「青春18切符」...「雪景色・鉄人28号・慰霊祭を訪ねる旅」




○ 2010.01.17.(高槻→近江塩津→敦賀→新長田→高槻)

冬の「青春18きっぷ」は「中山道紀行」で使い、残りは正月に熱田神宮に初詣して、「ひつまぶし」を食べようと計画していた。 正月の初詣は実施出来なかったので、如何に使うかと検討した所、雪景色を見ようと決め、敦賀方面にぶらりと行くことにする。

○、高槻(9:46)→近江塩津(11:35・12:01)→敦賀(12:14)→敦賀散策→敦賀(13:23)→神戸(15:54・15:56)→新長田(15:59)→ 兵庫散策→新長田(17:57)→神戸(17:59・18:03)→高槻(18:46).===> 382.6km・6300円

今日1/17は「阪神・淡路大震災」発生から15年となる日だった。早朝から神戸の慰霊祭の模様をテレビで放映され、手を合わせた。
当時、現在の家の改築中で、仮住まいで生活しており、初めての経験の揺れに驚いて飛び起きた。母・妻の安全を確認し、 改築中の家の異常ないことを見て、近所に住む同僚の車で会社に急いだ。工場内は少しの荷崩れはあったが、問題ないので一安心。 その後のニュースで阪神高速が倒れ、電車が高架上から落ちそうになった映像に被害の大きさを初めて知る。そして、神戸市内の火災の報に ただただ無事を祈る時間が過ぎて行った。後で、会社の女性が家の崩壊で亡くなったと。
あれから15年経過したのだ。3月には中国に出張中、言葉が分からない中国のテレビで、東京で何か大変なことが起こった 様子を写していたのが、サリン事件だった。
その6月に鹿児島への単身赴任になり、新築すると転勤するとのジングスがその通りになった激動の年だったことを思い出す。

いつもと同様に朝食を取り、駅まで歩く。昨日まで寒波が来ており、彦根付近の雪景色がテレビで写されていたので、北陸はもっと 凄いだろうと期待を弾ませて進む。

車窓からの雪景色

敦賀行の新快速もあるが、休日なのでスキー客も多いだろうと避けて、米原回りの近江塩津行の新快速で 乗換えて、敦賀に行くことにする。
新快速は満員だったが、京都で入口側の4人席が空いたので座る。「青春18きっぷ」を使うシニアグループの方もおられ、賑やかだ。
山科駅からグループが乗って来られ、話を聞いていると「琵琶湖一周」を近郊キップで廻るらしい。関西の近郊区間の1区間料金(120円)で 琵琶湖を一周しようと。 昔、京都・奈良・和歌山・大阪と廻ったことを思い出す。途中下車は出来ず、ひと筆廻りの制約があるが、考えると楽しい。
彦根付近から少し雪が残り出し、米原からの北陸本線に入ると一面の雪景色だ。湖東から湖北は景色が一変する。伊吹山も雲の中で 何も見えず、ぼたん雪が降っている。
現役の時、何時も新年のご挨拶に訪れていた会社も雪の中に埋もれている。ご挨拶の時も大雪だったことを思い出す。車窓からの 雪景色をパチリ。

近江塩津駅のホームの雪だるま

近江塩津駅に到着するとホームは雪で覆われている。列車待ちの子供たちが、ホームに積もった雪を集めて「雪だるま」を一生懸命作っている。 眼はみかんが埋められている。
雪のない地方に育った子供にとっては、この雪は嬉しいことだろう。ホームの端では数個の「雪だるま」を作っているようだ。
乗換え待ちの間に、長い階段を下って駅の外に出る。駅舎の前の道も雪で覆われ、凍っていて歩き難い。
小さな「雪だるま」が飾られ、雪国の雰囲気が一杯だ。子供だけでなく、雪に縁のない大人も何となく嬉しくなる光景だ。
琵琶湖一周のグループはここから湖西線で山科に戻られる予定で、駅の構内にあるうどん屋で腹ごしらえをしておられる。120円での 旅を楽しんでくださいと。
湖西線経由の敦賀行が来るのでホームに戻り、周囲の集落を見ると屋根も雪がこんもりと積もっている。
駅名の看板も雪に覆われて 寒そうだ。
20cm程度積もっているのではなかろうかと思われる雪国の景色を高架のホームから堪能する。

駅前の雪だるま

近江塩津駅

民家の雪景色


画像をクリックすると拡大します(以下の画像も同様)

約25分の待ち合わせ時間もあっと云う間に過ぎ、敦賀行の列車に乗る。スキー客は手前のマキノ駅等で降りたのであろう空いている。 車窓から滋賀県と福井県の県境の雪景色を眺める。山を越えて福井県に入ると雪が少なくなっている。面白い現象だ
2駅で敦賀に到着し、帰りの時刻を確認して駅前の商店街に昼食場所を探して歩く。以前、「青春18きっぷ」で 「敦賀・小浜散策」を行った時、敦賀港開港100周年記念事業として、「銀河鉄道999」 「宇宙戦艦ヤマト」のキャラクターのモニュメントが設置されていることを知り、それらを追って歩いたことがある。
今回は昼食場所を探すために、アーケードのある商店街を進むと地魚料理と看板のある「まるさん屋」と云う食事処を見つけたので 入店する。1階が地魚を売り、2階が食堂になっている。
なかなか賑わっている店で、休日なのか満席状態だ。「刺身定食」「天婦羅定食」を注文し、生ビールで乾杯して、新鮮な魚介類の 料理に舌鼓を打つ。
芋焼酎も頼み、日本海の刺身・天婦羅を美味しく味わう。お客さんが集まる店に上手く出会えてラッキーだった。

敦賀駅

刺身定食

天婦羅定食


美味しい昼食に満足し、敦賀駅に戻る。ぎりぎり13時23分発の姫路行新快速に間に合い、座ることが出来た。
雪の中を歩くのを避けたので、早い時間に帰宅出来る。ここで、これからの行程を考える中で、今朝の「阪神・淡路大震災」の慰霊祭 に関連し、昨年秋に震災跡地・新長田に建設された「鉄人28号」モニュメントを見に行くことにする。
途中停車したマキノ駅からはスキー客や子供たちの団体がたくさん乗って来た。往路、このルートだと乗客が多いだろうと想定したのは正解 だったと。

慰霊祭の灯・ながた

慰霊祭の灯・1.17

息子達が小さい時、マキノスキー場に雪遊びに来たことを妻と話しながら、子供たちの笑顔を見て嬉しい気持ちになる。湖東・湖北に比べると 湖西は雪が少なく、山は真っ白だが、平地には雪がない。
昼食のお酒と車内の温かさでウトウトしているとしていると京都に到着し、子供たちは下車し、新たな観光客で満員になる。高槻を通り 過ぎて、神戸で普通に乗り換えて新長田に到着する。
駅前の広場にはたくさんの人がおられ、朝の慰霊祭が続いている。
地面に「ろうそくの灯」が灯され、文字になっている。上から 見ないと分からないので、係の方に聞くと「1.17」「ながた」と描かれていると。
ポランティアの方々の指導で、子供たちが「ろうそくの灯」を灯し、静かに黙祷している。「ろうそくの灯」灯に向かって頭を下げる。 「鉄人28号」のモニュメントが建つ広場に向かう。

鉄人28号・正面

鉄人28号・側面


ビルの角を曲がった広場には、堂々と「鉄人28号」が立っている。黄昏の中に雄々しく、震災の苦しみを乗り越えた長田の皆さんを 勇気づける雄姿だ。

鉄人28号の顔

兵庫県神戸市・長田区にある若松公園に2009年10月4日、高さ15.6mの「鉄人28号」モニュメント像の完成セレモニーが行なわれた。
「鉄人28号」は1956年から雑誌「少年」に連載された漫画で、これまでに何度もラジオ、実写、アニメ化された人気作品。
「鉄人」モニュメント像は1/1スケール像で、足を伸ばして直立させたときの全長が18mになるように製作された。中は鉄骨、外は耐候性鋼板製。 重量はおよそ50トン。両足の下、深さ6mに埋められたおよそ150tの基礎で支えられている。
「鉄人28号」の原作者で神戸市須磨区出身の漫画家である 故・横山光輝氏にちなんで、阪神大震災後の復興・商店街活性化のシンボルとして製作した。 総工費は1億3,500万円。神戸市から補助金4,500万円が拠出され、残りは個人や企業からの寄付・協賛金でまかなった。 (長田区HP他より抜粋)

全長18mの巨大なモニュメントは周りのビルと同じ背丈の様に思える位の大きさだ。見物客がそれぞれその雄姿を見上げ、記念撮影をしている。 鉄人と同じポーズを取る子供たちの姿は微笑ましい。
丁度、従兄弟が子供の頃「鉄人28号」が大好きで、その玩具やテレビを夢中になって楽しんでいたことを思い出す。息子達は知っている だろうが、ガンダム(?)等、違ったロボットが主役だったのだろう。
NHKのカメラが慰霊祭と鉄人の撮影に来ていて、地元の方にインタビューし、鉄人を写すのでライトアップされ、明るく輝いている。真っ暗な 闇の中に浮き上がる「鉄人28号」は神戸の復興を加速させることだろう。
ボランティアの方が竹筒に入ったろうそくの点火を呼び掛けている。震災発生から12時間経った17時46分に黙祷をささげると。

ライトアップされた鉄人28号

NHKの中継

ボランティアの皆さん


「鉄人28号」にお別れして駅に戻ると丁度17時46分の慰霊祭となった。時報の合図で全員黙祷。沈黙の中で、被災された方の霊に 黙祷をささげる。そして、一日も早い復興を。
「ろうそくの灯」も明々と灯り、先程より参列する人が多くなっている。子供たちも小さな手を「ろうそくの灯」に合わせている。 二度とこのような災害が起こらないことを改めて祈る。
NHKのカメラマンが「ろうそくの灯」をアップで写している。「1.17」「ながた」の文字も明々と燃えている。

慰霊のろうそくの灯

ろうそくの灯

ながたの灯


「鉄人28号」のモニュメントを見ようと訪れた新長田で、12時間遅れの慰霊祭に出会い、貴重な経験をした。神戸の各地で同じような 慰霊祭が行われているのだろう。15年の年月は経ったが、町の復興は進んでも、被害者の心の痛みはまだまだ癒されてはいないの だろうと。

「雪景色・鉄人28号・慰霊祭を訪ねる旅」の「紀行スライド」


新長田駅から神戸乗り換えで、高槻まで直行で戻る。デパ地下で食料を買い、家に帰って今日の静と動を思い起こしながら 静かに乾杯する。
雪の湖東・湖北の光景、敦賀の魚介類の昼食から一転して、「鉄人28号」の雄姿見物、思いもかけなかった慰霊祭との遭遇と 意義深い「青春18きっぷ」の旅だった。記念すべき日に出会って嬉しさと悲しみを味わう日にもなった。
さあ、春には何処へ!?






    
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