○ 「中山道No4」見聞録(醒井宿〜赤坂宿)・(距離 24.4km/ 101.7km/ 431.3km) 4−2.(60)柏原宿〜(59)今須宿・(3.9km) 2008.06.28 8:15〜9:25 曇り
「中山道69次」は江戸からスタートしているので、次の「柏原(かしわばら)宿」は60次となり、京都・三条大橋から10次 進んだことになる。 まだ1/7しか進んでいないが、もう10次も進んだことにもなる。ここは前向きに10次進んだと考えよう。
旧街道の街並みを離れた道も楽しい。前回歩いた時には田植えだった田圃は青々と苗が育っている。 「柏原宿」の西見付の標識を過ぎる頃から、緩やかに蛇行する旧街道の雰囲気が味わえる家並みが東へと導いてくれる。 この様な風景は気持ち良い。 紅いベンガラを塗った格子や壁の家を眺めて進むと「薬師堂道標」が道角に立つ。 漢字・変体かな・ひらがなで書かれた珍しいものだと。 江戸時代中期には松、幕末には楓が植えられた松・楓の並木を通り進むと「柏原宿」の標識が迎えてくれる。 街道の街灯には「柏原宿」が記され、町全体で宿場を盛り上げている感じがする。 少し進むと旧街道には「柏原宿一里塚跡」の碑が立ち、横にはまだ新しい盛り土の塚「柏原宿一里塚」が設けられている。 塚の上に植えられている木もまだ貧弱だが、数年後には大きく育っていることだろう。
段々と「柏原宿」の街並みに近付き、立派な「常夜燈」に迎えられて宿場町に入る。家の軒先に昔の店の名前等が飾られ、 何も分からない旅行者には優しい街だ。 道路が全面改造中で、掘り起こされているが、完成した道は普通の舗装道路ではなく、何となく昔の雰囲気を残す表面に なっているのにも心配りが感じられる。 古くて立派な建屋が残っており、その一つが「旧郷宿(ごうやど)」で、脇本陣と旅籠の中間的な宿として、武士や庄屋が利用 していたと。 将軍家光の上洛時に建てられた「御茶屋御殿跡」もあり、当時の宿場の繁栄振りが偲ばれる。
「柏原宿」の中心部に進むと落ち着いた街並みが続く。
柏原宿は、江戸時代中山道60番目の宿として、たいそう賑わった宿場町です。長さが1.5kmと近江国最大級の宿場であり、 昔ながらのまちなみを残しています。 中でも柏原宿の特産である伊吹山の薬草を原料とした伊吹艾を商う「伊吹堂亀屋佐京商店」は、今も昔と変わらぬたたずまいで 日本一大きい福助とともに旅人を迎えてくれます。(米原市観光協会HPより) 街の所々に「やいと祭」の粋なポスターが掲げられている。7月末に開催されるようで、近隣の宿場にも掲示されている 大々的なお祭りのようだ。 関西では「やいと」と云われる「お灸」の原料である艾(もぐさ)を商いする店が10数軒もあったそうだ。 その中心である「伊吹屋」さんに行くが、まだ閉まっていて店の前には車が停まっている。近くの人に聞くが、10時頃までは 開かないとのことで、諦めて前に進む。 この「伊吹屋」の店先には大きな「福助人形」が座り、当時、江戸の吉原でCMソングを唄わせて有名になったとの話もある。 前にある「柏原歴史館」を訪れたかったが、工事中の様で開いていなかったのは残念だ。 この辺りは道路工事も終わり、街並みに合わせた落ち着いた舗装道路になっている。初めは気付かなかったが、道の中央に 分離線の様に色が変わっている。良く見ると融雪用の水が出るようになっているのだ。関ヶ原近辺は雪が多いので、それを 融かす装置が街並みと合わせて作られている。
街道筋を東に進むと、高札場にあった「秋葉山常夜燈」が立ち、少し進むと「柏原宿本陣跡」の碑が立っているが、建物が 見られないのは残念だ。 「熊野古道」を歩いた時も感じたが、古道・街道に対する行政や住民の熱き想いの差が、第三者の旅人には直観的に分かる。 この「柏原宿」は地元の方々の努力や熱意が街造りに活かされているのは嬉しい。 旧家の軒下に元の店の名前を掲げたり、歴史館を作ったり、道路を景観に合わせたり・・・と。 中心街から宿場の外れに進むとお堂が祀られている。「照手姫笠地蔵」を祀るお堂で、「熊野古道」歩行時にも何度も出会った 話しの主人公「小栗判官」の逸話があるのに驚く。湯の峰温泉の「つぼ湯」で蘇生した話だ。 長い説明文と当時の絵が掲げられている。
「柏原宿」から次の「今須宿」への道も自然豊かでのんびりと歩ける。 名神高速道路と東海道本線の間の如何にも旧街道と思われる道をテクテクと進む。東海道本線の踏切を渡り、山側の道を進む。
「中山道」を歩き始めた時は「近江路」と云う言葉も知らなかった。歩き始めて滋賀県の「中山道」は「近江路」と昔の 名前が付いており、岐阜県は「美濃路」と云われることを知り、いよいよ「近江路」から「美濃路」に進むのだ。 「寝物語の里」の碑が立っている。 ここから少し進んだ所が、近江と美濃の国境になり、細い溝が境界線となっているそうで、そこに寝そべって近江の国の 人と美濃の人が話すことが出来ることで、「寝物語の里」と称されたそうだ。 「柏原宿」を堪能して、近江から美濃に進む前にここで一息入れる。(9:25) 「柏原宿〜今須宿」の「紀行スライドショー」
|