○ 第3日目 (5/20) 昨夜は日本からの移動による時差とブタペスト観光の心地良い疲れでぐっすりと眠った。5時過ぎに目覚め、外を見ると曇り空だが、雨の心配は なさそうで一安心だ。 今日の予定は、モーニングコール6時30分、朝食6時30分、スーツケース搬出7時15分、集合8時10分となっているので、朝食までの間に、昨日 訪れた王宮の丘を散策しようと、まだ薄暗い、5時30分に出発する。 外に出ると外気は冷たく風も強い。 一瞬戻ろうかとも考えたが、この時しか機会がないと思い直して、王宮の丘へ向かうことにする。 ホテルの前の公園の木々は風に揺られている。長袖の上にジャンパーを着て、持てる防寒対策をしているが冷たい。公園の中には、名前が 分からない銅像が適当な間隔で建っている。さすがヨーロッパとの感じがする。 階段があると上り、次の階段を上ると云う動作を繰り返し、長い階段を上り切ると王宮の城壁らしいレンガの壁に出会う。上った 階段の目印をデイジカメに写して置き、帰路の間違い防止とする。城壁に沿って進むと屋根に覆われた階段があり、薄暗い古風な階段を 上り切るとそこは王宮の丘で、今上って来たホテル方面の景色が、木立の間から望まれる。 教会の方向に歩いて行く。石畳もしっとりと湿り、静けさを増している感じだ。街角に名前は分からないが「騎馬の銅像」が建ち、 ここに住む人たちの駐車群と街並みが続く。ゴミ収集車が誰もいない街の清掃をしているのを見ると、王宮の丘は観光地の顔と 居住地の顔を持っているのだ。 昨日見学しているので、真っ直ぐに「マーチャーシュ教会」の前を通り「聖イシュトヴァーン像」の建つ広場に向かう。誰もいない広場を独り占めして 銅像を仰ぐ。 「漁夫の砦」への階段を上ると、昨日は観光客で混雑していた回廊や尖塔が無人で弱い朝日の中に静かに迎えてくれる。 回廊からはドナウ川にかかる「くさり橋」や「国会議事堂」「聖イシュトヴァーン大聖堂」と昨日自由行動の時に訪れた名所が眼下に望まれる。 しばらく、回廊に寄り添ってブタペストの朝焼けの光景に魅入る。静かで清々しい。 ぼんやりと眺めながら、昨日の行程を振り返る。 まだ走っていないドナウ川沿いのトラム、強風の「くさり橋」、「聖イシュトヴァーン大聖堂」の ドームからの眺め・・・。前日の観光ルートを反復する機会は少ないので、冷たい空気に囲まれながら静かな回想の時間を満喫する。 早朝に、ホテルの周辺だけでなく、観光地を再訪問する楽しみを味わうことが出来た。これは癖になりそうだ。 体が冷たくなって来たので戻ることにする。薄い朝日に照らされた「マーチャーシュ教会」の屋根の美しさを脳裏に残して、「漁夫の砦」を 降り、入口の「兵士の像」をチェックして帰路に就く。 「三位一体の像」も明るくなった空にそびえている。静かな王宮の街並みはまだ眠っているようだ。おばあさんが犬の散歩をしている。 王宮の丘とは思えない普通の街角のように思える。 王宮の丘に上って来た階段に戻る。大分明るくなって来たので、展望する下界は美しい。階段を降り、下って行くのだが、方向は 分かっているので、往路とは違った道を下ることにする。途中、小鳥の鳴き声を聞きながら階段を降りて行くと犬の散歩をする 男性と出会い、ハンガリー語の「おはよう」を思い出せないので、"Good morning"と挨拶すると笑顔で"Good morning"と。ハンガリー語を 覚えとけば良かったと後悔する。 昨日乗ったトラムの線路を渡り、ホテルに向かう途中、赤い可愛いポストがあった。昨日気付かなかったが、ハンガリーのポストも赤いのだ。 6時10分ホテルに戻る。40分余りの充実した朝の散策だった。 6時30分過ぎにレストランに向かい朝食とする。昨日と同じようなメニューで野菜類はない。 新婚さんと同席し、昨夜の話を伺う。1日乗車券を 使って、王宮の丘の麓に行き、方々散策したが、道に迷いホテルまで戻るのが大変だったと。夜に知らない街を歩くのは勇気がいるが、 彼らの若さが分かり、世代の違いを痛感する。 8時10分に全員集合し、バスは出発する。今日の予定はハンガリーの小都市・センテンドレ、ハンガリー・カトリックの総本山の街・エステルコム、世界遺産・ ベネディクト会修道院のあるパンノンハルマを訪れた後、ハンガリー・オーストリア国境を越え、ウィーンに向かう行程になる。 現地日本人ガイドの説明で、ハンガリーの生活・歴史が紹介される。車窓からはローマ時代の遺跡跡も見られるが、予算がないのでその後の 発掘が進んでいないとか、共産党時代に建てられたアパートは簡単に造られるように凹凸がないパネルハウスと呼ばれている等々、余り 良い印象を与えない説明がある。 ブタペストの郊外の景観を眺めながらバスは順調に進む。日本でも余り見られない小型自動車が時々走っている。中欧の国道を目新しい 車が走っているのには少し驚く。交通渋滞もなく、センテンドレに向かう。 9時前にセンテンドレに到着し、現地ガイドの案内で石畳の道を進む。 センテンドレは、曲がりくねった通り、7つの尖塔、色鮮やかな家並み、入り組んだ狭い路地、地中海地方に行ったような雰囲気、多くの美術館があることで、 ドナウベンドで一番人気の高い観光スポットです。 また、お土産ショップが充実しており、買い物を楽しむのにうってつけです。 町は、14世紀から17世紀にかけて、セルビア人がオスマントルコの支配を避けてこの地に定住した頃から発展が始まります。その頃建立された教会の うち、今も4つの教会がセルビア教会として現存しています。 センテンドレは、感傷的な観光客の方の好みにぴったりとした町です。各種の店やレストラン、商店の看板、中央広場の歴史的文化財に指定された 建物、家々の装飾、どちらを向いても一服の絵となる風景が広がっています。 (ハンガリー観光局HPより) バスの駐車場が最終の集合地点として、間違いないよう目印を指摘されながら、静かな石畳の道を街の中心に向かう。まだ早いので、 店は開店準備している所が多い。 開いている可愛い店にはレースや民芸品・衣服等々並べられ、品定めする奥様方で、列が段々と長くなる。古い建物は芸術学校に改造され、 授業を受けている生徒が窓から手を振っている。芸術家の卵を生み出す街でもあるようだ。 まだ閉まっているレストランの入口が変わっているのは、昔、馬車が出入りしていた名残だと。昔の面影を残す古都の雰囲気だ。向こうに 見える教会が中心のようで、開き出した店の客引きも活発になって来た。日本の地方都市と同じように素朴な民芸品が売られていて、 楽しい気持ちになる。レストランや店屋の看板もなかなかユニークなものがあり、街の雰囲気にマッチしている。 街の雰囲気に溶け込むクリーム色の教会が静かに建っている。 広場の中央の広場には十字架の塔も立ち、落ち着いた空間を保っている。 広場の店の前に白くて毛がフサフサとしている珍しい犬が座っている。 ガイドの話では、ハンガリー固有の「ペリ」と云う種類の犬だと。羊のような 毛で、眼も見えない位だ。床を拭くモップのような可愛い犬に驚き、皆さん一緒に楽しんでいる。 妻は土産物屋に立ち寄るとのことで、一足先に集合場所に戻り、小生は小道を上って丘の上に向かう。 丘の上にも教会が建ち、静かな空間となっている。視線を遠くに向けると森とレンカ色の屋根の向こうに、満々と水を湛えたドナウ川が 流れている。ドナウ川が近いのだ。 時間が迫って来たので、帰路に付くと土産物屋で奥さま達が品定めに余念がない。可愛い操り人形を売っていたので、6月に誕生 予定の孫の土産に購入する。 店も開店しだし、それぞれが呼び込みをするが、時間がないので急いで集合場所に戻る。 10時にバスは次の目的地・エステルゴムに向かって出発する。 天候の異変は予想以上のようで、地道を進むことになるので、時間がかかるので、 昼食は遅くなると。 時々、激しい雨が降る中、車窓から眺めると牧場が水浸しになっている所や、ドナウ川沿いの道を走ると、今にも堤防から溢れる程の 水量だ。 運転手も慣れない道なので、時々曲がり角を間違えて、バックする状態や渋滞もあり先行きが不安だったが、無事、エステルゴムに到着する。 エステルゴム大聖堂に到着し、小雨の中、丘に登り、大聖堂に向かう。鉛色の空の下、重厚なエステルゴム大聖堂がそびえている。さすが、 ハンガリーカトリック教会の総本山と云われるだけの堂々とした教会だ。 町のシンボルとなっているのが、城の丘の上に聳え立つ、19世紀に古典様式で改築されたエステルゴム大聖堂で、国内最大の規模を誇っています。 大聖堂には値段の付けようもない、いずれ劣らぬ名品ばかりを集めた、ハンガリー有数の教会宝物コレクションが所蔵されています。 また、狭い階段を上り詰めたドームのテラスからは、エステルゴム市内を始め、ドナウ川、対岸のスロバキアの町ストゥロヴを望むことが出来ます 1944年にドイツ軍により破壊されたままになっていたマーリア・ウァレーリア橋は、2001年に修復が終わり、現在は対岸のスロバキアへ徒歩でも 渡ることが出来るようになりました。 (ハンガリー観光局HPより) 小雨の中、小走りに教会の中に駆け込む。教会の正面には細かな細工の彫刻が施されている。 教会の礼拝所にはたくさんの方が祈っている。さすが、ハンガリーの総本山だ。信者のお祈りに邪魔しないように静かに頭を下げる。 教会内部を眺めると、ステンドグラスは目立たなかったが、壁画は美しく彩られている。宗教画の壁画が描かれ、歴史を分かった人には 感銘深い作品なのだろう。 正面に大きなパイプオルガンが設置されている。こんな大きなパイプオルガンは珍しいのではなかろうかと素人目で考える。 礼拝の時には美しい音色で奏でられると。きっと迫力と奥行きがある音色だろうと想像する。 ドームの下に行くと円形のドームには絵が描かれ、採光のガラス窓が美しく配置されている。このドームの上にも登ってみたかったが、自由時間が ないので無理だと諦める。 教会の外に出て、裏庭に向かう。 真下にはドナウ川が直角に曲がって流れている。満々と水を湛えたドナウ川が堂々と流れている。洪水になる寸前と思われる位の水位だ。 ドイツ軍に破壊された橋も修復し、対岸はスロバキアの国だと。貨幣価値の違いで、ハンガリーからスロバキアに買物に行く人が多いと。 雨も上がった広場から、ヨーロッパの大河の一つであるドナウ川を眺める。「青きドナウ」の想像は出来ないが、中欧を通って黒海に注ぐのだ。 ここからは対岸のスロバキアの街も眺められる。この辺りの歴史は難しい。学生時代はチェコスロバキアで覚えた国も、チェコとスロバキアに分かれているのだ。 トイレのため土産物を売る棟に行く。小学生の遠足のような集団がいる。笑顔でアイコンタクトを交わし、トイレチップを払い用を足す。広場には 大砲が飾られている。これも歴史なのだろう。 小雨の降る中、出発する。高速道路が使えなかった分、時間がかかるが、地道をパンノンハルマに向かう。途中の街で、現地ガイドと別れ、 添乗員の説明で進む。 パンノンハルマの修道院を丘の上に眺められる近くのレストランに到着する。もう14時30分になっているのだ。 この辺りはワインが美味しいとのことなので、ポーク料理に白ワイン・3EURO(360円)で食事する。お腹が空いているので、スープが美味しい。 ワインもgoodでお代りを。 地方都市の小さなレストランだが、なかなか洒落た場所で美味しかった。 再びバスで、小高い丘にそびえる世界遺産「ベネディクト会修道院」に向かう。 1000年の昔から、中世、パンノニアの聖なる山の頂にハンガリーの建築史を飾る宝庫「ハンガリー最古の家」ベネディクト大修道院がそびえています。 大修道院は、現在ユネスコの世界遺産に登録され、創設1000年記念祭にはローマ法王ヨハネ・パウロ2世も訪れました。 13世紀のバジリカは現在ではパイプオルガンコンサートの会場にもなります。ゴシック様式の星形天井を持つ聖殿、礼拝堂、1001年に奉献式が行われた 地下聖堂、ハンガリーで唯一完全な形で現存する中世の回廊、赤大理石の扉に残るルネサンス様式の彫刻、36万冊という世界最大の蔵書を誇る ベネディクト会図書館と古文書館、学術・芸術コレクションなど、いずれも計り知れない価値を持つものばかりです。 (ハンガリー観光局HPより) 「ベネディクト会修道院」の駐車場から新緑の気持ち良い道を入口に進む。小高い丘の上からは緑の森に点在するレンガ色の屋根が美しい。 曇り空だが新緑が目に沁みる。青空であればもっともっと美しく感じるだろうと思いながら進む。 立派な門の飾りも斬新で、門の横にはユネスコの世界遺産の標識が飾られている。考えてみると、今まで実物のこの標識を見たことがなかった のではと。意外と気付いていないことが多いのだ。 修道院の中は静かで、信仰の場との雰囲気だ。 大きなテラスに進み、説明を聞きながら、 眼下に広がる緑とレンガ色の屋根のヨーロッパ的な情景に魅入る。小高い丘に建つ「ベネディクト会修道院」はあの民家からも望まれ、信仰の シンボルなのだろうと想像出来る。 修道院の中は地元の可愛い女性が案内し、添乗員が翻訳してくれる。 彫刻が施された扉を入ると、窓に輝くステンドグラスが美しい。たくさんあって、順番に物語となっているようだ。 素朴さとステンドグラス・天井画の美しさに、修道院たるものを 感じ入る。 広い館内を進むと正面に祭壇が祀られている。 マリア様がキリストを抱いているようだ。高い天井で広々とした祭壇だ。その窓にもステンドグラスが飾られ祭壇全体が明るく感じられる。 修道院の中にある教会は、普通の教会とは少し違った感じがした。 ここにも大きなパイプオルガンが設置されている。ハンガリーの教会の特徴なのだろうか。 教会を出て、修道院内にある図書館に向かう。 何故、この場所に図書館があり、36万冊という世界最大の蔵書を誇る「ベネディクト会図書館」となったのか不思議だが、中に入り その蔵書の多さに驚く。部屋の真ん中に、大きな地球儀が置かれ、周囲は2階まで本が並んでいる。 修道院として信仰と勉学の基盤を作るために、集められたのであろうが、凄い量に驚く。 新緑の遊歩道を戻り、世界遺産に認定されるだけの荘厳さと蔵書の多さに感銘を受けて「ベネディクト会修道院」を後にする。 以前、スイスからオーストリアに入る時は一度バスを降りたが、全くバスは止まらず、17時45分、国境の建物を素通りでオーストリアに入国する。あっけない 入国に少し物足りない気がした。 ハンガリー、オーストリアの国境付近は風力発電機がたくさん設置されており、電力供給の源になっているようだ。 まだ太陽は高く、陽が射す中をウィーンの市街地に入り、中心街から少し離れたホテルに到着する。(18:50) 添乗員から予定表を渡され、部屋に行くとベッドが1つ窓際に寄せられている。添乗員にクレームを付け、夕食の間に直してもらうことにする。 こんな経験は初めてで、ジャーマン・スタイルとか云っていたが、スタンダードにしておいてもらわなければ。 スープも美味しく、ビール・2EURO(240円)、白ワイン・3.1EURO(372円)を頼む。これにチップを加えて支払うと珍しい別チップ方式だが、女子ウェイターが 計算できない。どのテーブルでも時間がかかり、黒人チーフが怒りながら・・・。一流ホテルなのに何たることか。 部屋に戻るとベットは普通の位置に戻っており、一安心。バスに入り、明日は連泊なので、荷物の整理もそこそこに眠る。今日の歩行歩数は 移動が多くて、12000歩だった。 この旅行記をまとめている間に、南アフリカのW-CUPが始まった。岡田JAPANは大会前の戦積が最悪で、非難もあったが、 カメルーン戦で本田圭佑のシュートで勝ち、オランダ戦は0-1で敗れたが、デンマーク戦は本田・遠藤のFKが見事に決まり、3-1で 決勝トーナメント進出を決めた。 6/29のパラグアイ戦は0-0で延長も0-0、PK戦で惜しくも敗退した。その健闘には大拍手だ。 岡田監督はフランスW-CUPの時、小生に似ていると云われ、本田圭佑とは字が違うが、同じ名前なので応援していた。 戦前の汚名を返上して、見事決勝トーナメントに進んだこと嬉しい限りだ。(2010.6.30記)
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