「鯖街道見聞録」


[一日目][二日目]




○ [第2日]、久多〜京都(2011/09-01)

夜中に目覚めると雨の音が聞こえるが、戸が開いている廊下から外を眺めると降っていない。庭の奥に小川が流れていて、そのせせらぎが 雨の音に聞こえたのだ。安心して、もう一度眠る。
朝食
民宿・久乃屋
再び目覚めた時には、薄明るくなっており、雨が降り出している。今回の台風12号は関東方面に進むと思っていると北上して、ゆっくりと 四国方面に向かっているので、その影響の雨のようだ。
7時前から朝食になる。山菜料理に加え、地元の川で取ったあまごの佃煮、そしてあんころ餅と楽しい朝食だ。しっかりと食べ、お弁当も 作ってもらう。
雨は降ったり止んだりと予断は許さないが、回復することはないようなので、当初の計画を変更して「オグロ峠」越えは断念し、「花背峠」 から乗るバスの始発駅・広河原方面に行くことにする。若女将に聞くと峠を越えて行くが、県道で問題ないだろうと。
7時30分、昨日のお礼を云って民宿・久乃屋を出発する。
県道を昨日来た反対側に進む。雨は止んでいるが、空気はしっとりと湿り、蒸し暑さはない。広河原発のバスの時刻が10時45分なので、それを 目標に約3時間の余裕(?)があるので、ゆっくりと進む。
県道は川沿いに久多の集落の中の緩やかな坂道を上って行く。車も通らず、のんびりと。所々に藁葺の古民家が建っている。美山地区の 古民家は有名だが、ここ久多にも点在しているのだ。日本の原風景を眺めながら進むと「北山友禅菊」の看板が立ち、薄紫色の花が 一面に咲いている。雨上がり・藁葺古民家をバックになかなかの風情だ。
川沿いの久多の集落
藁葺の古民家
北山友禅菊

画像をクリックすると拡大します(以下の画像も同様)

台風の影響で、いつ雨が降り出すか分からない中で、O君と小学校1年(昭和25年)の時に襲来した「ジェーン台風」のことを思い出す。当時、 大阪港の 防潮堤対策は不十分だったので、浸水してしまった。確か、9月3日だったと。昔の思い出が共有できるのも幼友達なのだと。
県道の勾配が段々ときつくなって来る。杉木立の峠道に入り、上って行くが、マイナスイオンが一杯で気持ち良い。峠の木立の間から、久多の 集落を見ようとするが、雲・霧で何も見えない。
草花に詳しいO君が道端に珍しい花を見つけたようだ。花弁に斑点がある「ヤマジノホトトギス」だそうで、珍しい花をパチリ。
杉木立の峠道
雲・霧の峠
ヤマジノホトトギス

峠の頂上近くで、急に雨が降り出した。しばらくそのまま進むが、ダメだと思い木陰で用意していたレインウェアを着て進む。やがて峠を越え、 杉木立の下り坂になる。雨も止み、川沿いの道を進むと川原に出る道を見つけ、川原で川の水を掬い顔を洗う。少し生温かいが、 少し汗ばんだ顔には気持ち良い。
反対側の山の方から何か鳴き声が聞こえる。どうも鹿の鳴き声のようだ。農作物の被害も多いのは、こんなに人里近くまで来ているのだと 思い、山の中での餌不足も深刻なのだろう。
赤い花の群生地を見たり、釣りをする人と話したりと本来の「鯖街道」を通れない分、楽しく歩く。能見の集落に降りて来て、古い民家が 点在するようになった。軽トラを運転しておられる方に、バス停までどれ位かと尋ねると後1km余りと。時間に間に合いそうなので、一安心だ。
急な雨
杉木立の下り坂
能見の集落

下り坂を進むと鞍馬⇔美山の道標が現れ、バス停に近付いたことが分かる。
能見口のバス停に到着し、バスの時刻を見ると10時53分発なので、20分余り余裕がある。
能見口バス停 時刻表
当初の計画では、花背峠から次の14時28分or17時08分 のバスに乗る予定だったので、大幅に時間・距離を短縮したことになる。
近くの施設で、地元の方の健康診断があり、地元の方と話す。
雨で「鯖街道」歩きを諦めて、こちらに来たことを話すと正解だと。雨が降ると ヒルが落ちて来て大変だと。ヒルは鹿の糞で増えるので、鹿が多くなり、その分ヒルも多くなったとのことだ。良かったと安堵する。
定刻通り、バスが来て乗車する。乗客は我々だけで、音楽を鳴らしながら坂道を下って行く。この辺りは乗降が自由なので、音楽を鳴らして バスの到着を知らせているのだ。
途中、女性グループが乗って来られたが、空いた状態で、本来乗車する花背峠を過ぎ、九十九折れの急な坂道を下って行く。これを歩くのは 大変だと話し、温泉に入ることにして鞍馬温泉で下車する。
鞍馬温泉の露天風呂に入る。入浴前にビールを買おうとしているとチケット(600円)売場の小父さんが、あそこで売っていると自動販売機を 教えてくれる。1本購入して、無人の露天風呂で、今回の紀行の無事と挫折に乾杯する。温泉での一杯は美味しい!!
後で気付いたが、脱衣場に温泉内禁酒と書かれている。あの小父さんに薦められたのだからOKだろう。ゆっくりと北山杉の茂る山を 眺めながら、足腰の疲れを癒すし、鞍馬駅に向かう。(撮影忘却)
ブラブラと「鞍馬の火祭」の時に松明が練り歩く街並みを歩き、「鞍馬寺」の山門に礼拝して、山菜漬物の土産を買って鞍馬駅へ進む。 時間があったので、待合室でおにぎりの弁当を食べる。駅の壁を見ると「火祭りの松明」が飾られている。その大きさに驚き、一度は 「鞍馬の火祭」を見たいと。久し振りの叡山電鉄に乗車し、ウトウトしなから出町柳駅に向かう。
鞍馬寺の山門
火祭りの松明
叡山電鉄

鯖街道口の碑
「鯖街道」のゴール地点である京都・出町柳に到達した。
計画では、上手くバスを活用して、「京は遠ても十八里」を踏破して、この場に立つ予定だったのが、足の故障で民宿の車の助けを借り、 今日は雨のため行程を大幅に変更した消化不良のゴールなのは残念至極だ。
最終のゴールとなる「鯖街道口」の碑を探す。
さば街道の標識
高野川の橋を渡り、次の賀茂川の橋を渡った橋桁の横に立派な「鯖街道口」の碑が立っている。ここがゴールなのだ。
出発地点の標識を確認して、途中は色々と障害があったが、最終地点の碑に到達したことは良としたい。中抜きのゴールだが、 「鯖街道」半踏破したことにする。
出町柳の商店街に進み、有名な「まめ餅」を土産に買い、商店街の道に埋め込まれた「さば街道」の標識を確認して、今回の 「鯖街道」紀行を満足感と残念な気持ちの入り交じった複雑な気持ちで終える。

「鯖街道2日目」の「スライドショー」

温泉にも入り、最終地点も確認したが、近くに打ち上げをする所が見当たらないので、バスで河原町まで行き、O君が仲間と行く 錦市場の食堂兼居酒屋で2日間の反省会をする。今回は小生の体調不良と天候で達成出来なかったが、何時の日かリベンジしよう 乾杯する。
次回は逆コースの出町柳出発も考えてと。それまでにも、日帰りでの旧街道歩きを楽しもうと約束し、お別れする。今回は本当に申し訳ない 結果だった。

**************************
今回、予定変更になった台風12号は、その後スピードを緩め、ノロノロと四国に上陸した。その影響で、和歌山県・奈良県に記録的な豪雨を もたらし、河川の氾濫、今まで経験もしなかった山崩れによる土砂ダム形成と甚大な被害を及ぼした。被災された方々にお見舞いします。
ニュースを見ていると、かって「熊野古道」紀行で歩いた地名が次々に出て来る。そして、その被害の大きさに驚く。「本宮大社」 「那智大社」を始め「中辺路・小辺路・大辺路・伊勢路」と「熊野古道」の被害も大きい。
今日、次の台風15号が進路を変えて、近畿・中部地方に向かっている。これ以上の被害拡大がないことを願う(2011.9.20)
**************************



[一日目][二日目]







    
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送