◎ 「アルベロベッロ~ナポリ」(2017.01.17.<火>) 旅行も7日目を迎えたが、何時ものように5時過ぎに目覚める。 朝食は、相変わらずの緑のない寂しいものだが、パンとジュースが美味しいのは救われる。ヨーロッパの食生活は・・・!? スーツケースを整えて、ロビーまで運び、ホテルの前に出て見る。昨夜は雨で霞んでいた街並みも薄明るくなっている。今日は好天だと一安心する。 添乗員が来られる前に、昨夜歩いた街並みを縫ってジャンジローラモ広場に向かう途中、街中にあるトゥルッリとビルの間に太陽が顔を出す瞬間に出会い、パチリと。 静かなアルベロベッロの街並みを抜け、ジャンジローラモ広場に行くと教会が迎えてくれるが、人は誰も居ない静けさだ。 昨夜行った高台の展望台に向かう。昨夜は暗くて満足に望めなかったアルベロベッロの景観を眺める。 青空の下、朝日を浴びるトゥルッリの白壁やとんがり屋根は、今まで見たことのない景観で、その輝きの見事さにしばし魅入る。今まで写真でしか知らなかった 景観を現実に満喫し、大満足だ。 展望台の下をのぞくと甕がたくさん並んでいる。トゥルッリからの雨水を溜める甕なのだろうかと話しながら階段を下りて行く。階段の途中から、青空・教会・ トゥルッリのとんがり屋根・街灯の構図を見付けたのでパチリと。 更に下るとトゥルッリの上に半月が見られたのでパチリと。電線が邪魔だが仕方ない。 広い道路を渡って、商店が多いモンティ地区の坂道を上って行く。まだ誰も居ない白壁のトゥルッリを楽しみながら味わい上って行く。青空に映えるとんがり 屋根のハート型の文様がはっきりと見える。 狭い石畳の小道の両側に、白壁が連なっている景観は今まで見たことのない光景だ。昨夜立ち寄った「陽子さんの店」からご主人が出て来られたので ご挨拶して上って行く。 昨夜の霧の中の散策も趣があったが、晴れ渡った青空の下での散策は気持ち良い。 少し上るとトゥルッリのとんがり屋根に種々の文様が描かれている。それぞれの文様に意味があるのだろうが、キリスト教に関する象徴的な文様だろうと想像する。 面白い景観に見惚れる。 景観を楽しみながら、丘の上に建つ「聖アントニオ教会」まで向かう。昨夜の霧で煙った教会ではなく、白く輝く美しい教会だ。ここで、鐘の音が響くと 最高だと思いながら、出発時間があるので、坂を下り始める 晴れていた天候は曇り始め、薄っすらと霧が出て来た。少し幻想的になって来た街並みを下っていると土産物屋が 店を開けて、おばあさんが呼び込んだので、店に入ると何と陳列棚に「白川郷」と書かれた提灯が吊るされている。日本人観光客がプレゼントしたのかは 分からないが、出国以来、初めての日本語文字に心を打たれる。 霧に煙り始めた街並みを急ぎ足でホテルに戻る。昨夜の雨と霧、今朝の晴天と霧と色々なアルペロペッロの姿を眺めることができたのは幸運だった。 「白川郷」の提灯が飾られている理由が判明した。2/25放映の「世界ふしぎ発見」の番組で、珍しい屋根繋がりの街として、 アルペロベッロのとんがり屋根(トゥルッリ)と白川郷の合掌造りを題材にし、アルベロベッロと白川村が姉妹都市であることを紹介していた。アルベロベッロのおばあさんが 何度も白川郷を訪れたことも紹介していたので、ひょっとしたら、あの呼び込みをしていたおばあさんではと思った次第だ。 何をともあれ、疑問に思っていた「白川郷」の提灯には、姉妹都市と云う強い絆を通して交流していたことが分かった。 8時55分、全員が揃ったので、本日の予定である洞窟住居の建つマテーラを経由してナポリに向かう。 バスは丘陵地帯の真っ直ぐな車の少ない国道を進む。 添乗員から嬉しいプレゼンとがあった。イタリアでは有名なチョコレート・Bacettiが配られ、美味しくいただく。 丘陵地帯の車窓の広大な景観を楽しんでいると道には雪を除雪した形跡が見られるようになり、やがて、一面雪景色の雪原に変わって行く。 日本でも寒波が来ているようだが、南イタリアでも猛烈な寒波が来たことを表す光景だ。 段々と雪が深くなり、少し心配したが、除雪も行われており、真っ白な平原の中の国道を雪を見ながら進む。昨日、初雪を見たが、今日は本格的な 雪景色をイタリアで見ることができ嬉しくなる。 雪の平原を抜け、残雪が残る丘陵地帯を通ってマテーラに到着し、駐車場で現地ガイドと出会い、洞窟住居跡の街・マテーラの見学に向かう。 市街地は石畳もあるが、モダンな店も多い。 地中海地域にみられる、谷の岩場の斜面を掘った洞窟住居サッシ群が広範囲にわたり完全な形で現存している貴重な遺跡。 洞窟に作られた教会内部マテーラの洞窟に人々が住むようになったのは旧石器時代に遡るともいわれていますが、その後時代とともに家としての形が 整えられ、通路や教会も築かれて人々が生活を営む街が形成されていきました。 小さな洞窟住居が谷の斜面の崖にへばりつくように上下左右に並んでいる様は圧巻です。(イタリア観光局HPより) 以前、「トルコ旅行」の時に訪れたカッパドキアのギョレメの洞窟住居は素朴に感じたが、 マテーラの洞窟住居は、もっと都市化していて、住民も多かったと思われるとともに、今も居住しているのには驚く。 展望台から周辺を一望する。左側には、サッシと呼ばれる洞窟住居が教会を頂上に、岸壁に沿って住居が密集している。良く見ると岸壁に穴が開いたように なつている建設中(?)の住居も望める。川を挟んだ対岸は、石灰岩がむき出しの状況で、今の住居もこの様な自然の岸壁から変化したのだろうと 想像できる。住宅地には道も通っているようで、岸壁と対比すると丘の上の高級住宅のようにも思える見事な景観だ。 展望台でサッシの見事な景観をバックに写真を撮り、市街地を通ってサッシのある住居跡への階段を下りて行く。 階段を下りながら、間近に洞窟住居・サッシを眺め、そこに人が住んでいる気配を感じる。そのサッシが階段・小道に集中して建っているのだ。岸壁の住居跡 にも石畳の車が通れる道路が設けられているのは生活している証しだろう。 現地ガイドが指さす壁を見ると貝殻が付いている。この石灰岩は海から隆起したことを示す貝殻だと。 岸壁の真ん中辺りまで来て、下を眺めると道路とともに対岸の断崖との間に川が流れ、住宅地と荒涼な岸壁の差を改めて感じる。先程の展望台の方向を 見上げるとサッシが重なるように立ち並んでいるのが分かる。 現地ガイドの案内で、入場料を支払い、サッシの中の見学となる。狭い空間には、寝室・台所・居間に加えて馬を飼っている模型もあり、薄暗い室内を 見学するが、よくこんな所に住んでいるのだと感心する次第だ。 更に下って、教会の前の広場に到着する。先程の展望台から随分歩いたので、一息つく。ここから、再び上り始めて、展望台の延長線上に当たる場所に 進むのだ。サッシの間を下って、教会から上る行程で、結構な距離になる。足の弱い方には無理な距離だが、誰一人落伍者の無いのは素晴らしい。 石畳の坂道を上って行くと道角にマテーラのサッシをイメージした模型が飾られている。頂上の教会から、岸壁に沿ってサッシが築かれている様子が分かる。 その先には、お洒落なサッシがあり、ガイドの解説では、ホテルになるそうだ。洞窟ホテルはカッパドキアで入ったことがあるが、道路もない、ここまでの道のりが大変だと 思った次第だ。 トンネルのような石段があり、それを抜けて上ると市街地の教会の前に出る。展望台から市街地を進むとここまでは近いが、サッシの中を下って、 また上って来たのだ。この行程で、岸壁に建つ洞窟住居・サッシの様子が良く理解できた。 小さな展望台からは、歩いて来た方向のサッシが眺められ、違う方向から見たマテーラの景観も興味深い。 随分アップ・ダウンしたので、ここで昼食となる。石段を少し降りた洞窟レストランに向かう。 階段を下りると建物は岸壁にあるので、居住空間は全て洞窟の中にあるようだ。このレストランも同じような造りになっており、店の前の広場からも 他のサツシが望まれる。 Uさんご夫婦と同席し、ビールと白ワインを注文すると妻が頼んだ白ワインはデカンタに入れて運ばれて来た。同じ料金(5€)でその量の違いに驚く。やはり、南イタリア のワインは安いのだと再認識する。料理は、オレキエッティと云われる郷土料理らしく、パスタ・肉料理を美味しくいただく。 サッシの感想や良く歩きましたねと話しながら、食事を終えるとアイスクリームのデザートもあり、満足する。 昼食を終え、教会の前の広場で自由時間となる。小さな土産物屋があり、店員さんと身振り手振りで話し、値下げに成功し、サッシの小さな壁掛けを 購入する。店を出てメンバーに話すと数人が買いに行くが、その値段にはならなかったと。 しばらく進むと空が真っ暗になり、土砂降りの雨となった。見学時は問題なかったので、良かったが前が見えない位の豪雨に 驚く。 豪雨の中の丘陵地帯を進んでいると前方の山々に雪が見えてくる。やはり、高度の丘陵地帯・山には雪が残っているのだ。道路には、雪が残っていないが。 順調にドライブして来たが、夕暮れが迫るナポリ近辺に近付くに連れ、渋滞が起こってきた。 「ポジリポの丘」からのナポリ湾の景観を見学する予定だが、 暗くなり期待できない。 ナポリ湾を望める「ポジリポの丘」に到着し。下車して撮影タイムとなるが、真っ暗なナポリ湾と対岸の灯りを写さざるを得ない。ピンボケの記念写真をパチリと。 バスは海沿いに進み、「卵城」近くに停車し、真っ暗な海を見ながら、ライトアップされた門に向かう。その先のヨットハーバーの向こうに「卵城?」があるようだが、 薄暗くて望めない。 ナポリの見学を終え、夕食のレストランに向かう。今夜はナポリ名物のピザなので楽しみだ。 街中の街路を駐車する車の間を抜け、こじんまりしたレストランに行き、ビールで乾杯する。写真を見ると銘柄が違うビールがあるが、何故だか思い出せない。 旅も終盤になると、記憶が定かでなくなるのは○○せいだろうか!? 野菜サラダから名物のピザが運ばれ美味しくいただくが、日本で食べるピザとの違いは分からない舌だ。しかし、美味しい!! デザートも楽しみ、 天気の良かったアルペロペッロの朝、雪景色、マテーラのサッシと激しい雨のドライブ、暗闇のナポリと変化に富んだ一日を想い出しながら談笑する。 楽しい夕食後、今夜のホテル、スイーツアンドレジデンスに向かう。 部屋割りを聞き、早速バスタブにお湯を張って、疲れを癒す。さあ、明日の観光で、今回の旅も終了だと思いながら、ぐっすりと眠る。
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