[高野山〜大股」[大股〜三浦口]


○ 「小辺路(No1)」見聞録 

1-2.大股〜桧峠〜伯母子岳頂上〜伯母子峠〜上西家跡〜三浦口
 2005.07.20 06:30〜13:40 晴れ

天気予報では十津川村の最高気温が35℃を超えると云う。5時過ぎに目覚める。涼しいのでぐっすりと 眠れた。大阪の暑さと比べると湿度が全然違う。
6時から朝食をいただき、6時半前におにぎり弁当、お茶を貰って出発する。息子さんに大股橋まで 車で送ってもらう。昨夜、おばさんの話で息子が民宿を継いでくれると喜んでいたことを話しながら。 橋でお礼を云って別れる。(6:30)

今日の歩行は標高差がかなりある。大股橋(700m)から伯母子岳頂上(1344m)まで600m登り、ここから 三浦口(400m)まで900m下るのだ。暑さと標高差での歩行、三浦口から路線バスのある川津まで約8km、 2時間歩かねばならないので、時間配分にも注意しなければならない。

大股橋の上から送ってもらった車を見送り、左の岩壁の「小辺路・道しるべ」の指示に従って、集落の 急な坂道を上るとたくさんの「お地蔵様」が祀られ、墓地をの横を進む。「伯母子岳登山口」の標識 から地道になり、ジグザグ道は傾斜がきつく汗が噴出してくる。動き出したばかりで体が馴染んで いないので、涼しいと思っていたのが、坂道の歩行はそれ以上に厳しい。
汗が額から流れ目に入る。息使いもハァーハァーと激しくなり休憩して額に鉢巻をしたいと思うが、休むと 次がつらいと考え、黙々と次のポイントまで歩こうと歩を進める。やっとのことで「萱小屋跡」の広場に 到着し、リュックを投げ出し汗を拭い一息入れる。(7:10)
「萱小屋跡」の標高が1000mなので40分で300m登ったことになる。

大股橋から北股川を望む

伯母子岳登山口・道しるべ

萱小屋跡


ここからの道は気持ち良い。緩やかな上り坂はブナ、カエデの自然林の緑に覆われ、木漏れ日が明るく 照り輝く。杉木立も良いがやはり広葉樹の林を歩く方が古道歩きに合っている。
全体にはアップしながら小さなアップダウンを繰り返しながら上る。この辺りの崖は砂岩なのか崩れ易く、 崩れ落ちて道はガレキだらけで歩き難い所もある。
ガサッと音がして驚いて立ち止まる。何かと見ると大きな蛙がこちらを見ている。初めて出会う動物だ。 保護色で見難いがパチリ。緑の林や少し霞んだ展望を楽しみながら「桧峠」に到達する。(7:57)
弘法大師が捨てた箸が桧になったと云われる「桧峠」で水分補給に努める。「桧峠」は1300mなので 50分で300mの緩やかな坂を登ったのだ。

自然林の緑の道

気持ち良い古道 →蛙

桧峠


ブナ、カエデの自然林が続く緩やかな坂道を上る。名も知らない鳥の声が清々しい。鉢巻は汗を 吸い込み絞ると水滴が落ちる。崖沿いの道を進むと時々水が流れている水場が現われる。水量の多い 水場で休憩する。顔・頭に水をぶっかけてタオルを水に浸し身体を拭く。
やがて「伯母子岳分岐点」に到着する。「小辺路」は山小屋の方向に向かうが、ここまで来たのだから 日本200名山の一つの「伯母子岳」に登ることにする。(8:36)
ここから護摩壇山まで12.7kmとの表示があるので、伯母子岳経由しての登山者も多いようだ。

緑の道

崖の道

伯母子岳分岐点


頂上まで直線的に上る。ジグザグ道もきついが、一直線はもっと厳しくハァーハァーと一歩一歩進む。 木漏れ日の道は暑さを感じさせる。段々と風の強さを肌に感じ、木々が開けて頂上に到達する。(8:47)
リュックを放り出して深呼吸する。晴れて見晴しは良いが、遠くは霞んでいる。360度の大パノラマを ゆっくりと楽しむ。遠く大峯山系を望み「大峯奥駈け道」紀行に夢を膨らませる。

頂上には色々な登山グループが登頂記念の碑を打ち付け人気の程が分かる。石の上に腰をおろして 水分を補給し、梅干でスキッとする。風が気持ち良くしばらくボンヤリと1344mのテッペンを楽しむ。 後の行程を考えると余り時間も取れないので出発する。(9:15)
「伯母子峠・山小屋」に向かって直線的に下る。赤トンボの群れが現われ山上に秋が近付いていること を感じさせる。

伯母子岳登り道

伯母子岳・頂上

伯母子岳・頂上広場


護摩壇山方向展望

大峯山系展望

伯母子岳下り道


直線の道を下ると「伯母子峠」の山小屋に着く。山小屋は鍵がかけられていて中をのぞけないが、 高野山からこの山小屋まで来て宿泊し、次の日に十津川温泉まで行く行程も考えられるようだ。 (9:30)
「伯母子峠」には色々な「道しるべ」が立つ。石造りの「小辺路・道しるべ」が現われ、これからの 行程を導いてくれそうだ。ここからは野迫川村から日本で一番広い村である十津川村に入る。

伯母子峠

伯母子峠の山小屋

小辺路・道しるべ


伯母子峠から下り坂が続く。伯母子岳を極めた喜びで足の運びは軽いが、陽射しがきつくなり汗は 額の鉢巻を濡らし、グレーのTシャツを黒く染める。広葉樹の木漏れ日の道を心は気持ち良く進む。 緑豊かな道、崖の道、尾根伝いの道と変化に富んだ古道を楽しみながら堪能しながら進む。 苔に覆われた木が道脇に転がっていたり、時々、大峯連峰の山並みを眺めながら足取りは軽い。 又、ガサッと音がして、先程より大きな蛙が迎えてくれる。


木漏れ日の道

緑豊かな道

尾根の道 →蛙


ガイドマップで崖崩れで通れない時は迂回路を進むとある。崖崩れで迂回路を進めとの表示があり、 止むなく迂回路の急坂を上ることになる。
今まで快調に進んで来たのが、急な坂の上りでペースが狂ったのか疲労度が倍増する。上りの途中で 息を整え、下り坂は膝をガクガクさせながらやっと元の古道に戻り、下って行くと昭和の初めまで 旅篭があったと云う「上西家跡」の石垣が残る広場に到着し、ベンチで疲れを癒す。(10:33-10:45)
広場には風が通り涼しいが、急坂の昇り降りで膝に疲れを感じる。屈伸運動をして後半に備える。 周りのカエデは緑ばかりだが、紅葉した一枚の葉を発見。秋が近いのか。

大峯連峰の山並み

迂回路の表示

上西家跡


膝の調子が良くないがスタートする。この標高1000mの広場から400mの登山口まで下るのだ。 すぐに「道しるべ」があり、明治22年から使われている新道と旧道・小辺路の分岐点を示す。 もちろん旧道を進む。
尾根の急坂を上り、大きな木が倒れている横を通り、急坂を下る。広葉樹林が杉林に変わり緑が 少なくなる。坂がきつくて膝の具合が良くなく、蟹の横ばいのようにペースダウンして下る。ガイドマップ では35分位で「水ケ元茶屋跡」に到達することになっているが、1時間過ぎても見つからない。
崖の道、下りの階段を過ぎてもないので道を間違えたか・・・と不安になる。「道しるべ」が あったので間違いなかったと安心したが、「水ケ元茶屋跡」を見落としたのだと諦める。

新道・小辺路の分岐点

倒木のある道

崖の道


広葉樹の緑に慣れたので、少し味気ない杉木立を下ると長い「石畳」が現われる。「伊勢路」の石畳に 比べると未熟な作りだが、古人が一つづつ石を坂道に敷き詰めた技術と労力は大したものだ。
しかし、この石畳を下るのはなかなかきつい。石畳は膝にショックを与えるので、横の地道をソロソロと歩む。 石畳の急な下り坂を下ると石垣跡が残る「待平屋敷跡」に至る。「待平屋敷跡」は関所や旅篭があった そうで立派な石垣が残っているが、案内板もない。前の「水ケ元茶屋跡」も案内板がないので 見落としたのか?(12:35)

ガイドマップでは「上西家跡」から「待平屋敷跡」まで75分の予定となっているが、110分かかっている。 下り坂、景色の単調さ、石畳、膝の疲れで大幅なタイムロスだ。昼食の時間だが食欲がないので 一息入れるだけにする。

石畳の道

長い石畳

待平屋敷跡


急坂をスローペースで進むと「道しるべ」と「道しるべ地蔵」が並んで立っている。旧道に間違いない。 杉木立の急な坂道は汗と膝との戦いだ。もう一つ「道しるべ地蔵」の所で新道と合流する。 川の音が聞こえ始め、最後の急な下りをやっとのことでクリアすると「伯母子岳登山口」に到着した。 (13:18)

道しるべと道しるべ地蔵

道しるべ地蔵

伯母子岳登山口


平地に出て歩くと違和感はなくホッとする。神納川では鮎釣りの釣り人がたくさん竿を投げている。 陽射しがきつくて舗装道路の照り返しは厳しい。赤い「三田谷橋」を渡り、トイレがあるので顔を洗い 頭に水をぶっ掛ける。一息付き三浦口に向かって歩き始める。
五百瀬(いもせ)トンネルを抜けて五百瀬の集落に入ると南北朝時代の遺跡「腰抜田」の石碑が立つ。 十津川村は歴史の村でもあるのだ。
自販機があったので冷たい缶コーヒーを飲み、元気を取り戻す。道端の崖の祠に祀られた「お地蔵様」を 過ぎて三浦口に到着する。(13:40)

三田谷橋

五百瀬トンネル

腰抜田の石碑 →説明


次回進むべき方向を確認してバス停のある川津への道を急ぐ。まだ十分時間があるが、約8kmの道を 進まなければならない。木陰でおにぎり弁当のおにぎりを1個食べる。暑さと疲れで食欲がなく 無理やり流し込む。

貯水槽の水場

先達のアドバイスでは川津発16:41が五条行きの最終で、時間があったので逆に十津川村役場方向の バスに乗り、温泉に行ったそうだ。汗を流し、疲れを癒すため本宮大社行きのバスに乗りたいと。

県道を川津に向かうが、対向車も含め車は全然通らない。8kmとは云え、道は上りになっているので 2時間では難しいのでは・・・と不安になる。道脇の上に山水を貯水槽に貯めているが、溢れている のを見つける。崖を上って水で頭・顔を洗い、身体を冷水で拭う。気持ち良い。その時に車が 川津方面に行ってしまった。
気を取り直して進む。車が来ないので淡々と県道を進み、橋を渡り後を振り返りながら歩いていると 車が来た。手を振ると止まってくれ、汗臭いですが、川津まで乗せてもらえないかと頼むとOK!!。
助かった。鮎釣りに行っておられた方で、ここから川津まで2時間では無理だ・・・と云われる。 ここの鮎は大きくて毎年3-4回来るとのこと。

お礼を云って川津で降ろしてもらい十津川村役場行きのバスを待つ。14:23発は出てしまって、15:04発 まで冷たいジュースを飲みながら待つ。

温泉地温泉の銭湯

JR五条駅


バスで行くが結構時間がかかり、15:34に着き急いで温泉地温泉の 銭湯に行く。露天風呂もあり汗を流し、マッサージをする。余り時間がないので温泉を楽しむまでは 行かなかったが、心身ともにさっぱりとする。隣の酒屋で500mlの缶ビールで乾杯する。最高に美味い!!
16:13発のバスで元来た道を川津経由で五条に進む。次回宿泊するであろう風屋、川津の民宿を見ながら 疲れでウトウトしながら、谷瀬の吊り橋を通り、五条駅到着する。(18:44)
駅前に食堂もないので橋本まで行き、ビールで乾杯。南海電車で新今宮まで行き、大阪経由で22時に 帰宅する。
今日の歩行はガイドブックでは18.7kmだ。川津への歩行は2km位か。

念願の「小辺路」のスタートをきることが出来た。山岳コースで足に余り自信のない者にとっては不安材料も 多く、暑さも心配だった。案の定、2日目の後半はバテバテの状態で体力不足を痛感する。
先達の皆さんが「小辺路」を賛美されているのが歩いてよく分かった。観光客に踏み荒らされていない 素朴な古道が自然と共存している。1日目は舗装道路が多かったが、2日目は快適な地道の連続だった。 疲れから本来の歩行の楽しみを味わえなかったのは心残りだが、十分満喫出来た。
伯母子岳山頂からの展望は最高だった。いずれ行きたい大峯山系の姿を薄っすらと見ることも出来た。 今までの行程では山に登ることがなかっただけに嬉しい瞬間だった。

今までの計画通り本宮大社に向かって、次は今日の続きの三浦峠から十津川温泉泊り、そして果無峠 を越えて本宮大社に参拝したい。
「伊勢路」の最後の行程である志古から「小雲取り越え」に合流して本宮大社へのコースもあるので 上手く組合わせて実行に移したい。
酷暑の中、ご苦労様でした!!




(工事中)




    
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