「奈良散策」


[第1日][第2日]


○ [第1日]、当尾の里散策 (2006/9/19)

一泊旅行で奈良散策だ。今回の旅行は思いもかけない機会から訪れた。
時々、旅行関連の懸賞サイトに応募していたのが、当選したのだ。それも覆面モニターとして、奈良のホテルに 宿泊し、アンケートに答える企画だ。ホテル・旅館の招待は経験あるが、顧客満足度を計るモニターとして 宿泊するのは初めてだ。

企画されたのは「たびけん」さんでメールをいただき驚いた。
春日ホテル
宿泊するホテルは近鉄奈良駅から徒歩2分と立地条件抜群の「春日ホテル」さんだ。
当日、奈良見物をした後、普通にチェックインし、従業員には分からないように普通の客しとて振舞い、 翌日の10時からミーティングをするとのことだ。

宿泊なのでゆったりとした計画が組める。奈良市街から少し外れるが、前に行ったことがある京都府 との境になる加茂町の「当尾(とうのお)の里」を散策し、夜は奈良公園周辺のライトアップを楽しみ、翌日の ミーティング後、「春日大社」から「奈良町」を歩こうと考えた。

「当尾の里」に行くバスの便が少ないので、その時刻に合うように出発する。
サイトの案内通り、近鉄奈良駅から徒歩2分で10時半頃に春日ホテルに着き、手荷物の一時預かりをお願い する。 にこやかな笑顔で快く預かってもらえる。これもチェックの一つと考えていたのでgoodだ。

浄瑠璃寺・三重塔... 説明→
11;39発のバスで浄瑠璃寺に向かう。乗客は我々2人だけの状態で市街地を抜けて田園風景の中を進む。 浄瑠璃寺バス停まで約30分。
バス停から坂を登るとすぐに738年(天平11年)行基によって開かれたといわれている「浄瑠璃寺」の 山門が迎えてくれる。境内は無料で本堂に入るには拝観料が要るようだ。

小さな山門をくぐると苑池(名勝・史跡)をはさんで本堂(国宝)と三重塔(国宝)が向かい合って 建っている。庭園は平安時代の浄土式庭園として貴重なものだとか。
本堂は間口11間の細長い建物になっているのは9体の阿弥陀如来坐像(国宝)を安置するためで、 浄瑠璃寺を一名「九体寺」とも呼ばれているそうだ。

境内を池に沿ってひと回りする。落ち着いた空間に秋の気配が漂い、ススキが穂を出し、紅葉が少し 色付き始めている。芙蓉の花が咲き乱れ美しい。
落ち着いた本堂を池越しに眺めると古人の浄土への願いが感じられる。三重塔も古色溢れ紅葉に隠れる ように建ち、紅葉の季節は見事だろうと想像する。

境内では飲食禁止のためバス停まで戻って弁当を食べる。ベンチは日陰になっており涼しく気持良い。 妻は浄瑠璃寺に戻ってスケッチし、小生は「石仏巡り」で「岩船寺」に向かうので別々に行動する。

浄瑠璃寺・山門... 説明→
浄土式庭園
浄瑠璃寺・本堂

当尾の里は花崗岩の巨岩が覗く土地で、平安末期から鎌倉期の末法思想・浄土信仰などの影響から 都の名工たちの手で多くの磨崖仏などが刻まれている。
浄瑠璃寺から岩船寺までの約1.5kmの野道には石仏が点在している。スケッチする妻と別れて、この石仏 巡りに出発する。

浄瑠璃寺からしばらく舗装道路を進むと「藪の中地蔵」が迎えてくれる。十一面観音立像・地蔵菩薩 立像・阿弥陀如来坐像が彫られる鎌倉時代の磨崖仏で当尾の石仏では最古だと。
舗装道路と分かれて農道に入ると「愛宕灯篭」が珍しい形で立っている。
段々と上り道になり、道端には赤い「彼岸花」が道しるべとなって野道を進む。「東小田原寺」の 石段を眺めて上って行く。

藪の中地蔵... 説明→
愛宕灯篭
彼岸花

快調に野道を上って行く。陽射しはきついが、空気は乾燥していて気持ちが良い。初秋の当尾だ。
しばらく上ると「阿弥陀地蔵磨崖仏」が道端に鎮座している。二つの石仏があった様だが、一つは 見落としていた。
すぐ横に「カラスの壷」と説明がある真ん中に穴が開いた石が置かれている。
林に囲まれた山道を上っていると「熊野古道」を歩いているようで気持ちが良い。

阿弥陀地蔵磨崖仏... 説明→
カラスの壷
林の中の道

大分上ってきたのであろう、見晴らしが良くなって来た。ご夫人の2人連れと挨拶を交わして行き違う。 休日だと人も多いのであろうが、三連休明けなので誰も歩いていない状況で、道端に建つ無人野菜 販売所も商品の陳列はなく残念だ。
「笑い仏(阿弥陀三尊磨崖仏)」が道横の小高い所に祀られている。にこやかな微笑み顔に心癒される。 観世音菩薩坐像と勢至菩薩坐像を従えた阿弥陀如来坐像は当尾を代表する石仏とか。
すぐ横の草に少し埋まって「眠り地蔵」の頭が見れる。緑の草を布団にしているようだ。
少し険しくなった道を進むと階段を下りた所の大きな岩に、「不動明王立像」が彫られている。

笑い仏... 説明→
眠り地蔵.. 説明→
不動明王立像.. 説明→

岩船寺・三重塔

少し下ると「岩船寺」の山門に至る。拝観料(300円)を払って境内に入る。正面に朱塗りの「三重塔」 が木々の間から覗いている。ここも静かだ。

岩船寺は天平元年(729)聖武天皇の勅願によってつくられたと伝えられ、平安時代の本尊阿弥陀 如来坐像、普賢菩薩坐像、室町時代の三重塔、鎌倉時代の十三重石塔や五輪塔(いずれも重要文化財) 等、それぞれの時代に優れたもの収められ、紫陽花寺としても有名とか。

こじんまりした境内には紫陽花の株がたくさんあり、梅雨時には美しいだろうと想像できる。鎌倉 時代に建てられた(1442年改修)正面の三重塔は数年前にお色直しをされたようで、朱色が回りの緑に 映え、美しく輝いている。

本堂には入らなかったが、平安・鎌倉時代の重要文化財の仏像が祀られており、静かな佇まいだ。

境内には鎌倉時代の「十三重石塔」が堂々と立ち、彼岸花や少し色付き始めた紅葉が静けさを倍増する。 帰りの時間が気になるので、ひと回りして退出する。


岩船寺・山門
岩船寺・本堂
岩船寺・十三重石塔

同じ道を戻るのは面白くないので、少し大回りして石仏を見ることにする。岩船寺の裏の少し急な坂を 上る。この道は余り人が通らないようで草が道を覆っている。
道脇に石仏が待っている。「三体地蔵」が人気のない山中に佇む。小さなアップダウンを繰り返すと農道に 出る。道しるべもなく、方向が定かでないので農道を進むのではないと周りを探す。少し向こうに道が あるので行くと農道との角に鎌倉時代の作である「弥勒磨崖仏」が彫られている。輪郭が少しくずれて 見難いが立派なものだ。
草の道を進むと往路で通った「阿弥陀地蔵磨崖仏」に戻った。ここからも別の道に進もうと行くが、 途中から分かれ道となり、道しるべもなく、草が茂り道が見えなくなっているので、無理せず戻って 往路の道を確認しながら、快調に下って行く。

山道
三体地蔵.. 説明→
弥勒磨崖仏.. 説明→

浄瑠璃寺近くになるとハイキング姿のシニアグループに出会う。この辺りはハイキングコースも多いようだ。浄瑠璃寺の 境内にもグループが休憩している。
スケッチする妻と出会い、バス停に戻る。少し時間があるのでベンチで休み、周りの畑を見ると黄色い実が 見える。行って確認すると狐の顔をしたフォックスフェィスだ。この辺りは生産が多いようだ。

15時11分発のバスで奈良に戻る。夕日に輝く田園風景はきれいだ。
春日ホテルに戻り、名前を告げると荷物は部屋に運んでくれていて、部屋に案内してもらう。落ち着いた 和室で、窓を開けると興福寺の北円堂がすぐの静かな所だ。
モニターなので気付いた所をメモすることにした。思いつくままに・・・。

興福寺・五重塔

夕食前に風呂に行く。温泉ではないが、露天風呂もあり設備も整っている。露天風呂には先程見て来た 石仏も庭に立ち古都の趣が感じられる。

食事は部屋食で奈良名物の茶飯もあり、美味しくいただく。仲居さんと楽しく会話しながら、次から 次へとパクつき、ビール・芋焼酎で気持良くなる。今年初物の松茸の香りも堪能出来、満足・満足。

夕食後、浴衣姿で古都のライトアップを楽しみに散策する。
すぐ裏が「興福寺」なので、鹿の光る目を見ながら「五重塔」に向かう。昼間の五重塔と違って 幻想的な雰囲気が漂う。周りは本当に静かだ。

見物人も少なく、そよ風を受けて「猿沢の池」に向かい、池越しに五重塔を眺める。肉眼では池に映る 五重塔が美しいが、カメラでは写っていないのは残念だ。このポジションは絵葉書等に掲載されている所で 本当にきれいだ。

「春日大社」はライトアップされていないようなので、浮見堂に向かう。途中、「春日大社の一の鳥居」は ライトアップされ浮き上がっている。池の側まで行くが、余りにも暗いのであきらめて、公園の鹿を 間近に見ながらホテルに戻る。
宿泊しないとこんなに遅くまで奈良に滞在していないので、良い経験だ。

猿沢の池からの五重塔
春日大社の一の鳥居
公園の鹿

もう一度風呂に入り、ぐっすりと眠る。


[第1日][第2日]


○ 第2日目、「奈良町・奈良公園散策」 (9/20)

朝6時から朝風呂に入る。男女入れ替えで、昨夜と違った露天風呂を味わう。ひんやりした空気と 温かいお湯が気持良い。
風呂上りに外に出る。早朝の奈良の町を味わうのは現役時代の研究会で度々メーカーの宿泊所で議論の後、 徹夜麻雀をした時以来だ。

興福寺・北円堂
朝食は8時から申し込んでいたので、食事処に行く。ここにも奈良名物の「茶粥」があり、豆乳から 豆腐を作る鍋も付いていて美味しくいただく。部屋に戻り窓から外を見るとすぐ裏に興福寺・ 北円堂が望まれる。

10時にチェックアウトし、ミーティングすることになっているので、ホテルのアンケートに記入し、気付いたことをまとめて おく。
基本的には応対・食事・施設・サービス共に満足度が高い快適なホテルだ。少し気付いた点も整理し、 10時前にチェックアウトする。

「たびけん」の担当の方が待って居られ別室に通される。もう一組モニターの方が居られるようで、少し 待っていると8ケ月のお子さん連れのご夫婦が来られご挨拶。
「たびけん」のスタッフ、春日ホテルのスタッフの方と2時間余りミーティングを行った。的確な司会進行で自己紹介、 奈良観光の感想、春日ホテルの長所・改善点を色々の角度から話し合う。
平日宿泊促進のための方策についてもディスカスする。これから増えるであろうシニアの方の宿泊についても 楽しく話し合った。
初めての経験だったが、司会の進め方も上手く、広範囲の話をまとめながら次々と話題が途切れること なく話すことができた。このようなモニターを通じて、新たなサービス・顧客獲得・リピーター増加等を検討する ホテル業界の前向きな姿勢を感じた。楽しく話して12時15分に終了する。

今日は「春日大社」と「奈良町」を散策しようと計画していた。春日大社方面に行くと昼食する所が 少ないので、奈良町に向かう。
商店街を抜けて奈良町に入る。奈良町には時々訪れているが、落ち着いた街並みは好きなスポットの ひとつだ。陽射しがきつく、影を選んで汗をかきながら「庚申堂」に行く。観光客も多く、順番を待って 参拝する。「庚申堂」は疫病退治をした庚申の年月日を記念し祀ったとか。

奈良町の家の軒先に「身代り猿」と呼ばれる赤いぬいぐるみがぶら下がっている。これは、 「庚申さん」のお使いの猿を型どったお守りで、魔除けを意味し、家の中に災難が入ってこないように 吊るしているとか。軒々に飾られているのは風情がある。
「奈良町資料館」には古くからの史跡・資料が保存されており、当時の面影を偲びながら見学し。 前の蕎麦屋さんで昼食とする。

庚申堂.. 説明→
軒先の身代り猿
奈良町資料館.. 説明→

街中を散策する。昔の格子窓を残した「ならまち格子の家」は古いが頑丈な建屋で、家の中には かまどや階段箪笥、座敷が見学できるようになっている。
その前には重要文化財の「藤岡家住宅」が古色豊かに建っている。細い道をくねくねと進み、 「御霊神社」を通って奈良町から公園の方に向かう。

ならまち格子の家.. 座敷→
藤岡家住宅
御霊神社

陽射しがきつくなって来た。春日大社までは少し遠いので、「浮見堂」に行くことにする。
道の真ん中にあるマンホールの蓋の絵は鹿が描かれており、さすが奈良らしい。広い道路を渡ると 静かな公園に入り、早速鹿が迎えてくれる。
池に浮かぶように「浮見堂」が建っている。公園都市奈良の中でも静かで落ち着いた雰囲気の場所で 好きな名所のひとつだ。
妻がスケッチをする間に池の周辺から浮見堂を散策する。池の横に囲いされた小さな水場がある。ここは 通ったことがなかったので、説明を読むと「洞水門」で水琴窟とも云われ、耳を澄ますとかすかに キンキンと音がする。浮見堂に渡り、涼しい風を受けながらしばし身を任す。

浮見堂

マンホールの蓋
鹿
洞水門.. 説明→

興福寺・五重塔

静かに時間が過ぎて行く。街中を歩いていた時は暑くて汗が出ていたが、今は汗も引き心地良い。 池をひと回りし、妻の所に戻り、スケッチが終わるのを待つ。
スケッチが終わり、もう一度浮見堂に行き、ボートに乗っている人や周辺の景色を楽しむ。
一息入れた後、昨夜通った道を興福寺まで戻る。奈良公園には鹿の群れが草を食べていて、観光客が 鹿煎餅をやるとすぐにたくさん集まってくる。

五重塔も幻想的なライトアップされている時とは違って堂々と建っている。外国人観光客も多く、さすが 古都奈良だ。周りはカメラを構える人で平日なのに一杯なのには驚く。

昨日は暗くて立ち寄らなかった「西国第九番札所・興福寺南円堂」に参拝する。
今回は朱印帳への記帳はしなかったが、何時かの日に「西国三十三ケ所」参拝も行いたいと思って いるので、その時に残しておこう。
ここからもう一度五重塔を振り返ると青空と若草山も望まれ、奈良の感じがよく出ているスポットだと 悦にいる。広々とした奈良の街を堪能した一日だった。


鹿の群れ
南円堂
五重塔と若草山

春日ホテルの前を通り、近鉄奈良駅から帰宅する。

昨日・今日と有意義な時間を過ごす機会を与えてくださった「たびけん」「春日ホテル」さんに感謝 したい。
この様な機会がないと奈良に泊ることはなかったと思うとライトアップの五重塔を眺められたことは嬉しい 限りだ。

今回の経験は貴重なものだった。これからもホテルに宿泊する時には心の中でチェックする習慣をつけて 意見を述べられるように心掛けたい。






    
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