○ 「高野山町石道(No2)・奥の院」見聞録 

1.大門〜御廟〜女人堂
 2005.02.01 08:30〜13:20 曇り

秋の柿の季節に「高野山町石道」を慈尊院から根本大塔まで歩行してから「大辺路」を歩いていた。 「奥の院・町石道」は雪の季節に歩こうと時期を待っていた所、2月に入った途端に寒波襲来で雪が 期待出来そうなので実行に移す。

高野山は「大辺路」より近いので、ユックリ出発しても良いのだが5時20分に家を出る。雪は降って いないが風は非常に冷たい。大阪駅ではチラチラ、新今宮では薄っすらと雪が積もっている。

雪のケーブル

雪道のバス


6:32発の南海急行で南下するにつれ、雪が深くなって来る。河内長野ではホームも白く覆われ、 紀ノ川を渡る辺りから真っ白な景色に変わる。

極楽橋でケーブルに乗り換えるとケーブルは線路も真っ白な中を上って行く。周りの山々も雪景色で美しい。 接続が良く、8:19発のバスで大門に向かう。バスは雪道をユックリと進むが雪に慣れているので安心だ。 15cmから深いところは20cm以上積もっているようだ。

大門周辺に積もった新雪の中を歩くとキュキュと云う音が気持ち良い。前回、慈尊院から上って来た 「町石道」の場所に戻り、雪の「大門」を見上げる。42mの堂々とした朱塗りの大門が雪に覆われて 美しく輝いている。「仁王像」の中にも雪が舞い降りたのか部分的に仁王様にも雪が積もっているが、 隆々とした筋骨には寒さを感じさせない。
雲の合間からの日を浴びて周囲の山々の雪景色が映え、しばし冷たい空気と展望を楽しむ。(8:40)

雪の大門 →左仁王像 →右仁王像

大門からの展望

輝く裏からの大門


雪の大門を楽しみ、前回歩いた「慈尊院・町石道」を懐かしく辿って行く。雪が凍って滑るのに注意 しながら・・・。家々の前には雪かきをする方々が一生懸命スコップを動かし、除雪車が道路整備に 精を出している。
深い所に足を入れると足首まで埋まってしまう位の歩道の雪だ。「五町石」「四町石」と町石道を辿って 「壇上伽藍」の柵の中の「慈尊院・一町石」に到達する。
そして「金堂」と「根本大塔」に参拝する。雪の白さが朱色の大塔をより鮮明に映し出す。汗は 出ないが、一息入れて雪と大塔を眺める。

除雪車

慈尊院・一町石

金堂と根本大塔 →大塔拡大


ここからが本日の紀行のスタートだ。「奥の院・町石道」はここから奥の院まで「36町石」が 設けられている。これを順番に辿りながら、聖地高野山山上の息吹を感じたい。
根本大塔の境内を外れた所に「奥の院・一町石」が雪の中に立っている。いよいよスタートだ。
雪の道を進むと「東塔」が落着いた風情で雪の中に溶け込んでいる。きれいだ。雪の季節に来て 良かったと実感する。壇上伽藍と金剛峰寺をつなぐ道は両側の植木が凹凸になっているので 「蛇腹道」と云われている。植木も雪に埋もれて蛇も冬眠しているのだろうと思いながら進む。

奥の院・一町石

雪の東塔

蛇腹道


まだ数人しか通っていない足跡の残る新雪の「蛇腹道」をサクサクと進むと植木の間に「二町石」 「三町石」が立っている。蛇腹道を出て広い通りに出ると福島正則が建立した立派な石垣の鐘楼 「六時の鐘」が立ち、その横に「四町石」が立つ。
通りを進み「金剛峰寺」に参拝する。正門までの参道は雪を掃いてきれいにされており、境内は 雪かきの最中だった。掃除している方に聞くと今年は雪が多くて大変だと。(9:10)
通りに戻り「五町石」「六町石」を探す。県道に面して真っ直ぐに立っている。

六時の鐘 →説明

金剛峰寺・正門

雪の金剛峰寺


二町石

三町石

四町石

五町石

六町石


カメラで写す時、参拝する時に手袋を脱ぐが冷たくてすぐにはめなければならない。雪の県道を 進むと千手院橋の交差点の看板の下に「七町石」が立ち、横の観光案内所で高野山上のマップを入手 する。
次に進む予定の「小辺路」への道を探す。高野山大学の前を通り、金剛三昧院への道を確認し、 春にはこの道を進もうと気を引き締める。

雪の通りを「八町石」「九町石」「十町石」と巡る。町石は雪の帽子をかぶり静かに立っている。 朱色の「摩尼塔」を眺めて「十一町石」「十二町石」を探す。

七町石

小辺路への道

摩尼塔


八町石

九町石

十町石

十一町石

十二町石


雪の道を滑らないように注意しながら歩くのもなかなかきつい。除雪していない道は新雪の下が 凍っているので時々スリップして踏ん張ることもあり足に身が入る。
通りを振り返ると雪景色が見事だ。「十三町石」を過ぎると右側に「高野街道」にもあった 石童丸物語の「苅萱堂」が迎えてくれる。参拝し、お堂の中を拝観する。石童丸物語の絵図が物語り として飾られている。
「苅萱堂」の前の「十四町石」を探し進む。時々周辺を見回すと雪景色が気持ち良い。県道との 分岐点を左に進む。交差点に「十五町石」が立ち、雪深い道に「十六町石」を探し「一の橋」手前の 「十七町石」に到達する。(10:00)

橋の前に食堂があったので、寒さと少し空腹を感じ早めの昼食にする。きつねうどんを注文し、 温かいうどんをすする。風はないので余り寒さは感じないが、手が冷たく、歩いているだけで体温が 下がるのが分かる位だ。雪が落ちて来るから気を付けて・・・と親切に云われ、出発する。(10:20)

雪景色

苅萱堂

県道との分岐点(左へ)


十三町石

十四町石

十五町石

十六町石

十七町石


「一の橋」を渡るといよいよ「奥の院・参道」になる。小学生低学年の頃、祖母に連れられてお参り したことがあるが、ほとんど記憶がない。
雪に覆われているが、中央部は掃いて雪除けされた「一の橋」を渡り参道に入る。今までの道とは 違って大杉が立ち並び神聖な雰囲気が一杯だ。大杉と雪の石畳が続いている。石畳の分岐道を左に 進むと小さな「お地蔵様」が雪に覆われ雪化粧している可愛い姿を見ながら進む。

奥の院・一の橋 →説明

石畳の分岐道

雪化粧のお地蔵様


石畳の雪は滑らない様に掃き清められ、心使いを感じながら進むと「奥州伊達家の墓」「薩摩島津家 の墓」を始め墓石が立ち並んでいる。墓石の上は雪が積もり「十八町石」「十九町石」を探す。 墓石と町石の区別が雪に覆われているのでなかなか見つけ難い。「二十町石」はすぐに見つけられ、 横には町石の説明板が立っている。

薩摩島津家の墓

奥の院参道

二十町石 →説明


進むに連れて雪が深くなる。石畳の歩く所以外は降ったままの雪が残り、墓石と町石の見分けが つき難く探すのに苦労する。又、手が冷たくなるのでメモを取るのがきつい。
雪に覆われ達磨さんのようになった印象的な「弘法大師像」を過ぎ、「二十一町石」を見つける。 祠に祀られた「数取地蔵」から「武田信玄・勝頼の墓」に至る。先日、甲府の武田神社に参拝した時、 近くに信玄のお墓があったが・・・。手袋を外して参拝する。横には「二十二町石」がお墓を見守る ように立っている。

雪の弘法大師像

数取地蔵 →説明

武田信玄・勝頼の墓 →説明


すぐ六角形の「弘法大師・腰かけ石」が珍しい形で雪の中に埋もれるように立ち、「二十三町石」を 探したつもりが欠落しているのが整理して分かった。メモをしなかったのが・・・残念。
参道の雪は深くなり、墓石にはこんもりと白い帽子をかぶっている風景が続く。「伊達政宗の墓」も あり、「二十四町石」を見つけ出す。

弘法大師・腰かけ石

白帽子の墓石

伊達政宗の墓


十八町石

十九町石

二十一町石

二十二町石

二十四町石


「石田光成の墓」を過ぎて進む。雪の参道にはたくさんのお地蔵様が祀られている。頭に雪を かぶった衣を着たお地蔵様は可愛い。「子授け地蔵」は祠に祀られ寒さを感じてないようだ。 「二十六町石」の向こうに雪と氷に覆われた「中の橋」が迎える。

雪のお地蔵様

子授け地蔵

中の橋


「中の橋」を渡った所に「汗かき地蔵」が祀られ、横には「姿見の井戸」がある。井戸をのぞいて 姿が映ると長生きするとのことで、はっきりと姿が映っていたので一安心。ここからは「覚ばん坂」と 云われる緩やかな坂や石段で上って行く。「二十七町石」からの石段は雪とマッチしてきれいだ。

汗かき地蔵

姿見の井戸

二十七町石と参道


少し行くと木の根っ子の空洞にお地蔵様が祀られている。雪に覆われて見つけ難い「町石」を辿る。 「28・29・30・31・32町石」を見つけ、参道の別れ道に至る。分岐点には「其角句碑」が立っているが 雪で字は読めない。左に進む。

木の空洞のお地蔵様

三十町石

其角句碑の分岐点


二十五町石

二十六町石

二十八町石

二十九町石

三十一町石


分岐点を少し進むと「豊臣秀吉・秀頼の墓所」が祀られ、「三十三町石」を過ぎると少し奥に 「織田信長の墓所」が雪に覆われて祀られている。有名な戦国大名が祀られている高野山の聖地の すごさを感じる。
いよいよ聖域が近い。宮川を渡る「御廟橋」の手前に「三十四町石」が立ち、橋越しに「弘法大師御廟」 に礼拝する。「御廟橋」を渡ると聖域となり、写真撮影も出来ないので遠景の御廟を望む。

豊臣秀吉・秀頼の墓所

御廟橋 →説明

弘法大師御廟


三十二町石

三十三町石

三十四町石

三十五町石(撮影禁止)

三十六町石(撮影禁止)


脱帽して「御廟橋」を渡り、聖域に向かう。階段の途中に「三十五町石」が周りの雰囲気と同じ様に 粛々と立っている。階段を上り「燈籠堂」に参拝し、回廊を通って後ろに廻ると「弘法大師御廟」が ひそやかに建っている。この場所に空海は今でも生き、生前と同様のお給仕が毎日行われている。
「御廟」に「三十六町石」があるのだが、不覚にも分からなかった。回廊にも雪が積もり滑り易く 礼拝して地下の礼拝所から表に出る。参拝の方は少なくて落着いた厳粛な空気を全身に感じる。

「御廟橋」に戻り、御供所で朱印帳に記帳していただき、帰路に着く。(11:40)
往路で見落とした町石を 確認しながら・・・。少し風が出て来たので、大杉に積もった雪が落ちて来る。吹雪の様な風情も 楽しみながら参道を戻る。雪の参道は最高だ。誰にも会わずに荘厳な雰囲気を独り占めだ。

芭蕉句碑

雪の参道階段

奥の院参道


参道を「一の橋」まで戻り、バスで駅に戻ることも考えたが、雪道を楽しもうと町石を確認しながら 戻ることにする。風が強くなり雪も降って来た。
千手院橋まで戻り、バスの時刻を見ると時間があるので、「女人堂」まで歩く。吹雪の「女人堂」も なかなかの落ち着きがある。「不動坂」を上ってここに辿り着いた時の暑さを思い出し、季節の 違いを噛み締める。
バスで駅に行き、接続が上手くケーブルに急いで乗る。乗客は数人で吹雪で煙る対向のケーブルとすれ違い 極楽橋駅へ。駅も滑り易くホームは雪が一杯だ。
高野山からは近いので夕食までに帰宅出来た。今日の歩数は19000歩だった。

女人堂

吹雪のケーブルカー

極楽橋駅


念願の雪の「奥の院・町石道」を歩いた。白い雪と朱色の伽藍、黒い板塀、生い茂った大杉、石畳と 美的には最高の季節だった。
昨年(2004)の春から夏にかけて、京都「城南宮」から「石清水八幡宮」を通って「東高野街道」→ 「高野街道」を「女人堂」まで上り、秋には「慈尊院・町石道」を「大門」「根本大塔」まで歩いた。 雪の季節に「奥の院・町石道」を歩こうと計画し、新雪の「奥の院・参道」を紀行出来嬉しい限りだ。

これで「小辺路」への前段階は完了し、「小辺路」への入口も確認出来た。いよいよ「高野山」から 「本宮大社」への実行を具体的に計画しなければならない。春の日が長くなった頃に3泊4日の紀行を 実施したい。










    
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送