「青春18切符」...「『中山道』回顧と『飯田線秘境駅』探訪の旅」




○ 2014.08.05-06. (高槻→米原→大垣→名古屋→中津川→坂下→(バス)→南木曽→(バス)→野尻→塩尻→ 駒ヶ根・(宿泊)
  →田本→温田→平岡→為栗→小和田→中井侍→伊那小沢→湯谷温泉→豊橋→金谷→米原→高槻)


「山陽道」「薩摩街道」紀行で、「青春18きっぷ」活用の旅行とは疎遠になっていた。暑い時期の紀行は、段々と体力的に厳しくなって来たので、 秋から再開することにし、その間に久しぶりの「青春18きっぷ」紀行を実施することにした。
「18きっぱー」の夢の一つは「飯田線」踏破及び秘境駅探索で、昔から憧れていた行程だ。 「中山道」紀行時も、少し足を伸ばして、トライすることも考えたが、実現できなかった。今回、どうしてもこの行程を踏破しようと検討する。
先日の大雨で、「中山道」の南木曽周辺が洪水となり、中央本線が不通となっている。不通区間は、バスの代行運転でカバーしているとのことなので、 「中山道」紀行を思い出しながら、昔歩いた行程を列車・バスの車窓から眺め、「飯田線」に結び付けようと考えた。
「飯田線」踏破の計画を楽しんでいると、豊橋〜辰野間(195.7km)に94駅あり、鈍行では6時間以上かかる路線だ。その中に6か所の秘境駅があるが、 2時間に1本の列車で、1日では、全ての秘境駅に降りることは難しいことが分かった。消費税のアップで11850円と値上がりした「青春18きっぷ」を 買い求め、天気予報を見ながら実施日を待つ。
台風12号、11号の合間を狙って、「中山道」紀行を回顧しながら、新たに「飯田線」踏破・秘境駅探索を楽しむべく、久しぶりの 「青春18きっぷ」紀行を実施する。

○第1日目(8/05)

高槻(6:48)→米原(8:00・8:03)→大垣(8:37・8:42)→名古屋(9:15・9:46)→中津川(11:07・12;00)→坂下(12:14・12:14)→代行バス→ 南木曽(12:47・14:06)→代行バス→野尻(14:06・14:30)→塩尻(16:22・16:44)→駒ヶ根(18:19)→宿泊。===> 395.3km・6480円

「中山道」紀行時は、5時・高槻始発の列車で出発していたが、中央本線不通の代行バスの時刻を考えると、1時間30分遅いのが、ベストだと分かり ゆっくりと出発する。
6時48分発の米原行新快速は、通勤時間でもあり、また「18キッパー」の姿も散見され、満員だ。京都で座れるかと思ったが、ダメで山科で座れる ことができた。近江平野には、緑色の稲が風になびき、美しい。

近江平野の緑色の稲

伊吹山

定刻通り、米原駅に到着し、大垣行に乗り換え酔えとするが、北陸線経由の特急「はくたか」が停まっている。北陸線で事故があり、遅れているとの ことで、後続の大垣行は入線できない。約8分余り遅れで出発し、久しぶりの伊吹山を眺めながら大垣へ。
大垣に到着するが、予定の列車は出発した後で、次の列車に乗らねばならず、名古屋からの中央本線、中津川からの列車や代行バスも全てアウトと なってしまった。こんなことになるのなら、何時ものように早く出発すべきだったと後悔するが、後の祭りだ。
名古屋からは、1本遅れの9時46分発の快速で進む。車内はがら空きで、ウトウトしながら中津川へ。次の列車まで50分あるので、久しぶりに「中津川の 宿」を見ようと街中に向かう。駅前にはお盆を祭る提灯が掲げられ、今まで経験したことのない雰囲気だ。「中津川宿」の街並みを確認し、 駅の立ち食い蕎麦屋で、「おろし冷やし蕎麦」を食べる。
本来ならば、松本行で塩尻まで直行で行けるが、先月の災害のため、坂下〜野尻間が不通となり、代行バスで行かねばならない。12時発の坂下行は 代行バスが、南木曽までしか行かないが、そこで時間を潰し、野尻に向かおうと列車に乗る。

中津川駅の提灯

中津川宿

坂下行列車


画像をクリックすると拡大します(以下の画像も同様)

2つ先の坂下駅に向かっ列車は進む。

坂下駅

今は穏やかな木曽川

何度も通った車窓からの景色を眺めながら、あの山の上が「落合宿」で、坂を上って「馬篭宿」に向かった 光景を思い出す。
それ以降の宿場も「青春18きっぷ」を使って日帰りで歩いたのだと。
坂下駅には、南木曽行の大型の代行バスが待っていて、災害があり、中央本線が不通となった南木曽付近を国道で迂回して進む。
バスは木曽川に沿った国道19号線を南木曽に向かう。
「中山道」はこの区間、木曽川を避けて、山側の「馬篭宿」「妻籠宿」を通ったりは、古人の知恵だったのだろうと思いながら、今は穏やかな 木曽川の流れを眺める。代行バスは田立駅に立ち寄り、南木曽駅とは離れた国道の臨時停留所に到着する。
南木曽で約1時間あるので、以前に散策した「桃介橋」付近を散策して時間を潰そうと。その時の資料を再現すると

桃介橋

桃介橋(ももすけばし)は別名「桃の橋」と呼ばれ、大正11年9月に完成しました。
木曽川の水力発電開発に力を注いだ大同電力 (福沢桃介社長)が読書発電所(大正12年完成)建設の資材運搬路として架けたものです。
その後、昭和53年頃から老朽化も進み、本格的な修理もできなかったため廃橋寸前となっていましたが、付近一帯の天白公園整備に 併せて近代化遺産(南木曽町有形文化財)として復元し、大正時代の長大吊橋の本格的な保存と活用をめざしたものです。
桃介橋は全長247m、幅2.7mで、この付近では最大川幅のところにあり、美しく雄大な景観を誇っています。(南木曽町公式HP抜粋より)

「中山道」紀行時は、山の上の「妻籠宿」から南木曽に下り、木曽川に架かる木製の「桃介橋」を眺めるだけで進んだが、次の機会に南木曽駅に 下車して、「桃介橋」を渡った、懐かしい場所でもある。
臨時停留所から木曽川堤防に出ると「桃介橋」が望まれ、上流に歩いて行く。 木曽川を頑丈な「桃介橋」で渡っていると、涼しい川風が気持ち良い。大きな岩が川底には残り、木曽川は穏やかに流れている。とても災害が 起こったとは思えない流れだ。
「桃介橋」を渡り、公園の東屋で一息入れる。川風を浴び、東屋の陰にいると気持ち良く、ウトウトとしてしまう。
14時06分発の代行バスで、野尻駅に向かう。南木曽駅から少し進んだ右の山手が、災害の跡らしく、地肌がむき出しになっている。あの土砂が 中央本線を寸断し、不通になったのだ。一瞬に通過したので、写真は撮れなかった。
迂回道路は国道19号線を進む。ここは、「中山道」紀行時に木曽川を見ながら、暑い中を歩いたのだと思い出しながら、野尻臨時停留所に 到着する。

木曽川に架かる桃介橋

桃介橋

木曽川沿いの中山道


国道に設置された臨時停留所までは大型バスだが、JR野尻駅までは、道が狭いので、マイクロバスに乗り換えて進む。時間が掛る訳だ。野尻駅に 到着し、中央本線に乗り換えるが、代行バスの乗客が多く、座れない人もあったが、窓側に座り、塩尻を目指す。
今回の回顧旅行で、「奈良井宿」に立ち寄ることも検討したが、時間的に無理で断念せざるを得ず、代わりに「中山道」紀行時に、先達の 方からアドバイスされていた上諏訪の「片倉館」の温泉に入浴することを計画した。しかし、列車の遅れで、これも断念せざるを 得ないのは残念だ。
この辺りの「中山道」紀行は、「青春18きっぷ」を使って行ったので、乗降した駅には親しみを感じる。車窓から、その時の光景を回顧しながら 進む。「奈良井宿」では、宿泊したので、奈良井駅の案内板も記念にパチリと。
「宮ノ越宿」の手前が「中山道・中間地点」だったので、半分歩いたのだと感慨深く思ったりしたことを回顧しながら、塩尻駅に到着 する。飯田線経由の快速を待って、岡谷に向かう。
塩尻から岡谷へは長いトンネルが続く。この上が「塩尻峠」で、この峠を上り、初めて諏訪湖を眺めた時の感激は忘れられない。関東圏に 突入するのだと。そして、よくここまで歩いたと。最後まで、頑張って歩こうと・・・・・等々。
辰野駅からいよいよ飯田線に入る。ここから豊橋駅までの195.7kmは、天竜川沿いに進む所が多く、「日本秘境駅」ランクの上位駅が、6駅あるのだ。 明日は、これらを巡ろうと、始発列車がある駒ヶ根駅まで進むことにした次第だ。夕暮れが美しく迫る山々を眺めながら、18時19分駒ヶ根駅に 到着する。

マイクロバスと野尻駅

奈良井宿の案内板

駒ヶ根駅


「中山道回顧の旅」の「紀行スライド」

明日の始発が5時前なので、食事ができないと考え、駅前のスーパーで朝食用のパンと餅を買って、ホテルに向かう。駒ヶ根グリーンホテルにチェックインし、本来 、上諏訪で温泉に入る予定がNGになったので、大浴場で足腰を伸ばし、リラックスする。
フロントでお奨めの居酒屋を聞き、ビールで乾杯した後、信州に来たら「馬刺し」と注文し、女将さんやお客さんと話しながら楽しむ。ホテルに戻り、 明日の計画をトレースした後、ぐっすりと眠る。

○第2日目(8/06)

駒ヶ根(4:58)→田本(7:13)→散策→温田(8:13)→平岡(8:33・8:33)→為栗(8:40・9:48)→小和田(10:11・11:19)→中井侍(11:25)→散策 →伊那小沢(13:28)→湯谷温泉(14:56・16:11)→豊橋(17:16・17:31)→金山(18:25・19:15)→米原(20:35・20:54)→高槻()22:02 ===> 407.2km・7020円

4時前に目覚め、今日の行程を再度トレースする。
飯田線の秘境駅は、天竜峡駅〜中部天竜駅(127km)間に6駅ランクアップされており、北から千代駅(秘境度No.39)、金野駅(No.13)、田本駅(No.4)、 為栗駅(No.28)、中井侍駅(No.27)、小和田駅(No.2)と続いている。因みに、日本一秘境駅は室蘭本線・小幌駅だと。
時刻表を確認すると、上下線とも1-3時間に1本の列車しか運行していないので、如何に効率的に巡るかを色々と検討した。駒ヶ根に宿泊したのも、 始発列車があるためだ。
全6駅全てに下車したい所だが、上り・下りを有効に使っても、探訪後の温泉入浴や帰宅時間を考えると難しく、千代駅・金野駅2駅は 諦めて、右の行程で秘境駅を探索することにする。
また、次の駅まで歩く時間があれば、秘境駅周辺の景観を楽しむことにする。
4時20分、身支度を整え、ホテルを出て、駒ヶ根駅に向かう。まだ、真っ暗で、駅構内ではベンチで眠っている旅行者もいる。駅前のベンチに座り、昨夜 買ったパンをコーヒーとともに食べ、朝食とする。昼食を食べる場所もないので、餅を買っておいた次第だ。
4時58分発の豊橋行の列車に乗るが、車内は2人だけで。定刻通り、ローカル列車はスタートし、駅の間隔が短いのに驚きながら、夜明けの風景を車窓から 楽しむ。やがて、東の山の間から、朝日の光の帯が見え出し、「飯田線秘境駅探訪」の旅が天気に恵まれたことを喜ぶ。

豊橋行の列車

ガラガの車内

朝日の帯


緑の稲の絨毯が続く車窓を楽しみながら進む。

天竜峡駅

天竜川下りの模型

時間があれば、「元善光寺」に参拝したいと思っていたが、時間的に難しいので、車内から手を合わせ 飯田駅へ。
飯田駅では、停車時間もなく、直ぐに出発したので、飯田線由来の駅舎も撮影できなかった。
途中の駅から、数人の通勤客が乗降したが、「18キッパー」は誰も居らず、ガラガラの状態で進む。
2時間弱で、天竜峡駅に到着し、5分程、停車するので、駅舎や「天竜川下り」の模型を撮影する。ここから、天竜川下りが始まるのだ。 船着場まで行きたかったが、停車時間が短いので、諦めて、いよいよ、秘境駅への探訪が始まる。
6時55分に天竜峡駅を出発すると直ぐにトンネルに入る。今まで、平野部を進んで来たので、秘境部に進んでいることが分かる。トンネルを抜け、 少し行くと千代駅だが、駅の標識を写す間もなく出発してしまった。通過証明もなしだ。
右下に朝日に輝く天竜川を眺めながら進むと次の金野駅に到着するが、駅の標識と停車場所が離れているので、動き出してからパチリと。やはり、 下車しないと撮影は難しい。
飯田線は、右に天竜川を望みながら、崖沿いに進む。小さなトンネルが次々に現われ、運転席の横から見ていると童心に帰り、楽しく単線の飯田線を 楽しむ。

朝日に輝く天竜川

金野駅の標識

小さなトンネル


トンネルを抜け、天竜川を眺めていると、立派な鉄橋が架かり、渓谷との対比が面白いと思っていると、下車する秘境駅度No.4の田本駅に 到着する。

崖沿いに張り付いた田本駅

木曽川に架かる鉄橋

7時13分、田本駅に下車したのは小生一人で、列車は直ぐに出発してしまう。
秘境駅No.4の田本駅を独り占めしたのだ。
今回の予定では、次の列車が来るまで約1時間あるので、次の温田駅まで歩こうと。
温田駅は秘境駅ではないが、秘境駅周辺の雰囲気を感じるのと「街道歩き」の経験を活かして、自然や史跡を見聞したいと考えた次第だ。
事前のトレースでは、約4kmの距離なので、歩行可能と考えたが、その列車に乗り遅れると、計画の大幅変更をしなければならない。
急いで、田本駅の標識・ホームを撮影し、前方の階段を上り、崖沿いに張り付いた田本駅のホームをパチリと。線路の下には、天竜川が流れているが、 木々に覆われて望むことができないが、蝉の声とともにせせらぎの音が聞こえる。

田本駅の標識

田本駅の細いホーム

前方の階段


階段を上ると直ぐに山道となる。車は通れず、さすが秘境駅と思いながら上ると「左 泰阜村(やすおかむら)・田本〜温田、右 竜田橋・阿南町」 の標識が掛っている。計画時点で、吊り橋の竜田橋の見学も考えたが、温田駅の列車時間を考えると無理と判断し、左の上り坂を上って行く。
この坂の勾配が、結構きつくて、息遣いが荒くなる。慌てすぎてはいけないし、列車に遅れてはいけないので、息遣いの程度を見ながら、スピード 調整して上って行く。「山陽道」や「薩摩街道」の峠越えのようだ。
高度が上がり、右下に木曽川が眺められるようになり、木々の間から吊り橋が見られる。あそこまで行きたかったが、見ることができ、 良かったと思いながら、汗を流しながら上って行く。崖には金網も張ってある山道は、広葉樹が広がり、木陰もあり気持ち良いが、急ぎ足で 息切れがする。約20分弱で、県道に到達し、一息入れる。(7:30)

温田と木曽川への分岐点 道標

田本駅の山道 吊り橋を望む

もう少しで県道


県道に上ると目の前に民家があり、奈川商店の看板が掛っているが閉まっている。自販機も置いてあり、山道20分で秘境を脱したのに 少し物足りなさを感じる。舗装された県道を進むと天竜川を越えて、青空の下、山々が望まれ、気持ち良い。緩やかな下り道を進むと右に 「田本神社」の鳥居が立ち、旧街道を歩いている感じだ。
時間を気にしながら、県道を下りって行くと犬の散歩をしている人に会い、温田駅の道に間違いないかと確認して下って行く。途中、史跡の 説明の案内板もあったが、時間優先で無視して進む。下り坂になる所から、天竜川に架かる格好良い橋が見られ、あの辺りが温田駅だと 確信して、歩を速める。
やがて、坂を下り切り、飯田線の踏切を渡ると温田駅の駅舎が見え安堵する。駅前には民家はあるが、商店はなく、駅舎の写真を写して 入場すると上りの列車が到着する。(8:11)。
直ぐに下りの列車が到着し、乗車する。ギリギリに間に合った感じで、急いで良かったと。

山々を望む 県道の民家

田本神社の鳥居 天竜川と橋

温田駅


8時13分発の列車に乗り、次の秘境駅に向かう。

川面に映る白い鉄橋

平岡駅

この列車は、次の秘境駅・為栗(してぐり)駅は通過するので、その次の平岡駅まで進まねばならない。
車窓から天竜川を眺めていると、白い鉄橋が川面に映って美しい光景を発見し、パチリ。この下流に平岡タ゚ムがあるので、水が貯えられ ているのだ。
平岡駅で上り線と行き違うので、その3分間に、駅の売店に弁当を買いに行くが、まだ時間が早く、入っていないので、パンを買い求め、 急いで上りの列車に乗換える。ここが、「青春18きっぷ」活用の良い所だ。
8時33分発の列車で、先程通過した為栗駅に戻る。この列車には、「18キッパー」と思われる人もたくさん乗っており、秘境駅探訪をしているので あろう。

「飯田線秘境探訪」の旅@「紀行スライド」

8時40分に、秘境駅度No.28の為栗駅に到着する。為栗駅に降りたのは年配の女性だけで、停車の間に、秘境探訪組はカメラで駅の標識を写している。

為栗駅

為栗駅の標識

次の列車まで、約1時間あるが、陸の孤島的な駅からは、次の駅に進めないので、駅周辺を探索するしか時間を潰す方法はない。
一緒に降りた地元の方らしい年配の女性に、どの辺に住んで居られるのか尋ねると、ここから1時間程歩いて帰るのだと。さすが秘境だと 思い、気を付けてと云ってお別れする。
列車が行ってしまうと静寂が訪れ、眼下の天竜川を眺め、下流に架かっている吊り橋に向かう。
川沿いの道を進むと直ぐに吊り橋に到着し、 もっと貧弱で、渡るのが怖いのではと思っていたが、頑丈な吊り橋だ。車は通れないが、自転車・バイク(?)は通れそうだ。
吊り橋を渡って行くが、揺れることもなく安定している。川の真ん中まで行くと、川風が気持ち良く、水を湛えた天竜川と山沿いに小さく見える 為栗駅を眺める。ロープにもたれて、静かな川面と周囲の山々を眺め、自然を満喫する。
対岸に渡るとこの橋の名前「天竜橋」と記された杭が立っているのを確認し、吊り橋の陰になった部分で、のんびりと時間の経過を 楽しみ、列車が来る時刻に駅に戻る。至福の時間だった。

天竜川に架かる吊り橋

頑丈な吊り橋 対岸から

吊り橋の上から天竜川を


9時48分発の下り列車で、飯田線最高(?)の秘境駅・小和田(こわだ)駅に向かう。
途中に、秘境駅・中井侍駅があるが、ここは他の駅に歩けるので後回しにし、周辺へのアクセスのない小和田駅での滞在時間を少なく しようと考えた次第だ。
天竜川沿いをトンネルをくぐりながら列車は進み、中井侍駅を通って。小和田駅に到着する。(10:11)

小和田駅舎

小和田駅の標識

小和田駅は、日本秘境駅ランキングで日本一秘境駅の室蘭本線・小幌駅に次いで二位の秘境駅だそうだ。
駅には、高校生二人も降り、 列車の出発姿を写している。二人は東京から来た高校一年生で、写真部に所属しているそうで、秘境駅を高級カメラで撮影している。

三県境界駅の碑 駅周辺案内板







ホームには「三県境界駅」の標識と静岡・長野・愛知県の方向を示す矢印の標識も立っている。
小和田駅は静岡県浜松市に設置されているが、天竜川を挟んで愛知県や長野県に接しているのだ。駅舎の中には、その状況を示す手書きの 案内図が掲げられている。秘境駅と云われる所以も、このような所にもあるのだろう。
また、現在は道路の通じない駅だが、駅開設当初は孤立した地域ではなく、集落や天竜川対岸に通じる橋もあったが、昭和31年に完成した 天竜川下流の佐久間ダム建設に伴い、駅前一帯がダム湖となり、全てが水没しし無人地帯となったそうだ。
秘境駅に加えて、小和田駅を有名にしたのは、小和田雅子様が皇太子妃となられたことで、ご成婚ブームが起こり、大人気の駅になったと。 ホームには、「恋成就駅・小和田」の木碑も立ち、駅舎の入口には「花嫁号」の標識が飾られたり、駅から出た所にある東屋のベンチには 「愛」と記されているように、上手くPRしているのは、誰の知恵なのだろうかと。

小和田駅ホーム

花嫁号の標識

東屋の愛のベンチ


次の列車まで、約1時間あるので、周辺の散策に出掛ける。坂を下ると廃屋があり、塩沢集落まで1時間、高瀬橋まで20分の道標が立っている。 道標に従って整備された小道を進む。
左下に天竜川を見ながら、木立に覆われた小道を歩くのは気持ち良い。ツクツクホーシの鳴き声も聞かれ、早くも この辺りは、夏の終わりなのだと思いながら進んで行く。
所々、木々の切れ目からは、佐久間ダムに通じる湛えられた天竜川の雄大な自然が望まれ、塩沢集落へ向かう分岐点から、高瀬橋方向に進むと 地道になり、倒木が目立つようになる。少し先に、通行止めの標識があるが、無視して少し進むが、高瀬橋の姿が見えず、崩壊しているのかも 知れないので、戻ることにする。後で調べると、高瀬橋は吊り橋で、崩壊して通行はできないとのことだ。

塩沢集落への道

水を湛える天竜川

高瀬橋への地道 通行止めの標識


小和田駅に戻る。駅舎の中には、訪れた方の感想を書くノートが置かれており、パラパラと読む。昨日の記述には、熊・マムシに注意と書かれている のに驚いたが、何もなく良かったと安堵する。

古い小和田駅標識

カメラ小僧のアングル 記念写真

ノートに訪問した足跡として、記念のコメントを書いておく。再び、訪れることはないだろうか・・・
駅舎の中には、昔、ご成婚ブームの時には、結婚式も行われたようなのか、結婚式の写真がたくさん掲げられている。
ホームに出る所に、古い小和田駅標識が掲げられている。歴史を感じたので、パチリと。
ホームに出ると、一緒に降りたカメラ小僧の高校生が、いろいろな角度で、小和田駅の写真を写している。二人の会話を聞いていると楽しい。彼らに 小和田駅訪問記念写真を写してもらう。
11時19分発の上りり列車が来ると、カメラ小僧は嬉々としてカメラを構え、小生はその姿を写す。
日本第二位の秘境駅・小和田駅をゆっくりと味わい、充実した時間を堪能でき、今回の旅行は目的達成だ。

中井侍駅の標識

中井侍駅の待合室

カメラ小僧は、為栗駅に向かうので、車内で頑張れよと別れ、次の中井侍駅に進む。
11時25分に秘境駅No.27の中井侍駅に到着する。
中井侍駅は駅舎もなく、ホームだけの寂しい駅だが、少し、地道を上ると県道に出るので、 ランクは低い理由が分かる。
秘境駅探訪はこの駅まてで、温泉で汗を流し、帰路につくのだが、列車までの時間が2時間以上ある。この駅で留まっているのはもったいない ので、手前の駅まで、1駅か2駅戻ろうと。
日が高くなり、陽射しが厳しくなって来たが、県道の杉木立が遮ってくれ、陰を縫って快調に進む。
左は杉木立で、天竜川は見えないが、川風が吹き上げて来るので涼しいのは有難い。
右の山の中には、飯田線のトンネルが走り、その上の山肌に茶畑が広がっている。緩やかな上り坂の県道は、やがて、右上に飯田線の電線が見え、 再び、トンネルに入って行く。天竜川・県道・飯田線トンネルが、狭い範囲で分け合っている典型的な日本の経路だ。
天竜川の蛇行する所では、雄大な天竜川の姿も見え、気持ち良く進む。

杉木立の県道

飯田線のトンネル

天竜川を望む


舗装された県道を進むと天竜川に架かる水神橋が見え、渡らずに川沿いに進むと伊那小沢駅がある。次の鶯巣駅に向かうか、ここで終え 伊那小沢駅から列車に乗るかの判断の分かれ目だが、水神橋を渡って進むことにする。
立派な水神橋を渡る途中、陽射しは厳しいが、天竜川の川風は気持ち良い。橋を渡ると上り坂になり、反対方向に進むようになっている。 まだ、1時間余り時間があるが、田本駅から温田駅に進んだ時、ギリギリ間に合った経験から、無理をせず、伊那小沢駅に戻る。
伊那小沢駅は駅舎もなく、ホームの待合室は日当たりがきついので、機器建屋の陰で、昼食用のパンと餅を温いお茶で食べ、一息入れる。 「中山道」の無人駅でも、水道の水で身体を拭き、リフレッシュしたが、ここは水道もないので、シャツを脱ぎ、乾いたタオルで身体を拭き、シャツを日向に 干して置く。誰も来ない無人駅の醍醐味か。
やがて、13時31分発の列車が来て乗車する。車内は涼しく4人席を独占し、先程下車した中井侍駅・小和田駅を確認して、湯谷温泉に向かう。 大嵐駅付近から天竜川を離れて行き、秘境駅探訪の区間を終える。

水神橋

伊那小沢駅

伊那小沢駅の標識


4人席を独り占めにし、田園風景が広がる車窓を眺めているとどこかの駅からたくさんの学生が乗って来た。女子学生が前に座ったので、何の 合宿と聞くと、天文クラブだと。女子学生が多いので驚き、女性が多いねと話すと、半々位の割合だと。2泊3日の合宿で、初日は星は見られ なかったが、昨日は天の川も見ることができたそうだ。女子高校生と話している間に、ゆた温泉駅に到着し、お別れする。
湯谷温泉は、汗だくの身体を温泉で流そうと探した温泉地だが、駅前には何もなく、寂しげな温泉地中から1軒を選び、入浴する。源泉掛け流し で、川を見ながらのなかなかの良い温泉だ。ただ、1000円とは少し高い。汗を流して、さっぱりとする。
ビールを売っている所を聞くが、この近くにはないと。駅まで戻り、車の人に聞くと先の土産物屋さんにあるかもと。早速、急ぎ足で行き、ビールと 自家製の蒟蒻田楽を頼む。冷たい飲み物は、朝の缶コーヒー以来なので、五臓六腑に沁み渡る。美味しい!! 蒟蒻田楽もパン・餅しか食べていなかった ので、お腹が喜んでいる。風呂上りのビール・蒟蒻田楽に大満足し、漬物等、土産を買って急いで、湯谷温泉駅に戻る。

湯谷温泉駅

源泉掛け流しの温泉

ビールと蒟蒻田楽


「飯田線秘境探訪」の旅A「紀行スライド」

16時11分発の豊橋行も「18キッハー」らしき人も乗っている。疲れと酔いでウトウトしている間に豊橋に到着し、直ぐに東海道本線に乗り換える。 「中山道」回顧の旅と銘打っているので、当時、良く利用した金山駅の駅中居酒屋に立ち寄り、旅の締めをしようと。
金山駅で降り、居酒屋に向かうが、工事中で店はない。近くに居酒屋を見付け、満員だが、カウンター席が1席空いていたので、「ほろよいセット」 1200円を注文する。生ビール1杯+刺身三種盛り+2品と表示されており、まずは生ビールで、昨日今日の旅行が充実していたことに乾杯。つまみが 運ばれた来て驚く。大きなサザエ壺焼きが2個、天婦羅盛り合わせと豪華で、そこに刺身が到着。芋焼酎も頼んで、美味しくいただく。大満足だ。
19時15分発の米原行は、金山が始発なので、少し早目に並び、窓側の席を確保する。学生の団体が乗って来て、横に大学生が座る。何の グループかと尋ねると、立命館大学のハイキング部(?)で、富士登山の帰りだと。「青春18きっぷ」を使って、昨日登って、ご来光を見て、下山し、 京都に戻る所だと。
4年前に行った「富士登山」の経験談と彼の登山の話で盛り上がる。ご来光も はっきり見ることができ、大満足だったと。米原まで、いろいろと話しながら楽しく過ごしたので、眠る間もなかった。
米原駅で別れ、新快速で高槻に。バスもあり、22時30分頃、無事帰宅する。

今回の「青春18きっぷ」旅行は、「飯田線秘境駅探訪」をメインに、「中山道紀行回顧」した充実した旅となった。「中山道」の想い出も、段々 色あせて来るが、HPを読み返すと鮮明に蘇り、回顧の旅を支えてくれた。「飯田線秘境駅探訪」は計画段階の時刻表との格闘で、半日間で 4駅を踏破できたのはgoodだったと自画自賛するところだ。
まだ知らない地もたくさんある。「青春18きっぷ」を使って、時間を贅沢に味わう旅をこれからも実践したい。







    
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