[観音道」[志古〜本宮大社]


○ 「伊勢路 No11」見聞録 

10-2.新宮〜志古〜「小雲取越え」〜本宮大社
 2005.08.19 8:40〜12:55 晴れ

さあ、いよいよ最終行程だ。昨夜の楽しいお酒でぐっすりと眠れ、爽快な目覚めだ。
朝食が7時からなので、身支度を整えてガイドブックで今日の行程を確認する。食堂には観光の方も 散見され、熊野への関心度の深さが分かる。ゆっくりと食事をしチェックアウト。

「熊野川の碑」

「ウオータージット乗り場・楊枝の渡し跡」

7:58発の奈良交通・八木行のバスの乗客は小生一人で志古に向かう。
水が少ない熊野川を上って行く。志古着8:37。
早速、瀞峡巡りのウオータージェット乗り場に行き、「楊枝の渡し跡」を探すが痕跡は見当たらず 諦める。前回は対岸からこの船着場を眺めたのだ。
まだ時間が早いので観光客の姿は無い。ここからウオータージェットでこの前宿泊した瀞大橋を通り、瀞峡に 進むのだ。昔はプロペラ船だったこの航路を一度ノンビリと観光したいものだ。

「伊勢路・本宮道」への入口は国道の道路標識で確認出来、一安心だ。さあ、出発。(8:50)
舗装された林道を進むことになる。すぐ左に「お地蔵さん」が祀られ、稲穂の頭が垂れた田圃を 見ながら山に向かって行く。木陰の道になり少しほっとする。まだ陽射しは強くないが、コンクリートの上は 暑く、木陰を選んで上る。「一遍上人名号碑」の説明板が立っているので、碑を探すが分から なかった。

「伊勢路の道しるべ」

「お地蔵さん」

「木陰の道」 →一遍上人名号碑案内板


林道は緩やかに上って行く。木々の切れ目からは山が展望され、少し変な臭いがして来るので何かと 進むと牛舎が数軒建っている。山里離れた所でないと動物を飼うのは難しいのだろうと実感する。 (9:35)
曲りくねった舗装道路を息を弾ませて上る。汗が一杯噴出してくる。やがて、林道から山道に向かう 「万才峠への道しるべ」を発見し、リュックを放リ出して休憩する。いよいよ万才峠に進むのだ。(10:05)

「林道からの展望」

「牛舎」

「万才峠への道しるべ」


「道しるべ」の方向に舗装された林道から地道に踏み入れる。いよいよ最終行程に突入だ。やはり 地道が良い。木立の間の細い道を進む。人が通っていないのかと思っていたが、道はしっかりと 踏み固められている。住居跡か猪垣かわからない石垣の道もあり、緩やかな坂を上る。杉とシダの 林や木漏れ日を楽しみながら、急な坂を上ると「万才(まんざ)峠」(415m)の頂きに到着。
「道しるべ」も整備されていて、間違うことなく到達出来た。一息入れる。(10:20)

「石垣の道」

「杉木立とシダの道」

「万才峠の頂き」 →道しるべ


下りの坂は急だ。落葉が積み重なっている道を滑らないよう注意して下る。谷まで下り、再び上り 道になるので、これを上り切ると「小雲取越え」の合流点だとシダの道を進むが、又下り始める。 尾根を一つ越えたのだ。木立の道を下り、小さなせせらぎが流れる谷に下りる。 谷には水場があったので、顔を洗い汗を拭い、小休止する。(10:40)
木立の落着いた道を上る。今度こそ「小雲取越え」の合流点だと。前方の木々の間から空が広がり 上りきった所で道と合流した。「伊勢路」と「中辺路・小雲取越え」の合流点、即ち、「伊勢路」の 終点・ゴールだ。やっと到達した。(11:00)

「急な下り坂」

「シダの道」

「斜面の快適な道」


「伊勢路と中辺路・小雲取越えの合流点」


リュックを降ろし、座り込む。一昨年の秋、「那智大社」から「大雲取越え」「小雲取越え」で「本宮 大社」に向かう途中で、この「伊勢路の道しるべ」に遭遇し、「伊勢路」とここで繋がっている のだと知り驚いた。いつか「伊勢路」を歩いてこの場所に戻りたい・・・・・と思っていた。
やっと実現出来たのだ。1年8ケ月かかったが嬉しい瞬間だ。

前回の「小雲取越え」の時は雨で視界は良くなかった。この合流点の那智側に「百間ぐら」があり、 その展望を楽しむことが出来なかったので、往復1時間程度かかるが戻ろうと計画していた。
「本宮大社」とは反対方向に進む。道幅も広く、緩やかな坂を上って行く。前回は傘をさして歩いたと 思い出しながら。
若い方と出会う。挨拶をし「百間ぐら」はもう直ぐですね・・と聞き、確認して進む。思ったより 距離があったが、視界が開け「百間ぐらのお地蔵さん」が迎えてくれる。絶景だ。(11:20)

「百間ぐらの展望」


「お地蔵さん」

「果無山脈・展望」

「那智方面・展望」


ゆっくりと腰を降ろして展望を楽しむ。快晴とは云えないが遠くの果無山脈や那智側の山々も望まれ 「伊勢路」踏破の感激を景色とともに浸る。
あの果無山脈は「小辺路」の最後の行程で訪れる山並みだ。「小辺路」踏破も後一回だ。涼しく なった頃にトライしたいと山並みを見ながら思う。
昨夜貰った「小みかん」をかじると酸っぱい果汁が口に広がり疲れが吹っ飛ぶ感じだ。さあ、出発。 (11;40)

合流点まで戻る。途中、懐かしい「小雲取越え・道しるべ」が500m毎の距離を教えてくれる。快調に 緩やかな下り坂を進み、先程の合流点に到着し、上って来た「伊勢路」を振り返る。(11:55)
「小雲取越え」の道を思い出しながら進んでいると「松畑茶屋跡」の石垣に出会い、木立の深い道を 快調に歩む。先程出会った若い方に追いついた。膝が痛むのか足を引きずって歩いているので、 大丈夫かと尋ねるとゆっくり行くので大丈夫・・・と。昨日の「大雲取越え」で膝を痛めたのか?

やがて、熊野川を見下ろす地点まで到着し、後少しで国道だと歩を速める。民家の横の階段を下ると R168の下地橋バス停に到着する。(12:55)
13:10発の「本宮大社」行のバスがあるので、それに乗ることにする。

「小雲取越えの道」

「松畑茶屋跡」

「熊野川・展望」


バスで「本宮大社」に着き、鳥居・石段を上る。「世界遺産」に登録されてから初めての 参拝だが、人が多いのに驚く。やはり「世界遺産」効果か。「朱印帳」に記帳を頼み、参拝に向かう。 「伊勢路」踏破のお礼を込めて参拝する。ここの本殿は本当に心落ち着く場だ。
記念写真を撮ってもらい「伊勢路」踏破の記念とする。

「本宮大社・鳥居」

「本宮大社・神門」

「本宮大社・本殿」


昼食を取るために前回も訪れた茶房「靖」に行き、カレーライスを食べ話す。次は「小辺路」踏破時に 訪れるとし、14:15発のバスで湯の峰温泉に向かう。
途中、バスから先程会った若い方が国道を歩いているのを見て、無事「小雲取越え」を終えられたと 安心する。
「つぼ湯」に入ろうと思ったが待ち時間が40分なので諦め、普通の温泉に入ることにする。しかし、 「つぼ湯」の入湯料が700円に値上がっている。前は260円だったのに。少しひどいのでは・・・・。
「しまなみ海道」サイクリングの苦い経験から、すぐに湯に入らず、冷水で身体を冷やしてゆっくりと 温泉につかる。「伊勢路」踏破の充実感に浸りながら。

15:31発のバスで紀伊田辺に向かう。前はガラガラだったのが、10人位乗っている。観光客が本当に 多くなった。懐かしい「中辺路」を車窓から思い出す。田辺に着いていつもの様に「養老の瀧」で 「伊勢路」踏破を祝って乾杯!!。美味い!!

18:15発の列車で帰途に着く。海水浴帰りの学生も多く、4人席も満杯で夕陽が沈むのを見ながら 振動に揺られる。前の女性と話す。タイに長期に行っていたそうで旅行や熊野古道のことを話す。 韓国語も堪能なそうだが、和歌山では活用出来ないと。
御坊、和歌山、大阪で乗り換えて21:30過ぎ帰宅する。
本日の歩行は28000歩だった。

1年8ケ月かかって「伊勢神宮」から「熊野本宮大社」までの「伊勢路」を踏破した。 180kmは歩いたことになる。国道筋の単調な所はJRやバスを使ったが、全体の90-95%は歩行したと思う。 「伊勢路」の前半と後半は詳細なガイドブックがなかったが、峠道については詳しいルートマップがあり、 迷うこともなく楽しく歩くことが出来た。サイトでも同じマップがあり、旅行記を参考にした。感謝!!

「伊勢路」は峠と海と石畳の巡礼道だ。「中辺路」の山中の道と違って、開放感があり明るく感じる。 海を見ながらの歩行は気持ち良い。特に熊野灘の大海原を展望すると地球が丸いのが分かる感じだ。
東国の武士や庶民の間で「伊勢参り」が盛んになる頃から「伊勢へ七度、熊野に三度」と云われる ように、「伊勢参り」を済ませてから「西国三十三所」を巡る巡礼の旅のルートが「伊勢路」だ。

さあ、次は「小辺路」の最終行程を極めて「中辺路」「伊勢路」「小辺路」を踏破したい。







    
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