峨屋」が迎えてくれる。

上嵯峨屋 説明

馬屋 説明

下嵯峨屋 説明


寺下の街並みから「枡形の跡」を通り、「観光案内所」に立ち寄るが、特に目立ったものがなく、資料も有料でパスし、「妻籠宿本陣」に 向かう。

枡形の跡 説明

妻籠宿本陣

この辺りが、お祭りの中心になるらしく、小雨が降る中、夜店の準備で慌ただしい雰囲気だ。
「妻籠宿本陣」横のテントの中には、お祭りの主役となる「お神輿」が静かに出番を待っている。
向かいには古風な「妻籠郵便局」が建ち、前にはポスト代わりに「書状集箱」が立っている。宿場に合ったもので微笑ましい。
少し進んだ所には、立派なお屋敷が建つ。これが「妻籠宿脇本陣」で、島崎藤村の初恋の「ゆふ」さんの嫁ぎ先だと。
軒先に「大きな鉄釜」が置かれている。当時使っていたものであろうが、大きいのには驚く。

お神輿

妻籠宿脇本陣

大きな鉄釜


雨が少し強くなって来たので、歩を速める。今日はここで泊まるのだから、明日の朝、ゆっくりと見学出来ると考えて、宿場の東端に ある民宿に急ぐ。
「水車小屋」が水を受けてグルグル回っている横には「高札場」が堂々と建ち、坂を上って行くと「口留番所跡」の碑が立っている。
その上の木立の中に、「中山道」三名石の一つ「鯉岩」がそびえる。鯉の形に似ていたが、地震で頭の部分が落ちたそうなので、形が 分からなくなっている。

水車小屋

高札場

鯉岩 説明


「妻籠宿」を駆け足で西から東に歩いた。今日の宿泊場所は、宿場の東端に建つ民宿「大吉」さんだ。古風な玄関のくぐり戸から 入ると若女将が迎えてくれ、部屋に案内される。玄関は坂に面しているので、部屋は階段を下る地下になるが、窓の外は緑豊かな 水田が広がっている。濡れた衣服を脱ぎ、一息入れる。今日の歩行は34000歩だった。(16:10)

民宿・大吉さん

夕食


お風呂が沸いたと知らされ、浴室に行くと檜風呂だ。広い浴槽に体を伸ばすと檜の香りがする。本場の檜を使った浴槽は嬉しい。
部屋でテレビを見ながらくつろぐ。小雨が降り続いているので、今夜のお祭りが心配だ。
18時前から夕食になる。同宿のご夫婦と3人で楽しく話しながら。鈴鹿から霧ヶ峰にドライブされ、明日はゆっくりと帰られるそうだ。 食事は地元の食材で、馬刺しがあるのは嬉しい。長野と熊本に行ったら必ず食べる好物だ。ビールで乾杯し、次々とご馳走をいただき、 芋焼酎にも。「大吉」銘柄の芋焼酎で、特注品だそうだ。
ご夫婦は日本酒が好きなようで、銘柄を2つ選んでおられる。美味しいと。その言葉を聞くと久し振りに日本酒を飲みたくなり、地酒の 「鷺娘」をいただく。美味い。久し振りの三種混合だ。

美味しい夕食をいただき、お祭り見物に出かける。宿泊した日がお祭りとはラッキーだ。
坂道を下りて行くと、街並みの提灯の灯りが幻想的に輝いている。昼間とは違った趣きの中に進んで行く。「馬篭宿本陣」周辺は 賑やかで、人がたくさん集まっている。子供の姿も多く、山村の静かな集落にもたくさんの子供がいるのに驚く。
軒下に吊らされた「提灯」の灯は雰囲気一杯だ。

街並みの提灯の灯り

軒下の提灯

夜店の賑わい


外国人の夫婦や家族連れも日本のお祭りを楽しんでいる。短い浴衣を着て、下駄を履き、団扇を持っている姿は日本に同化している。
お祭り独特の振る舞い酒をいただく。前の外国人に、係りの人が身振りで説明している。
"Japanes welcome drink is SAKE"と枡の上に塩を置いて、見本を示すと同じように飲み、goodと。枡酒を飲む機会はそんなに ないので、良い経験をされたであろう。
次に、係りの人が「どぶろく」を勧めている。どう云って良いか分からないので "source of SAKE" と云うと、意味が通じたのか コップをの臭いを嗅いで、no と首を振って断られた。それ以上説明できないので、握手して別れる。
「お神輿」が集落を廻って戻って来た。太鼓と笛の音に合わせて、元気よく担いで来る。大きな団扇で景気を付けている。間近で 「お神輿」を見て、元気をもらう。コンパクトだが、威勢の良い「お神輿」だった。

振る舞い酒

妻籠宿のお祭り

お神輿


振る舞い酒をいただき、気持ち良い気分で民宿に帰る。夏祭りを妻籠で経験するとは思わなかったとの満足感でフラフラと。 21時30分頃に戻り、布団に入ると直ぐに眠ってしまう。疲れと満足感で熟睡だ。
明日の早朝の散策を楽しみに・・・・・・

「馬篭宿〜妻籠宿B」の「紀行スライドショー」


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