○ 「大辺路 No5」見聞録 

5.古座〜湯川
 2005.01.18 12:40〜16:40 晴れ

「青春18きっぷ」が1枚残ったので「大辺路」の続きにトライする。残り行程は少なくなったが、 往復時間が長くなり実質歩行時間が短く計画に頭を悩ます。
前回の紀伊姫から古座まではR42沿いの旧道を歩行するので省略し、古座駅まで行き、少し姫側に 戻って史跡を見た後、古座川を渡り史跡を探そうと考えた。
先達のHPによれば、古座から紀伊浦神までの古道はR42沿いであるため、危険な歩行はパスして、 JRは適当な便がないのでバスで進むこととし、時刻を調べる。

紀伊浦神からは詳細なガイドブックがあるが、鉄道から離れて峠道を進み、最終地点の「那智・振分け石」 まで行くコースだ。全てを歩くのは時間的に無理があるので、数通りのエスケープコースを検討し、状況に応じて 対応することにした。
いつもの様に同好の方のHP 「tatubouの熊野詣」を印刷して参考にさせていただく。

今回も5時半に家を出発する。新大阪発 6:27の快速で田辺を目指すが、4人席から前の2人席の 車両に戻っていたのでウトウトと眠り和歌山へ。晴れ渡った太平洋を眺めながら田辺着 9:34。

串本駅・本州最南端標識

1時間以上待つ間に駅の食堂で朝定食を食べ、時間を潰す。食堂の新聞を読んでいると和歌山版に 高野山が白銀に覆われている写真があった。「奥の院・町石道」歩行のチャンスだ。以前、駅に置いて あった地図は利用者が多いのかもう無くなっていた。

10:47発の新宮行で出発する。列車には「青春18きっぷ」利用と思われる熟年の方、御夫人のグループで 賑わっている。串本駅で10分時間待ちで停まっている間に「本州最南端駅」の標識を見つける。以前、 「青春18きっぷ」で「日本最南端駅」の鹿児島県・西大山駅に行ったことを思い出す。
先日の紀伊姫駅を過ぎ、海岸線を見ながら歩いている気分で車窓からR42沿いの旧道を眺める。 古座着 12:38。6時間かかるのだ。

古座川病院からのバスが13:24発なので40分の間に史跡を探さねばならない。古座駅の写真も撮り忘れ 姫の方向に戻る。R42の手前の旧道を進み、通りかかったご夫人に「原町の小堂」を聞くともう少し 行った所とのことで急ぐ。道端にお堂が祀られていた。暑くなり、ジャンパーを脱ぐ。
急いで元来た道を引き返し、古座川に向かう。川岸の前田建材店付近が「西の渡し場跡」とか。 すぐに古座大橋に向かうと橋のたもとに1954年ビキニ環礁で水爆に被爆した「第五福龍丸」の記念碑が 立っている。この地で船が建造されたそうだ。小さい頃の事件を思い出した。
歩道も無い「古座大橋」からは「潮岬」が望まれ太平洋が美しい。 バス停の位置が分からないので橋の上から「東の渡し場跡」を写し、橋を渡り旧道に入る。

原町の小堂

第五福龍丸記念碑 説明→

古座大橋


潮岬展望

東の渡し場跡

古座川上流展望


旧道には「古座神社」が鎮座し、おばあさんに「一里塚跡地蔵」を尋ねると神社横の細い道を上った 所に祀られているとのことで急ぐ。細道の家の横に一里塚から移された高さ1.5mの立派なお地蔵様が 祠もなく祀られていた。
この辺りには「札の辻跡」「古座の一里塚跡」があるのだが、時間が無くバス停を探す。国道に出て 少し行くと古座川病院バス停に到着し、ホッとする。13:20で待つ間に海に浮かぶ「九龍島(くろしま)」 を眺める。

古座神社 本殿→

一里塚跡地蔵

九龍島 説明→


ほぼ定刻通りバスが来た。乗車して「大辺路」のR42をバスで進む。歩道のある所が少なく歩いていれば 危険一杯だ。JR紀伊田原を過ぎ、約20分で浦神バス停で降りる。(13:45)
JR紀伊浦神駅に行き、ガイドブック通りにスタートする。駅前の旧道を進むと「大辺路・道しるべ」が現れ、 左折し「鹽竈神社」の赤い鳥居を過ぎて踏切を渡ると「海蔵寺」が立ち、道なりに山の方向に進む。 青空に向かって進む古道は気持ち良く少し汗ばむ位だ。

紀伊浦神駅

海蔵寺

山への古道


帰りの列車は前回より2時間後の便にしているが、先を急がなければ・・・。
長光橋を渡る頃から地道になり、林道を進むと「炭焼き小屋」が現れ、作業をしておられる方と話す。 備長炭を作っておられ、炭焼き小屋はこの辺りでは昔はたくさんあったが、今はわずかだで、窯出し まで2-3週間かかるとか。
淡々と林道を歩くが、古道への分岐道が無く、トンネルに突き当たる。これはおかしいと気付き、先達の HPを読むと白いガードレールの先に「道しるべ」があると。急いで戻るが、20分のロスは時間の無い時に 痛い。やっと「道しるべ」の所に戻って、よく見ると「道しるべ」の角度が少し悪く、上ってくる時 見難い。(自分の不注意を棚にあげて)(14:18)

炭焼き小屋

間違った林道のトンネル

大辺路の道しるべ


細い坂道を上る。気持ち良い道に「木漏れ日」が降り注ぎ明るく輝いていたり、倒木を越えたり 「シダの道」を楽しみ「休平(やすみたいら)峠」に到達する。(14:30)
茶屋跡らしい平坦な所には「延亨元年/浦神住/願主順西」の台座と標識が立っている。ここで一息 入れ、お茶を飲む。

木漏れ日の古道

シダの道

休平


峠の下り坂は急だが杉木立ではなく雑木の中を下る。この雑木林が炭の原料としてこの地に炭焼き 小屋があるのだと納得する。「熊野古道」は昔は照葉樹が多かったのが、植林で杉・桧が多くなった そうだ。保水のためにも照葉樹の植林を増やさねばと、炭焼き小屋と照葉樹林で思う。
シダの生い茂った道を下ると「地蔵道標」が迎えてくれる。「右ハやまみち、左は大へち」と 刻まれている。(14:46)
山道が林道となり進んでいると小型車が上って来た。珍しい出会いに道を避けて通す。 間違って進んでいたトンネルの林道と合流し、進むと「角型道標」が「右ハやまみち、左は大へち」と 「大辺路」を印している。

照葉樹の古道

地蔵道標

角型道標


「休平峠」を抜け、向地集落ののどかな道を進む。「道しるべ」に従って進むと山沿いに 「大原神社」が祀られ、陽射しの気持ちの良い農道を道なり進むが「弘法大師と地蔵尊」を見落として しまう。舗装道路にぶつかり、前に「大泰寺」の入口があり、舗装道路を少し進んだ所の舗装道路を 左折する。道なりに進むと無人販売所がありポンカンを売っていたので買い求め、すぐ前の 「諏訪神社」で休憩する。(15:20)
先日行った「諏訪大社」の6500社ある分社の一つだろう。汗を拭い、一息入れる。

向地集落の古道

大原神社

諏訪神社


大田川を渡り右に進み、すぐに左折し市屋集落の「大田神社」に参拝する。しばらく行くと 「道しるべ」が左折を示し、山道に入って行く。市屋峠の緩やかな「峠道」を上ると頂上に 「市屋峠地蔵」が崖に沿って立ち、一息入れ先程買ったポンカンを食べる。ジューシーで美味い。(15:40)

大田神社

市屋峠の古道

市屋峠地蔵 標識→


時間も迫って来たので急ぎ足で下ると与根河(よねご)池に出る。今は閉鎖されたあのグリーンピア南紀 の敷地を通る。池はミラー状になり見晴らし台が写っている。急いで歩いていると「お地蔵様」が祀られ、 池を抜けた舗装道路との交差点で散策中の方と出会う。お話すると近くの方だが「大辺路」は歩いた ことがないとのことで、これから歩こうと感謝される。(16:00)
少し上ると「道しるべ」が急な坂を示し、ロープが張ってある急坂を上る。細い道でなかなか厳しい。 汗をかきながら「ニ河(にこう)峠」の頂きに到着するが標識は無い。ここで一息入れる。(16:15)

与根河池

お地蔵様

ニ河峠頂上


下りも急で、崖沿いの道は細くて滑り落ちそうな危険を感じる。「道しるべ」に沿って進むとニ河川の 渓谷に下りてしまう。間違いないはずだと反芻しながら、雨が降ったら歩けない川の中を石伝いに 進むと標識があり、間違いなかったと安心するが、何か表示が欲しい場所だ。
渓谷の道は夕暮れも迫り薄暗く不安になって来る。川沿いに進むと小さな四辻となり、工事中なのか 軽トラが停まっているが誰も居ない。どちらに行くべきか迷う。ガイドブックにも特に注意はなく、薄暗く なっているので間違ったら大変だと多少不安になるが、真っ直ぐに行くことにする。「道しるべ」が 欲しい。
やがて視界が広くなり人家が見えて来てほっとする。河原から「猪垣」のドアを開けて橋に上る。 (16:30)

出発前に帰りのプランを色々と検討した。最終の那智までは行けないのは明白であったので、湯川駅 からの乗車を考えていた。ベストプランは湯川温泉で汗を流して・・・と。湯川発田辺行は17:39と 時間はあるが、湯川温泉に行く時間はない。湯川発新宮行が16:52にあるので、これで勝浦に行くこと とする。
湯川駅方面に歩くと10分かからずで到着し、ホームで汗を拭きTシャツを着替える。ホームから見る夕暮れの 太平洋が美しい。

ニ河川・渓谷の道

湯川駅

夕暮れの太平洋


湯川から一駅新宮寄りの紀伊勝浦に行き夕食を食べることにする。30分しか時間がないので、 「中辺路」紀行時に立ち寄った駅前の「まぐろ丼」屋さんでビールで乾杯し、珍しい鯨のベーコンとおばけ をつまみに一杯やり、まぐろ丼を食べる。
前回より遅い17:35発の列車で帰路に着く。紀伊田辺、御坊、和歌山、大阪で乗換え高槻に着いたのは 「青春18きっぷ」の馬車がカボチャに変わる寸前の23:54。6時間以上の旅を終えて日付変更線を越えて 帰宅した。

往復12時間以上かかるために歩行時間は短かったが、ほぼ予定の行程をクリア出来た。次回は「大辺路」 最終行程の那智「振分け石」に到達し、「伊勢路」「中辺路」と合わせて紀伊半島一周の「熊野古道」 紀行の完了となる。
熊野市から本宮大社への「伊勢路・本宮ルート」と合わせて泊りがけで実行しようか・・・楽しみながら 検討しよう。本日の歩行は24000歩だった。









    
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